PART4百田尚樹篇はこちら。
「うちは共産主義じゃないから中国と違って(野党が)何でも言える。パクられることもない」
麻生副総理兼財務相が先月の記者会見で、香港フェニックステレビの記者の質問に答えたもの。麻生の失言についてはもう慣れっこになっているけれど、慣れっこになっちゃいけないとするのがこの企画なので懲りずにとりあげます。
にしてもこの発言はひどい。いくらなんでも公的な場での発言としてレベルが低すぎる。ネットでこの会見をわたしも見てみたが、意外なことに麻生財務相は疲れ切っているように見えた。憔悴と言ってもいいくらいに。これはおそらく、香港の記者の質問の内容に関係している。彼女(慶応卒で十数年間日本に滞在している)はこう質問したのだ。
「AIIB(アジアインフラ投資銀行)への参加見送りについて、外交の失敗ではないかと野党から批判が出ていますが」
麻生は、そして財務省は、中国主導のAIIBに参加しないことが外交の失敗だとは微塵も考えていないと思う。ただ、その是非はともかくとして、イギリス、ドイツ、ロシア、フランス、イタリア、オーストラリア、ブラジル、スウェーデンなどの諸国、特にドイツの参加は想定外だったはずで、その意味で彼らはあわてふためいている。あわてても、しかし失敗とは考えない。なぜなら、アメリカの機嫌を損じないのが現政権の最優先課題だから。
中国の影響力が、自分たちが考える以上に巨大なことにたじろぎ、だから中国人に向かって(と同時に自国民に向かって)虚勢をはって見せたのが今回の騒動につながっているのだと思う。
わたしがつくづく情けないと思うのは、麻生の失言に愛想笑いをする記者たちだ。文字どおり仲良しクラブである記者クラブに、だからこそ会員以外のメディアを入れたくないと頑強に拒んできた理由がここにうかがえる。そして、仲良しクラブだからこそ麻生のような人物は(なにしろ話す相手は“身内”だから)安心して放言をつづけるのだろう。海外メディアが驚くのも無理はない。
うーん、それにしても日本には本当の意味での『パートナー』っていないんだなあとつくづく。
本日の一冊はみうらじゅんと宮藤官九郎の「どうして人はキスをしたくなるんだろう」。女性たちの猥談はすごかったが、男たちのそれはなんかかわいい。でもね、母子手帳に“生産”されたときの体位が記載されていると恥ずかしいというネタにはひっくりかえって笑わせていただきました。「正」とか「背」とか「座」とか(笑)
PART6「サンデーモーニング」につづく。