爆弾からのびたコードの赤を切るか青を切るかのサスペンス、時限爆弾の秒針の動き……「ジャガーノート」「ピースメーカー」、キムタクが古畑任三郎にビンタをくらうタイトルもそのものズバリ「赤か、青か」など、傑作が目白押し。
そんななかでいちばん笑わせてくれたのは往年の名作日テレ探偵コメディ「俺たちは天使だ!」。分針が12をさす直前に時限爆弾を海に放り投げ、ほぼ同時に爆発。沖雅也だったか柴田恭兵がひとこと。
「犯人が几帳面なヤツで助かった」
まったくだ(笑)。
「ハート・ロッカー」は、ただでさえ緊張を強いる爆弾映画のなかでも、とびぬけて観客を疲れさせる作品になっている。舞台はイラク。米軍爆発物処理班は一年間のローテーション(任務期間)で“勤務”している(残り○○日、とスーパーインポーズが入り、テーマにつながっている)。三人でチームを組む彼らは、常に死と隣り合わせにある。テロリストによって爆死したリーダー(なんとガイ・ピアース!)に替わってやってきた新任のリーダー(ジェレミー・レナー)は、死をまったく恐れていないかのようであり、チームを恐慌に陥れる……
ある者にとって戦争は麻薬だ、とするテーマに沿って監督のキャスリン・ビグローは、除隊して家庭人となると(シリアルもひとりでは選べないほど)まったくの無能者となってしまうリーダーをクールに描いている。
Hurt Lockerとは直訳すれば「傷ついたロッカー」だが、米軍では「棺桶」という意味で使われている。同時に、“激しい痛みをともなう場所、時間”のこともさすのだとか。リーダーにとってハート・ロッカーとは、はたして戦場なのか家庭なのかという苦みが残るラストになっている。
地味なキャスティングなのかと思っていたら、ガイ・ピアースの登場に驚かされ、おまけにレイフ・ファインズやデビッド・モースまで。アクション映画に異様な冴えをみせるビグローに(「ブルー・スチール」は必見)、俳優たちも信頼を寄せているのだろう。なにより、ハンパな女優よりはるかに美人だしね。あれでもうすぐ60才とは……前のダンナみたいにCGってことはないよな。