事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「氷菓」(2012 神山高校古典部OB会)

2020-06-06 | アニメ・コミック・ゲーム

米澤穂信の古典部シリーズのアニメ化。実写映画化された「氷菓」が理不尽なくらいにぼろくそに言われたのは、きっとこのアニメと比較されたからかも。

わたしはアニメファンというわけではないので、現在のアニメ(もっとも、この作品はだいぶ前のものだが)のメインストリームがどのあたりにあるのかはよくわからない。

愛くるしい女性キャラが際立つこのアニメが主流だとすれば、なるほど広瀬アリスが妙に艶めかしかった実写版とは相容れなかったかもしれない。わたしは糸魚川先生が斉藤由貴だっただけでうれしかったけどね。

にしてもそんな美少女キャラふたりを、エンドクレジットでまるでAVのような配置をするあたり、かなり趣味的なアニメ。うん、やっぱり王道を歩んでいるんでしょう(後半はミステリの名作タイトルがすごい勢いで流れる。全部は追い切れませんでした)。

原作の第一作「氷菓」から第四作「遠まわりする雛」までを網羅。省エネ主義の、運がいいだけで(と本人は主張する)事件を解決する名探偵折木奉太郎と、いつもはおしとやかなのに日常の謎に

「わたし、気になります!」

と覚醒する美少女、千反田えるが中心のお話。目が紫色に輝くえるの人気が爆発したのも無理はない。

原作の展開と同様に、初めはシリアスに、途中でコメディ色が強くなり、次第にふたりの恋愛が中心になっていく。もちろんミステリとしての面白さは折り紙付き。心憎いばかりだ。

しかも、絵が異様に美しい。これが製作した京都アニメーションという会社の最大の特徴らしい。DVDには特典映像としてロケハンの様子が入っていて、米澤穂信の生地である飛騨高山を徹底して取材している。ていねいな仕事をしているんだなあと感服。

しかし、同時に少しもの悲しくもなる。なぜなら、その映像にいた演出の武本康弘たちが、あの事件のために焼死したことをどうしても意識してしまうから……。

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「ジュマンジ」「名前のない人」クリス・ヴァン・オールズバーグ著 村上春樹訳

2020-06-06 | 本と雑誌

あの村上春樹が映画「ジュマンジ」の原作絵本を訳していると知って、どうしても読みたくなり、司書にリクエスト(そうだよ卑怯な男だよおれはよ)。「名前のない人」と2冊。

え、と思った。すばらしいのだ。村上春樹の訳文がクールなのはもちろんだけど、物語とイラストも同様にどこかクールなの。この、クリス・ヴァン・オールズバーグって作家はすごいなあ…………

あ、「西風号の遭難」の作者だったのか。わたし、ちゃんと自分でそちらは買ってました。えらいぞおれ。

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