「白い牛のバラッド」
イラン×フランス合作、第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品。
流石にイラン映画は観た事ない気がする…本作の主役を演じたマリヤム・モガッダムさんが脚本、監督も務めています。イラン社会ではかなりの進歩的女性だよねきっと!!
あらすじ
シングルマザーのミナ(マリヤム・モガッダム)は、テヘランの牛乳工場で働きながら聴覚障害のある娘ビタを育てている。ある日、裁判所に呼び出された彼女は、1年前に殺人罪で処刑された夫のババクが無実だったと告げられショックを受ける。裁判所に通い、死刑宣告をした担当判事に謝罪を求める中、ミナは夫の友人だと名乗る男性レザ(アリレザ・サニ・ファル)の訪問を受ける。(Yahoo!Movieから丸パク)
残念ながら本作はイランでは上映中止になっているそうで…そういう部分も含めて本作がいかにイランという国の矛盾や理不尽に切り込んでいるか、という事の現われですよね
…とエラソーに書き出しましたがイランについてほぼなーんにも知りません。勿論行った事もありません。だから「ムスリム国家あるあるなんだよね?きっと」程度の知識で本作を鑑賞したアホのBBAの戯れ言だと思って以下ご覧下さいすいません真面目な映画レビュー期待して当記事を目にされた方(滝汗
映画冒頭からタイトルにもなっている「白い牛」が広々とした処刑場?にたたずんでいるカットシーンが入り、このシーンは後にもカットインして来ます。
牛はイスラム教では生け贄に供される動物で、「白い=無実(冤罪)→白い牛が生け贄にされる→冤罪で処刑される」という暗喩のようです。
イランは日本と同じく死刑制度のある国で、しかも世界で2番目に死刑執行数が多い国なんだそーです。
…ちょっと気になって「じゃあ世界一死刑執行数が多い国って何処なんだ?」と思って今ちょっと調べたら…ぶっちぎりで中国だってさ。ナルホドねー(苦笑)
まあ、そんなこんなで何しろ世界で2番目に死刑執行数が多い国の事なので、冤罪を晴らすチャンスもなくとっとと処刑されちゃったりするケースもやはりあるみたいで、本作はそんな冤罪で処刑されてしまった夫の名誉回復…というよりも真実を見抜けなかった判事からの心尽くしの謝罪が欲しい、と切望する未亡人のヒューマンドラマです。
映画ポスターにデカデカと「衝撃の冤罪サスペンス」というPOPがありますが、サスペンス要素はほとんどありません(キッパリ)
主人公の未亡人・ミナの元にある日「処刑されたババクの古い友人」と名乗るオッサン(レザ)がやって来て、生前ババクから借金していたと告白し大金を返済に来るトコロから始まるんだけど、この一見親切そうで胡散臭さMAXな「レザ」という男がどういう立ち位置の人間で何が目的でミナに近付いて来たのか…は、割と早い段階で観客に提示されるので、本作にサスペンス要素を無理矢理こじつけるとしたら「ミナがいつ真相を知るのか・知ったミナはどういう判断を下すのか」という部分でしょうか。
作品全般で「イランでのシングルマザーの立場激弱問題」が提示されて行きます。
何故か【シングルマザー=離婚した(離縁された)女】というレッテルが貼られているし、本作のように死別していたとしてもとにかく「単身女性」「シングルマザー」に対しての世間の風当たりの強い事強い事…そもそも仮に本作の主人公が死別ではなく離婚でシングルマザーになっていたとしても、何故離婚が差別対象になるのかサッパリ意味不明。
今や日本でも結婚した夫婦の1/3が離婚するというデータがあるというのに、イランさんちょっと感覚が昭和過ぎませんかと(苦笑)
シングルマザーの家に見知らぬ男性を招き入れただけで賃貸物件から強制退去させられたり、シングルマザーだと新規で賃貸契約も出来ない、更には亡き夫の実家から様々な圧力を掛けられた上に義弟(夫の弟)はしょっちゅう顔を出しては色目使ってきて「兄弟だから後は俺が面倒見てやるよ」と言わんばかりの態度(うげぇぇぇ)
…さっきもちょっと書いたけど、確かに昭和の日本では本作のイランの描写に似たような事は横行していたと思います。特に夫が夭折して若い内に未亡人になると何故か夫の兄弟と再婚させられる、みたいな話は確かに昔の日本はよくあったと聞いています。
が!既に21世紀に入って20年以上、時は昭和から平成もすっ飛ばして今や令和の時代。いつまでそんな古めかしい差別に凝り固まってんだイランよ!!
