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シンガポールのカジノは、なぜ成功したのか 2施設で年間営業利益が2000億円に

2014年07月24日 07時14分54秒 | 行政
  マリーナベイサンズの威容

 今では統合リゾート(IR)が最大の観光スポットになっているシンガポールですが、我が国と同様、カジノ解禁への歴史は長いものでした。1985年、2002年とカジノ開設の政治議論が盛り上がりましたが、それぞれ当時の有力者により却下された経緯があります。

 2004年にはシンガポール通商産業省がカジノ開設を改めて提案し、2005年にカジノ合法化が閣議決定されました。方針変更の大きな理由は、アジアにおける都市間競争が激化する中、シンガポールの地位が相対的に低下する懸念が台頭したことです。とくに、中国経済の台頭、マカオにおけるカジノ観光産業の飛躍は大きな脅威と映りました。

 そうした中、「建国の父」であり、依然として強い政治力を持つリー・クアンユー氏がカジノ反対の立場を撤回。2011年に2つの統合リゾート(IR)が開業しました。

政府はカジノに対し、慎重な姿勢を維持

 ただし、シンガポール政府は合法化後もカジノに対して慎重な立場を崩していません。政府は、自国企業のカジノ事業への関与、自国民の過度なカジノ訪問を警戒しています。カジノの社会的な負の側面、すなわち依存症、勤労意欲減退、反社会勢力の関与などをリスク視しているからです。

 2011年時点、2つのIRが開業し、その成功が注目された時点でも、地域開発青少年スポーツ省担当大臣 (Minister of Community Development, Youth and Sports、MCYS)は「我々はギャンブルを決してノーマルな存在、ファッショナブルな存在、名誉の称号にはしない。今後もこれまで同様、カジノを悪徳と位置付ける」と述べています。

 2つのIRのうち、「マリーナベイサンズ」は商業ビジネスの中心に近い港湾エリアに位置します。一方、「リゾートワールドセントーサ」はリゾート地区として開発が続けられてきたセントーサ島に位置します。セントーサ島も商業ビジネスの中心部から車で5分ほどであり、両者は近接しています。

 マリーナベイサンズは米国のラスベガスサンズ社の100%子会社が所有、運営しています。一方、リゾートワールドセントーサはマレーシア資本のゲンティンシンガポール社が所有、運営しています。

 2件とも全体の施設構成や規模感は類似しており、基本コンポーネントは、カジノフロア(15000㎡)、ホテル(2000室前後)、MICE(展示スペース、会議室)、ショッピング、飲食などです。2つのIRの大きな違いは、施設コンセプト、顧客ターゲットです。マリーナベイサンズはMICE施設(会議場、展示施設)、ショッピング、飲食に重点を置き、大人向け、都会的なイメージです。一方、リゾートワールドセントーサはリゾート島であり、ユニバーサルスタジオをフィーチャーしており、ファミリー向け、リゾートのイメージです。

2つ合わせて2000億円の営業利益

 業績数値をみると、それぞれ売上高は3000億円前後、営業利益は1000億円前後。カジノ事業の収益性を決定する要素は、対象マーケットの個人金融資産量、施設数です。この事業の唯一の収支リスクは過当競争、つまり施設の供給過多です。

 シンガポールの対象マーケットは、アセアン全域に広がっており、大きな経済圏です。一方、アセアン内のIR、カジノ施設の供給量は現時点では多くありません。この結果、高い収益性が確保できるわけです。

 当面、両IRの業績は安定的に推移する見通しです。アセアンの経済と個人金融資産は高い成長が続く見通しなのに加え、シンガポール政府は両施設へのカジノライセンス発行後、10年の間(おおむね、2020年まで)は追加ライセンスを発行しないことを公約しているためです。

 アセアン全体に目を向けると、フィリピンなどで新しいIRの開発計画が進んでおり中期的に競争が激化するでしょうが、経済成長に伴う市場拡大で吸収できる見通しです。

 シンガポールは人口531万人(日本の約4%。以下とも2012年)、GDP2765億ドル(日本の約5%)、面積は716㎡(東京23区と同程度)の都市国家であり、IRの目的はビジネス、観光両面の振興です。

