第3話「構想の死角」はこちら。
タイトルは指輪だけれど、今回は「眼」に視聴者が「着眼」するようにつくってある。
新聞社のオーナー(アメリカにおける有力者の典型)が、年の離れた妻の浮気を疑い、探偵社に調査を依頼する。妻はゴルフのコーチと不倫をしていたが、探偵はその事実をオーナーに告げず、妻に見返りを要求する。しかしはねつけられた探偵は逆上し、“バックハンドで”彼女を殴り、昏倒させてしまう……
事件の一部始終は、探偵のサングラスに投影させて描かれる。こんなマニアックな撮り方が当時のテレビ界では許されていたのかぁ。
探偵を演じるのはロバート・カルプ。70年代のテレビドラマといえばこの人を除いては考えられない。前作のジャック・キャシディとともに、いかにもコロンボっぽいゲストスターだ。警察を退職して近代的な探偵社をつくりあげ、その富の象徴として大きな指輪をしていたことが命取りになるあたり、皮肉がきいている。
追及するコロンボのセリフがいい。
「人を殺すのにバックハンドで殴る奴はいない」
なんかの格言みたいです。
犯罪捜査のプロである犯人を追いつめるために、コロンボはある罠をしかける。被害者がコンタクトレンズを装着していたことを利用したものだが、これ、裁判で使えるかはかなり微妙ではないか。探偵社の職員たちが自分を監視していることを“逆手”にとったのはおみごとだったけれど。
それからもうひとつ。子どもだったころの得意技(排気管にじゃがいもを突っこむ)でコロンボは犯人のクルマを故障させる。後日特集する「ロンドンの傘」でのある行動といい、マジで悪ガキだったんだねぇコロンボって。さぞや、警官ににらまれたことであろう。
第5話「ホリスター将軍のコレクション」につづく。