と、なかなかにフェミさんが爆発しそうなネタのオンパレードでありました(苦笑)
そして大方の予想通り「後ろめたさからミナ親子にやたら絡んでは親切にするオッサン vs 夫のいなくなった穴を埋めてくれる親切な金持ちオヂに心持ってかれた未亡人」という図式が出来上がるというね、まあそりゃそーなるわな、とツッコミ入れざるを得ない訳ですが。
でも言っちゃアレですが…仕事辞める程の罪悪感あるなら最初っから家の前で土下座でもすれば話早かったんぢゃねーのか?と思わずにいられませんが(滝汗
後、あのクライマックスシーンって、最後のあのワンカットが入っているトコロを見ると…ミナがホットミルクを飲ませたのは妄想だった、という事…ですよね?^^;
ま、とにかく非常に閉塞感の強い…重たいお話でした。日本人には余り馴染みのないムスリム社会の暗部にスポットが当てられていたと思います。
ムスリムの男尊女卑思想は、実は内側の人間にとってはそれ程男尊女卑でもなくて女性は確かに家庭の中に収まっていろ的考え方が主流だけど、それは男性がしっかり稼いで妻子を守るという大前提から成り立っている、意外に女性は家の中で自由に楽しく暮らしているのだ…みたいな話を以前聞いた事がありますが、それって夫婦一対で健全なファミリー状態での話ですわね。本作みたいに夫が何らかの事情で夭折したりそれこそ離婚したら根底から崩れてしまうではないか、と、本作を観てようやく気が付きましたよ。
日本でもシングルマザーが何の差別もなく生きていける完全に健全な社会だ…とは言い難い部分がまだまだ沢山あると思います。
本作を観て色々思うトコロのあるシングルマザーさん、多いんじゃないでしょうか。そしてそれを対岸の火事のように眺めていてはいけませんわね我々も。
イラン×フランス合作、第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品。
流石にイラン映画は観た事ない気がする…本作の主役を演じたマリヤム・モガッダムさんが脚本、監督も務めています。イラン社会ではかなりの進歩的女性だよねきっと!!
あらすじ
シングルマザーのミナ(マリヤム・モガッダム)は、テヘランの牛乳工場で働きながら聴覚障害のある娘ビタを育てている。ある日、裁判所に呼び出された彼女は、1年前に殺人罪で処刑された夫のババクが無実だったと告げられショックを受ける。裁判所に通い、死刑宣告をした担当判事に謝罪を求める中、ミナは夫の友人だと名乗る男性レザ(アリレザ・サニ・ファル)の訪問を受ける。(Yahoo!Movieから丸パク)
残念ながら本作はイランでは上映中止になっているそうで…そういう部分も含めて本作がいかにイランという国の矛盾や理不尽に切り込んでいるか、という事の現われですよね
…とエラソーに書き出しましたがイランについてほぼなーんにも知りません。勿論行った事もありません。だから「ムスリム国家あるあるなんだよね?きっと」程度の知識で本作を鑑賞したアホのBBAの戯れ言だと思って以下ご覧下さいすいません真面目な映画レビュー期待して当記事を目にされた方(滝汗
映画冒頭からタイトルにもなっている「白い牛」が広々とした処刑場?にたたずんでいるカットシーンが入り、このシーンは後にもカットインして来ます。
牛はイスラム教では生け贄に供される動物で、「白い=無実(冤罪)→白い牛が生け贄にされる→冤罪で処刑される」という暗喩のようです。
イランは日本と同じく死刑制度のある国で、しかも世界で2番目に死刑執行数が多い国なんだそーです。
…ちょっと気になって「じゃあ世界一死刑執行数が多い国って何処なんだ?」と思って今ちょっと調べたら…ぶっちぎりで中国だってさ。ナルホドねー(苦笑)
まあ、そんなこんなで何しろ世界で2番目に死刑執行数が多い国の事なので、冤罪を晴らすチャンスもなくとっとと処刑されちゃったりするケースもやはりあるみたいで、本作はそんな冤罪で処刑されてしまった夫の名誉回復…というよりも真実を見抜けなかった判事からの心尽くしの謝罪が欲しい、と切望する未亡人のヒューマンドラマです。