 実際、シンガポールのインバウンド観光客数は2009年には968万人でしたが、2013年には1550万人まで拡大しました。また、年間観光収入は2009年には126億シンガポールドルから、2013年には235億シンガポールドルまで拡大しました。ちなみに、2013年の年間観光収入はGDPの約7%を占めました。シンガポール政府は中期目標として2015年に観光客数1700万人、観光収入300億シンガポールドルの達成を掲げています。それが達成できるかどうか注目されます。

 IRの経済効果は、観光収入の拡大に加えて、設備投資、雇用増加、その波及効果など多岐にわたります。2つのIRの直接雇用は2.6万人(マリーナベイサンズ1.2万人、リゾートワールドセントーサ1.4万人。店舗、ユニバーサルスタジオの従業員を含む)に達しました。

カジノを外資に任せた数少ない事例

 世界のカジノ市場における、シンガポールの特徴は、施設数を2つに限定、ノンゲーミング施設を重視(カジノ色を希薄化)して統合リゾート化を徹底、都市計画全体の中でIRを位置付けた、などです。日本はシンガポールから学ぶべきものは多くあります。上記の3つの特徴は日本でも重視される方向です。

 ただし、政策目的には大きく異なる点があります。シンガポールの目的は、インバウンド観光の促進、都市競争力の向上でした。日本のIRの政策目的は、それらに加えて、日本の文化や産業の魅力の発信、すなわちクールジャパンの推進に重点を置きます。

 日本のIRは施設コンテンツ、超過収益がクールジャパンに貢献することが強く求められます。シンガポールは都市国家という特殊な環境下にあり、みずからをアジアと欧米のハブと位置づけ、アジア、米国の事業者にIRを任せました。シンガポールは世界の先進国の中で、カジノを外国企業に依存したほぼ唯一の例です。日本は世界第3位の経済規模、世界トップクラスの産業層、長い歴史が形成した独自文化があります。おのずから日本が目指すIRはシンガポールとは異なってくるはずです。
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<上海カビ肉問題>大手チェーンの名前がズラリ、問題原料は中国で「優先的に」使用―中国メディア

2014年07月24日 07時08分31秒 | ニュース
2014年7月21日、マクドナルドやピザハットといった世界的に有名なファーストフードチェーンに肉類製品を提供するサプライヤーが、消費期限切れの変質した肉類原料を大量に使用していたことが明らかになった。上海市食品薬品監督管理局は今月20日、市内のケンタッキーとマクドナルドの全店舗に対し、問題のある商品の販売をすべて中止するよう通達するとともに、各社に対する調査を開始した。マクドナルドが微博(ウェイボー)を通じて発表したコメントによると、通達を受けてすぐ、全国のすべての店舗に対し、問題があるとされたサプライヤーの上海福喜食品有限公司から提供された肉類製品の使用を即刻停止するとともに、保管しておくよう通知した。またただちに調査チームを立ち上げ、同公司と関連会社に対する全面的な調査を始めたという。上海テレビ局の報道として北京商報が伝えた。

報道によると、2カ月に及ぶ潜伏取材の結果、マクドナルド、ケンタッキー、ピザハットといった世界的に有名なファーストフードに肉類製品を提供する福喜公司が、消費期限切れの肉類に消費期限シールの貼り替えなどの偽装工作をし、その肉で製造したチキンナゲット、ステーキ、ハンバーガーパティをケンタッキー、マクドナルド、ピザハットといったファーストフードチェーンに販売したことが明らかになった。消費期限切れの鶏肉原料は中国エリアで「優先的に」使用された。ヤム・ブランズに提供された冷凍漬け込み一口サイズステーキは、消費期限を7カ月以上過ぎた原料が使用されていた。今年6月11日から12日にかけて同公司が加工したミニステーキには、消費期限を過ぎた半加工製品が10トンも使用され、こうした原料は本来、廃棄処分するべきものだった。同公司は世界最大の肉類・野菜加工メーカーである米国のOSIグループの子会社で、マクドナルドやヤム・ブランズなどにとっては重要なグローバル協力パートナーでもある。

マクドナルドやケンタッキーといった海外ファーストフードだけでなく、同公司は世界中に取引先がある。ネスレ、クラフトフーズ、ウォルマート、サブウェイ、ヤム・ブランズ、メキシコのレストランチェーンのチポトレなどが主な取引先だ。また新たな戦略的顧客には、イケア、バーガーキング、パパ・ジョンズ、カールス・ジュニアなどがある。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)
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