晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 「アウシュヴィッツの図書係」 その3 10/5

2016-10-05 | 雨読
2016.10.5(水)雨
 前回までは一般的な表向きの書評といえる。わたしは本書を読んで文中に書かれていること、行間に書かれていること以外に行間にも書かれていないようなことをいろいろと考えてしまった。その一つが「ヒトラーは狂気だったのか」ということである。確かに狂気の沙汰には違いないが彼は正気だったと思う。人間の心(脳)は神にも悪魔にもなり得るのだ、日本的に言えば鬼にも仏にもなるというものだ。それでは親衛隊はともかく末端にいる収容所の職員などはどうなのだろう。本書の中では随分ひどいことをしている様だが、ヒトラー同様に心は悪魔になっているのだろうか。そんな思いをめぐらせているときこれまた偶然に凄い本を新聞の書評で見つけた。「ヒトラーの娘たち」ウェンディ・ロワー著(2016.9.12京都新聞)である。福知山市の図書館にあるのだが、貸し出し中でまだ読んではいない。ヒトラーの娘たちとは大戦中に政府機関に就職したり、ナチスの妻となった女性達をいう。「アウシュヴィッツの図書係」に出てくる収容所の女性看守長も登場する。彼女は戦後の裁判で女性で唯一有罪になった人物である。
 この本では女性たちと虐殺との関わりを中心に書いている。「たとえば、ユダヤ人大量殺りくに先立ち、約20万人の障害者が殺されたが、彼らに致死薬を注射したのは看護師たちだった。ホロコーストの最初の下手人は女性だったのだ。」もちろん彼女たちが断罪されることはなかった。「被告たちは、よく知らなかった、自分たちに決定権がなかったなかったと弁明し、周囲に影響されやすい「無垢な」女性という、古くさい仮面で身を守った。」と強烈な批判を浴びせ、「彼女たちもさまざまな度合いと意味合いで権力を行使し、虐殺に関与した」と結論づけている。「職務やキャリアアップには熱心だが、他者への共感には乏しいのが彼女たちの一般的な傾向だ。」と辛辣である。
 とにかく書評しか読んでないので本物を読んでみたい気持だ。つづく

【今日のじょん】ステロイドには食欲が増す、水をたくさん飲むなどの副作用があり、昨年はとても投薬を続けることができなかった。ところが今年は薬の含有率が低いのだろうか、さほど困難無く飲み続けている。そのおかげでアレルギー症状もすっかり治まり、ほぼ全快の様子だ。ただ、食欲だけは旺盛でいつも腹すかしてるみたいだ。写真はおかーが帰ってきたときのお迎えの儀式、しっぽのふりがものすごい。


 
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