事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

BOOK3騒動

2010-04-16 | ニュース

41mrffbkeml 朝からテレビは1Q84のBOOK3で持ちきり。
港座のポスターを貼ってもらいに地元の小さな書店に行ったら、もう影も形もなくなってる。娘も読みたいと言っていたので、発売初日に買うのもオツだなあと思っていたのに。

「BOOK3は売り切れですか?」

「なんですー。次は23日まで待たなきゃいけなくて。20冊は入るはずなんですけど……」

新潮社もうまい。BOOK1BOOK2がそれぞれ100万部以上売れているのだから、まずは80万部は初版でかまして“早いうちに売り切ってしまおう”というのが近年の商売の常道。でも初版は50万部にしぼり、飢餓感をあおりまくり。

いいことだと思う。

小説のつづきが読みたくてイライラする、って経験を、わたしたちは近ごろ、あまりにしてこなかったじゃないですか。
まさかそれが村上春樹の作品であり、オウム真理教と女性の殺人者がからんだ物語だとは誰も想像もしなかっただろうけれども。

青豆という奇矯な名前の暗殺者の純愛が、はたしてどうなるのかはわたしだって気になる。
でも蛇足になんなきゃいいなあ、とちょっと不安。でも村上春樹だからな、そこはうっちゃりをかますんじゃないかとも期待……あ、やっぱり売れるわこりゃ。BOOK3が一種の騒動になっているのだから1と2もまた売れるわけだ。けっこうだ。

正直なところ、こんなに村上春樹が売れる時代が幸福だとは思っていない。混迷をきわめる時代(まるで空に月がふたつあるような)だからこそ、実は村上のように冷静で、辛辣なユーモリストの発言が求められているのだろうから。

電子書籍がどうのと騒がれるご時世に、午前0時から紙でできたアナログなツールを求めて行列ができる……出版界にとって、これほどうれしいニュースはないんじゃないか。

ってことでBOOK3につづく

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刑事コロンボを全部観る~Vol.19「別れのワイン」

2010-04-16 | テレビ番組

Columbo03 Vol.18「毒のある花」はこちら

 文句なく傑作。何よりも、犯人が“自供する動機”がすばらしいのだ。

 ヴィンテージワインの収集家として名高いエイドリアン(ドナルド・プレザンス)は、父が遺したワイン工場を大衆向けワインメーカーに売り払おうとする弟を、激怒して電話機で殴る。

 彼は昏倒した弟をワイン貯蔵庫まで引きずり、エアコンを切って窒息死を図る。その間、アリバイづくりの意味もあって、長年仕える秘書カレン(「エデンの東」のジュリー・ハリス)とニューヨークにワインの競売に出かける。

帰りの飛行機で、落札したワインをかかえたエイドリアンに秘書はため息まじりに訊ねる。

「(落札したワインは)ほんとうに必要なんでしょうか」

「5000ドルのワインなど、ほんとうに必要とする者など世の中にはいないよ。ただわたしは、他の人に渡したくないんだ。」

コレクターとしての意地と、ワインへの愛情がここで理解でき、犯行が必然であることを観客に訴えかけている。そして、秘書との価値観の違いも。

 “よきイタリア人の父”と、“名門のイギリス人”の間にできた兄弟は、あらゆる意味で対照的。女にだらしない弟と、禁欲的な兄。フェラーリとロールスロイスという、ふたりの乗っているクルマが象徴してもいる。その、オープンカーであるフェラーリが海岸線に乗り捨ててあり、しかし雨の日だったのになぜ幌をかけなかったのか、という疑問からコロンボは殺人を疑う。

 ワインにまったくの門外漢だったコロンボは、必死で学習する。近所の酒屋に出かけていって店主に無邪気に質問。

「いいワインと悪いワインはどこが違うんだい?」

「高いワインがいいワインだ。」

実はこれ、ラストにつながるいいセリフなんです。以下次号!

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