「コンデイション」
ソダーバーグ監督、マット・デイモン、ジュード・ロウ、ケイス・ウィンスレット、グィネス・パルトロウ、e.t.c.
とんでもなく「アカデミー賞祭り」なキャストとスタッフで作るウィルス感染パニックムービー。
あらすじは
香港出張から帰ったベスは発熱していた。数日後、痙攣を起こした彼女は救急搬送されるもあっけなく死亡。
時同じくしてベスがいた香港を中心に近隣アジア~ベスが途中降機したシカゴ等、次々と同様の発熱と頭痛から
痙攣して死亡するという奇病が広がる。
報告を受けたWHO(世界保健機構)は調査団を派遣、アトランタのCDC(疾病予防管理センター)でも独自調査を始めた。
どうやら新種のウィルスだと判ったものの、ワクチンも特効薬もない状態で既にウィルスは世界に蔓延し感染爆発が起こっていた。
バイオハザードや28日後、もっと前だとアウトブレイク等、ウィルスや細菌の感染爆発パニック物は定期的に制作されている。
この系統の作品ってどれも微妙に方向性は違っていてもまずまず見応えのある作りのモノが多いですね。
本作はバイオハザード系ではなくアウトブレイク系。感染した人がゾンビ化する訳ではなく、原因不明の新種のウィルスによって
世界中で感染爆発が起こる事で現れる、様々な人間模様を丁寧に描いています。
登場人物が多く、その誰もがオスカー俳優クラスという何とも贅沢な作品で、映画冒頭からグィネス嬢があっけなく逝っちゃうし
「コイツはきっといいもんチームだからきっと最後まで生き残るキャラだな(キリッ」と思ったケイト・ウィンスレットなんて
あっちゅー間に感染しちゃって「えー!えー?えー!?」の連続w
役者の格とかギャラの高さが=最後まで生き残るキャラ、というハリウッドの不文律をものの見事にぶった切ってくれます^^;
本作が描き出す柱ネタは、非常時に見せる人間のエゴと正義のあやふやさ、みたいなモノだろうと思う。
研究機関の医師達は一刻も早くワクチンを作り出したい、そして世界の皆を助けてあげたいと思っている。
でも世界の前に「まずは自分の愛する人を助けたい」と思うのが人の心。
だが研究者が自分の立場を利用して国家機密を漏らしたり、自分の家族優先にワクチンを手配するのは人道的にどうなんだろう?
それを暴きだして糾弾するジャーナリズムはまぎれもない正義の行動だろう。
でも、だったら個人的に誰かが愛する誰かを助けたいと思う心は悪なのか?正義ではないと言い切れるのか?
並んでいても自分の分の配給が回って来る保障なんてない。薬が買える保障なんてない。
朝からずーっと並んでいたのに、散々並んだ後で「今日はここまでしかお売り出来ません」「もう配給はありません」なんて言われたら
略奪してでも手に入れたいと思ってしまう、勢い暴徒と化してしまう・・・もちろん略奪は犯罪だし、秩序を乱す事も
人としてよくない行いなのは誰だって判っている。
でもそれが愛する家族にご飯を食べさせる為、家族の病気を一刻も早く治してあげたいという真心からの行動だったとしたら?
