第21回「櫻の園」はこちら。
今日は三人のヴィーナスをフューチャーした回だった。
まずは志ん生と結婚することになるおりんさん。演ずるは夏帆。彼女がのちに池波志乃になるのは、ルックス的にもぴったりだ。彼女が象徴するのは(実はいちばん若い世代なのに)、芸人と堅気の世界の乖離に悩む姿。飲む・打つ・買うが芸の肥やしだとする常識に彼女は翻弄されることになる。おりんさんいいんですか。あなたにはこれから壮絶な貧乏暮らしが待ってるんですよ。
続いてはあの人見絹枝。演ずるは菅原小春。え、誰?高名なダンサーなのでした。すんごい雰囲気がある人。自分の身体が大きく“男っぽい”ことにコンプレックスを抱える少女として登場。
わたしの父親はこのドラマを激しく憎むものではあるけれども(笑)、「お、人見絹枝か」と意気込んでいた。つまりは大河ドラマらしく「のちの……である」的な有名人登場のエピソードでもあったわけだ。
今でもたおやかな女性は賞揚される傾向はあるけれども、わたしは違うな。ガタイのいい女性ってかっこいいじゃないですか。よけいな話だけど、女性のほうが背が高いパターンのラブストーリーとして、山田太一の「君を見上げて」は傑作ですのでぜひ。まだ文庫で出てるのかな。
最後は村田富江。モデルはいるようだが架空の人物。演じているのは「ごめんね青春」でも走っていた黒島結菜。父親(板尾創路)の期待に応えてお嬢様学校に通い、しかし金栗四三の影響でスポーツに目覚め、公衆の面前で“脚”をさらす。そのために金栗は……
先週につづいて学園ドラマ。書いている宮藤官九郎の喜びが伝わってくるかのようだった。実は背景に、アスリートをアイドルとしてしか扱えない日本のマスコミに対する皮肉も仕込んであるのだろう。でもそのあたりの毒を、いつ子どもを仕込んだんだ四三!というギャグでくるむあたりの芸が今日もすばらしい。
第23回「大地」につづく。