映画ポスターにデカデカと「衝撃の冤罪サスペンス」というPOPがありますが、サスペンス要素はほとんどありません(キッパリ)
主人公の未亡人・ミナの元にある日「処刑されたババクの古い友人」と名乗るオッサン(レザ)がやって来て、生前ババクから借金していたと告白し大金を返済に来るトコロから始まるんだけど、この一見親切そうで胡散臭さMAXな「レザ」という男がどういう立ち位置の人間で何が目的でミナに近付いて来たのか…は、割と早い段階で観客に提示されるので、本作にサスペンス要素を無理矢理こじつけるとしたら「ミナがいつ真相を知るのか・知ったミナはどういう判断を下すのか」という部分でしょうか。
作品全般で「イランでのシングルマザーの立場激弱問題」が提示されて行きます。
何故か【シングルマザー=離婚した(離縁された)女】というレッテルが貼られているし、本作のように死別していたとしてもとにかく「単身女性」「シングルマザー」に対しての世間の風当たりの強い事強い事…そもそも仮に本作の主人公が死別ではなく離婚でシングルマザーになっていたとしても、何故離婚が差別対象になるのかサッパリ意味不明。
今や日本でも結婚した夫婦の1/3が離婚するというデータがあるというのに、イランさんちょっと感覚が昭和過ぎませんかと(苦笑)
シングルマザーの家に見知らぬ男性を招き入れただけで賃貸物件から強制退去させられたり、シングルマザーだと新規で賃貸契約も出来ない、更には亡き夫の実家から様々な圧力を掛けられた上に義弟(夫の弟)はしょっちゅう顔を出しては色目使ってきて「兄弟だから後は俺が面倒見てやるよ」と言わんばかりの態度(うげぇぇぇ)
…さっきもちょっと書いたけど、確かに昭和の日本では本作のイランの描写に似たような事は横行していたと思います。特に夫が夭折して若い内に未亡人になると何故か夫の兄弟と再婚させられる、みたいな話は確かに昔の日本はよくあったと聞いています。
が!既に21世紀に入って20年以上、時は昭和から平成もすっ飛ばして今や令和の時代。いつまでそんな古めかしい差別に凝り固まってんだイランよ!!
と、なかなかにフェミさんが爆発しそうなネタのオンパレードでありました(苦笑)
そして大方の予想通り「後ろめたさからミナ親子にやたら絡んでは親切にするオッサン vs 夫のいなくなった穴を埋めてくれる親切な金持ちオヂに心持ってかれた未亡人」という図式が出来上がるというね、まあそりゃそーなるわな、とツッコミ入れざるを得ない訳ですが。
でも言っちゃアレですが…仕事辞める程の罪悪感あるなら最初っから家の前で土下座でもすれば話早かったんぢゃねーのか?と思わずにいられませんが(滝汗
後、あのクライマックスシーンって、最後のあのワンカットが入っているトコロを見ると…ミナがホットミルクを飲ませたのは妄想だった、という事…ですよね?^^;
ま、とにかく非常に閉塞感の強い…重たいお話でした。日本人には余り馴染みのないムスリム社会の暗部にスポットが当てられていたと思います。
ムスリムの男尊女卑思想は、実は内側の人間にとってはそれ程男尊女卑でもなくて女性は確かに家庭の中に収まっていろ的考え方が主流だけど、それは男性がしっかり稼いで妻子を守るという大前提から成り立っている、意外に女性は家の中で自由に楽しく暮らしているのだ…みたいな話を以前聞いた事がありますが、それって夫婦一対で健全なファミリー状態での話ですわね。本作みたいに夫が何らかの事情で夭折したりそれこそ離婚したら根底から崩れてしまうではないか、と、本作を観てようやく気が付きましたよ。
日本でもシングルマザーが何の差別もなく生きていける完全に健全な社会だ…とは言い難い部分がまだまだ沢山あると思います。
本作を観て色々思うトコロのあるシングルマザーさん、多いんじゃないでしょうか。そしてそれを対岸の火事のように眺めていてはいけませんわね我々も。