1杯目はこちら。
さて、海鮮市場に午前11時すぎに着いたわたしたち夫婦は、1階の海産物売り場でヒラメのお刺身を買いこみ(あきれるほど安い)、2階の「とびしま」に向かう。けっこう席はうまっているが行列はない。静かなもの。さて、オーダーするかな。
「あのう、お昼の食事は11:30からなんですけれどお待ちになりますか?」
若い女性店員がやってきて告げる。
「はあ、待ちます。」静かなわけだよ、客は誰も食べてないもん。
「それではお客さまは23番ということで」
「?」
つまり、客は11:30までオーダーすらできず、席にすわって番号を呼ばれるのをひたすら待つしかないのだ。せめてオーダーだけでもとればよさそうなものだが、ある事情があってそうもいかない。それは『限定メニュー』があるから。
「海鮮どんや とびしま」の超人気メニューは「刺身舟盛膳」。名前のように舟盛りにされたお刺身がメインディッシュで1050円。なんじゃそりゃ。他にもアラカルトな「とびしま繕」などの限定品は売り切れ御免なのである。
23番などというハンパな数字では(ということは先客が50人以上いたわけだ)およそ舟盛膳は無理だろうなあ……そのとおりでした。11:30に点呼があり、客は写真のように一列に並ぶ。で、前の客たちはほとんどが舟盛膳をオーダーしていて、途中で「売り切れました」のボードに「刺身舟盛膳」のステッカーが……ま、仕方ないか。わたしたち夫婦はちゃんと次善の策を用意していたのである。
以下次号。