・・・そんな、エゴと正義が表裏一体になった色んな人間行動パターンを様々な立場の人間を通じて見せて行きます。
感染爆発が起こってから○○日目、みたいな感じでどんどん状況が悪化して行って、その後ワクチンが開発されてから
徐々に秩序を取り戻して行く(のであろう)過程を描いているんですが、モノがなくなり秩序を無くし、人々が暴徒化して
略奪の限りを尽くしているシーンを見ていて、「日本人はこーはならないんじゃないかなぁ~」とボーッと考えていた。
あの未曾有の災害、東北大震災の大津波であれだけ沢山の人を喪い、家を失い、土地を失い、全てを失った東北の人達が
いつ救援物資が届くかもわからないような悲劇的状況になっても、それでもみんな秩序を守ってギリギリの物資をかき集めて
それを体の弱い人から順番に分けながら、ただひたすら嵐が過ぎるのを待つかのように大人しく救援を待ち続けていましたよね。
失礼ながら、同じように地震にあった中米ハイチでは地震後に略奪が物凄くて、救援物資を積んだヘリが、暴徒化した地元民が
恐ろしくて着陸出来ずに上空から支援物資を投げ落としていたそうですし。
日本人は有事に強いというのか、有り得ない状況になってもパニックにならずにまず秩序を守ろうと考える人が多い気がする。
「自分(と自分の家族)さえ助かれば」みたいな行動を取る人が少ない。略奪に走るよりも、秩序を守って順番に並び、
それでもし配給が回って来なくても大人しく待ち続ける・・・日本人って「人としての誇りを捨てる位なら死んだ方がマシ」
というメンタリティの人が物凄く多い気がする。そして私は自分が日本人として生まれて来て良かったと心から思う。
ま、でも本気でこの映画みたいな事態になったら、きっと誇り高き日本人は真っ先に死んで略奪に走るヤツが生き残るんだよねw
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「指輪をはめたい」
芥川賞作家・伊藤たかみ氏著の同盟タイトル小説を「大胆に脚色して(←公式サイトによる)」映画化。
脳しんとうを起こして記憶喪失になってしまった主人公の男を山田孝之。主人公を取り巻く女性たちを真木よう子、池脇千鶴、
小西真奈美らの人気美人女優が演じる、正に今流行りの「モテキムービー」というヤツですね。
あらすじは
企業や一般家庭に「置き薬」を設置・メンテをする営業をしている主人公の片山。彼はある日得意先のスケートリンクで転倒して
脳しんとうを起こし救急搬送されたのだが、目を覚ました時に何故自分がスケートリンクで転んだかを覚えておらず、
更に自分のカバンからは婚約指輪が出てきたのだが、何故か自分の恋人についての記憶だけがスッポリと抜け落ちていた。
そんな片山の目の前に現れた女性が3人。1人は会社の先輩で才色兼備の「智恵」、もう1人は得意先の風俗店の巨乳美女「めぐみ」
そして3人目は公園で人形劇屋台をやっている清楚な家庭的美女「和歌子」
その3人がそれぞれ片山を恋人のように接して来るのだ。片山は一体誰にプロポーズするつもりで指輪を持っていたのだろうか?
自分の恋人の記憶を取り戻そうとする主人公は、事故に遭ったスケートリンクに行けば何か思い出すのではないか?と足繁く通って、
そこで知り合った謎の美少女「エミ」の助言に従って恋人候補らしき3人の女性とデートをしたりリサーチしたりしながら
自分の記憶を掘り起こそうと苦悩する・・・という話なんだけど、このスケートリンクで出会う謎の美少女の存在はリアルなのか?
という部分が、実は本作の最大のキモだったりする。
監督はデザイナー&イラストレーター出身だそうで、特にスケートリンクで出会う謎の美少女との絡みのシーンはフワフワとした
幻想的な絵作りをしていていかにも「イラストちっく」な感じの絵作りにこだわっている模様。
随所にコミカルなシーンを配置していて、結構ベタな小ネタ(でもこういうのが実は一番鉄板でウケたりする!)で観客を笑わせる。
記憶を無くした主人公は、自分に3人の美女がそれぞれ当たり前のように恋人として振舞って来る事に大いに困惑してキョドっているのだが
(その反応や様子を見た観客は主人公に実直で真面目な印象を受ける)でもちょっと待って欲しい!
彼女達の様子を見るに、この主人公は記憶を無くす前は3人に、それぞれさも自分の恋人のように振舞っていた、という事に他ならないのだ。
要するに実直そうに見えるけど、主人公は美女を3股掛けるトンデモ兄ちゃんだった、という事なのだ!
・・・と思い至ったトコロで、なんとなーくだけどオチがうっすら見えたw
自分が想像したオチとはちょっと違ったけど、でもまあ大体方向性は当たってた。まあそーだよなー・・・って感じで^^;
こういうオチって個人的に何だか「モヤッ」とすると言うのか、尻の座りが悪いんですよね。
まあ美女に囲まれたら最終的にこの落とし所が一番いいのだろう、というのは判るんだけど、でも謎の美少女の処遇が今ヒトツなぁ~(ブツブツ
根本的に謎の美少女の年齢設定にムリがあるような・ないような。配役にムリがあり過ぎるんじゃないか?(オチから遡って考えると)
あんまり書くとオチバレになってしまうのでアレなんですが(つーか既にオチバレしてるっぽいw)個人的に何か納得いかない感じ。
アレだねー。映画「モテキ」が予想以上のメガヒットになっちゃったから、逆に本作はモテキの輝きに霞んじゃって
キャスティングとポスター見ただけで「1つ大当たり映画が出ると、直ぐに似たり寄ったりの焼き増し映画が作られるよねー」とか
言われちゃって闇に葬り去られそうな・・・そんなお気の毒な空気が感じられるのですが?どうなんでしょうね^^;
ソダーバーグ監督、マット・デイモン、ジュード・ロウ、ケイス・ウィンスレット、グィネス・パルトロウ、e.t.c.
