予想外に面白かった。図書館から借りたりせずに、ひょっとしたら買うべき本だったのかもしれない。
作品というものが、公開されたその年にどう評価されたかが味わい深い。キネ旬ベストテンが権威として今でも機能しているのは、あるときは政治的であり、あるときは過剰に娯楽指向であったり、常に振幅があるからだと知れる。
戦後の日本映画界が、戦前派(今井正、小津安二郎)から戦後派(今村昌平、大島渚)に中心が移り、そして森田芳光や大森一樹などの自主映画出身者が主流になったあたりでわたしが観客として参戦(笑)したのだという歴史がよくわかった。思えば、日本映画にとって最低の時期ではあるが。
相米慎二の死は本当に惜しかったとも痛感。彼ほど、キネ旬の読者や評論家に愛された監督もいなかったろうに。ちなみに、ウチの奥さんは相米慎二の高校の後輩です。