2019年9月号はこちら。
さて、先月号で「どうして教員志願者は減ってしまったのか」を特集すると予告しましたが、それ以前に「なぜ教員採用試験の倍率が下がったのか」を検証しておきましょう。
倍率はもちろん
「分子(志願者数)/分母(採用数)」
で求められますが、分子の減少ももちろんあるけれども、分母が大きくなっているという要因も見逃せません。主な理由は
・第2次ベビーブームを背景にして大量に採用された教員の退職
・特別支援学級の増加に伴う定数増
……あたりでしょうか。まあ特別支援学級云々はともかく、大量に採用した職員が大量に退職するのは理の当然なので、採用する側はもちろん方策をとって……なかったんですね。
うまくいかなかった理由として、圧倒的な少子化によって定数が読み切れなかった、と説明されることが多かったと思います。しかしこれにしたって、出生と就学にはタイムラグがあるので、計画的な採用(他県からのリクルート、講師経験者の優遇とか)をもっと精力的に行っていれば、ここまでの状況にはならなかったはずなのに。
実はもっと大きな要因として『総額裁量制』というやつがあるのですが(学校事務職員にはおなじみ)、こむずかしい話になるので今回はなかったことにします。
さて、分母はこのように大きくなりましたが、分子の方はどうでしょう。志願者減についてもいろいろと考えられます。
・民間の求人が好調で、教員養成系大学・学部からも卒業生が民間会社に流れた
・少子化に歯止めがかからない(=顧客の減少)以上、非成長産業と結論づけられた
・特に旧国立大学の教員養成学部の定員が削減された影響が出てきた
……いちいち、思い当たりますね。乱暴な話をすれば
・そもそも受験する世代の人数が少ない
という身も蓋もない理由も。しかしメインはやっぱりこれ。
・学校がブラックな職場であることが喧伝され(というかホントだけど)、敬遠された
……この状況を改善するために、各方面から推進されようとしているのが
「変形労働時間制」
というやつです。いったい何を考えてるんだっ!と学校事務職員が怒っている理由は来月号で。
画像は「ジョーカー」 JOKER(2019 WB)
はたしていじめられっ子はいじめっ子を殺してもいいのか。学校においても重要な問題をはらんだ展開。西の方の小学校教師たちに見せてやりたいと思った人は多いはず。ホアキン・フェニックス名演。傑作。