とんでもなく「アカデミー賞祭り」なキャストとスタッフで作るウィルス感染パニックムービー。
あらすじは
香港出張から帰ったベスは発熱していた。数日後、痙攣を起こした彼女は救急搬送されるもあっけなく死亡。
時同じくしてベスがいた香港を中心に近隣アジア~ベスが途中降機したシカゴ等、次々と同様の発熱と頭痛から
痙攣して死亡するという奇病が広がる。
報告を受けたWHO(世界保健機構)は調査団を派遣、アトランタのCDC(疾病予防管理センター)でも独自調査を始めた。
どうやら新種のウィルスだと判ったものの、ワクチンも特効薬もない状態で既にウィルスは世界に蔓延し感染爆発が起こっていた。
バイオハザードや28日後、もっと前だとアウトブレイク等、ウィルスや細菌の感染爆発パニック物は定期的に制作されている。
この系統の作品ってどれも微妙に方向性は違っていてもまずまず見応えのある作りのモノが多いですね。
本作はバイオハザード系ではなくアウトブレイク系。感染した人がゾンビ化する訳ではなく、原因不明の新種のウィルスによって
世界中で感染爆発が起こる事で現れる、様々な人間模様を丁寧に描いています。
登場人物が多く、その誰もがオスカー俳優クラスという何とも贅沢な作品で、映画冒頭からグィネス嬢があっけなく逝っちゃうし
「コイツはきっといいもんチームだからきっと最後まで生き残るキャラだな(キリッ」と思ったケイト・ウィンスレットなんて
あっちゅー間に感染しちゃって「えー!えー?えー!?」の連続w
役者の格とかギャラの高さが=最後まで生き残るキャラ、というハリウッドの不文律をものの見事にぶった切ってくれます^^;
本作が描き出す柱ネタは、非常時に見せる人間のエゴと正義のあやふやさ、みたいなモノだろうと思う。
研究機関の医師達は一刻も早くワクチンを作り出したい、そして世界の皆を助けてあげたいと思っている。
でも世界の前に「まずは自分の愛する人を助けたい」と思うのが人の心。
だが研究者が自分の立場を利用して国家機密を漏らしたり、自分の家族優先にワクチンを手配するのは人道的にどうなんだろう?
それを暴きだして糾弾するジャーナリズムはまぎれもない正義の行動だろう。
でも、だったら個人的に誰かが愛する誰かを助けたいと思う心は悪なのか?正義ではないと言い切れるのか?
並んでいても自分の分の配給が回って来る保障なんてない。薬が買える保障なんてない。
朝からずーっと並んでいたのに、散々並んだ後で「今日はここまでしかお売り出来ません」「もう配給はありません」なんて言われたら
略奪してでも手に入れたいと思ってしまう、勢い暴徒と化してしまう・・・もちろん略奪は犯罪だし、秩序を乱す事も
人としてよくない行いなのは誰だって判っている。
でもそれが愛する家族にご飯を食べさせる為、家族の病気を一刻も早く治してあげたいという真心からの行動だったとしたら?
