お役立ち情報ブログ

日々の生活やビジネスにおいて役に立ちそうな情報を収集、公開しています。

ギリシャ議会、財政緊縮策可決 支援へ前進

2012年02月14日 07時08分22秒 | 海外
ギリシャ議会(一院制・定数300)は13日未明(日本時間同日午前)、財政緊縮策や構造改革に関する法案を賛成多数で可決した。欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)から金融支援を受け、無秩序なデフォルト(債務不履行)を回避するための最大のハードルを越えた。ユーロ圏諸国は15日にも次期融資について最終判断する。だがギリシャ国民は痛みを伴う緊縮策に反発、12日も全土で10万人規模の抗議行動が繰り広げられた。



財政緊縮策に反発する市民の一部が暴徒化した
 連立与党を構成する二大政党の全ギリシャ社会主義運動と新民主主義党が緊縮策を受け入れた。仏AFP通信によると賛成199、反対74で残りは棄権。野党は反対に回り、二大政党からも40人を超える議員が造反し反対票を投じた。パパデモス首相は採決に先立ち「ユーロ圏からの離脱はギリシャに悲劇をもたらす」などと警告していた。

 ユーロ圏各国は15日に財務相会合を開き、約1300億ユーロ(約13兆4千億円)のギリシャ向け次期金融支援について協議する。ギリシャ連立与党の党首らは9日に緊縮策への同意を表明したもののEU側は納得せず、議会での承認、与党指導者による書面での確認、約3億2500万ユーロの歳出削減策の3条件を追加で要求していた。ギリシャ政府は残りの2条件について早急に手続きを進める。ベニゼロス財務相は「近くユーロ圏諸国の承認を得られるだろう」などと期待を示した。

 ギリシャは3月20日に約145億ユーロの国債大量償還を控えるものの、手元資金が不足しているといわれる。EU・IMFからの融資に加え、ギリシャ国債を保有する民間債権者による債務削減が実行されれば無秩序なデフォルトは回避される見通しだ。

 今回議会で可決した緊縮策には、最低賃金の引き下げや公務員の1万5千人削減など、多くの国民が不利益を被る内容が含まれている。これに反発し、アテネの議会前には12日から、労働組合員や市民約8万人が集結。暴徒化した若者らと警官隊が衝突、アテネ中心部では商店や映画館が放火された。混乱は全土に広がり、同国政府によると少なくとも54人が負傷した。

 現在の連立政権は暫定政権との位置付けで、4月にも総選挙が予定されている。市民の猛反発を目の当たりにし、連立与党の一角を占める国民正統派運動は今回の議決で反対に回った。今後、緊縮策反対をとなえる野党が支持を集める可能性もあり、新政権の枠組みは不透明となった。

 法案は通過したものの国民の激しい抗議活動は続くとみられ、次期政権は難題を抱える。安定しないギリシャ内政の混乱がさらに拡大する恐れもあり、同国の再建には暗雲が垂れこめている。