・・・そんな、エゴと正義が表裏一体になった色んな人間行動パターンを様々な立場の人間を通じて見せて行きます。
感染爆発が起こってから○○日目、みたいな感じでどんどん状況が悪化して行って、その後ワクチンが開発されてから
徐々に秩序を取り戻して行く(のであろう)過程を描いているんですが、モノがなくなり秩序を無くし、人々が暴徒化して
略奪の限りを尽くしているシーンを見ていて、「日本人はこーはならないんじゃないかなぁ~」とボーッと考えていた。
あの未曾有の災害、東北大震災の大津波であれだけ沢山の人を喪い、家を失い、土地を失い、全てを失った東北の人達が
いつ救援物資が届くかもわからないような悲劇的状況になっても、それでもみんな秩序を守ってギリギリの物資をかき集めて
それを体の弱い人から順番に分けながら、ただひたすら嵐が過ぎるのを待つかのように大人しく救援を待ち続けていましたよね。
失礼ながら、同じように地震にあった中米ハイチでは地震後に略奪が物凄くて、救援物資を積んだヘリが、暴徒化した地元民が
恐ろしくて着陸出来ずに上空から支援物資を投げ落としていたそうですし。
日本人は有事に強いというのか、有り得ない状況になってもパニックにならずにまず秩序を守ろうと考える人が多い気がする。
「自分(と自分の家族)さえ助かれば」みたいな行動を取る人が少ない。略奪に走るよりも、秩序を守って順番に並び、
それでもし配給が回って来なくても大人しく待ち続ける・・・日本人って「人としての誇りを捨てる位なら死んだ方がマシ」
というメンタリティの人が物凄く多い気がする。そして私は自分が日本人として生まれて来て良かったと心から思う。
ま、でも本気でこの映画みたいな事態になったら、きっと誇り高き日本人は真っ先に死んで略奪に走るヤツが生き残るんだよねw
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「指輪をはめたい」
芥川賞作家・伊藤たかみ氏著の同盟タイトル小説を「大胆に脚色して(←公式サイトによる)」映画化。
脳しんとうを起こして記憶喪失になってしまった主人公の男を山田孝之。主人公を取り巻く女性たちを真木よう子、池脇千鶴、
小西真奈美らの人気美人女優が演じる、正に今流行りの「モテキムービー」というヤツですね。
あらすじは
企業や一般家庭に「置き薬」を設置・メンテをする営業をしている主人公の片山。彼はある日得意先のスケートリンクで転倒して
脳しんとうを起こし救急搬送されたのだが、目を覚ました時に何故自分がスケートリンクで転んだかを覚えておらず、
更に自分のカバンからは婚約指輪が出てきたのだが、何故か自分の恋人についての記憶だけがスッポリと抜け落ちていた。
そんな片山の目の前に現れた女性が3人。1人は会社の先輩で才色兼備の「智恵」、もう1人は得意先の風俗店の巨乳美女「めぐみ」
そして3人目は公園で人形劇屋台をやっている清楚な家庭的美女「和歌子」
その3人がそれぞれ片山を恋人のように接して来るのだ。片山は一体誰にプロポーズするつもりで指輪を持っていたのだろうか?
自分の恋人の記憶を取り戻そうとする主人公は、事故に遭ったスケートリンクに行けば何か思い出すのではないか?と足繁く通って、
そこで知り合った謎の美少女「エミ」の助言に従って恋人候補らしき3人の女性とデートをしたりリサーチしたりしながら
自分の記憶を掘り起こそうと苦悩する・・・という話なんだけど、このスケートリンクで出会う謎の美少女の存在はリアルなのか?
という部分が、実は本作の最大のキモだったりする。
監督はデザイナー&イラストレーター出身だそうで、特にスケートリンクで出会う謎の美少女との絡みのシーンはフワフワとした
幻想的な絵作りをしていていかにも「イラストちっく」な感じの絵作りにこだわっている模様。
随所にコミカルなシーンを配置していて、結構ベタな小ネタ(でもこういうのが実は一番鉄板でウケたりする!)で観客を笑わせる。
記憶を無くした主人公は、自分に3人の美女がそれぞれ当たり前のように恋人として振舞って来る事に大いに困惑してキョドっているのだが
(その反応や様子を見た観客は主人公に実直で真面目な印象を受ける)でもちょっと待って欲しい!
彼女達の様子を見るに、この主人公は記憶を無くす前は3人に、それぞれさも自分の恋人のように振舞っていた、という事に他ならないのだ。
要するに実直そうに見えるけど、主人公は美女を3股掛けるトンデモ兄ちゃんだった、という事なのだ!
・・・と思い至ったトコロで、なんとなーくだけどオチがうっすら見えたw
自分が想像したオチとはちょっと違ったけど、でもまあ大体方向性は当たってた。まあそーだよなー・・・って感じで^^;
こういうオチって個人的に何だか「モヤッ」とすると言うのか、尻の座りが悪いんですよね。
まあ美女に囲まれたら最終的にこの落とし所が一番いいのだろう、というのは判るんだけど、でも謎の美少女の処遇が今ヒトツなぁ~(ブツブツ
根本的に謎の美少女の年齢設定にムリがあるような・ないような。配役にムリがあり過ぎるんじゃないか?(オチから遡って考えると)
あんまり書くとオチバレになってしまうのでアレなんですが(つーか既にオチバレしてるっぽいw)個人的に何か納得いかない感じ。
アレだねー。映画「モテキ」が予想以上のメガヒットになっちゃったから、逆に本作はモテキの輝きに霞んじゃって
キャスティングとポスター見ただけで「1つ大当たり映画が出ると、直ぐに似たり寄ったりの焼き増し映画が作られるよねー」とか
言われちゃって闇に葬り去られそうな・・・そんなお気の毒な空気が感じられるのですが?どうなんでしょうね^^;