菅義偉という人物を中心に置いて、日本の政治、政府、マスコミ、そして国民の現状を描くドキュメンタリー。
なぜパンケーキなのかといえば、首相就任時に菅がマスコミ関係者とパンケーキで会食したことに由来している。そしてこのエピソードはマスコミによってあたたかく報じられ、高支持率の一因となったと言われている。
あの、ふわふわの(あるいはスカスカの)パンケーキは菅そのものだと主張したタイトルというわけ。
前半は菅がいかに質問にまともに答えないかが列挙される。
「YesかNoか」を聞かれても、秘書官が後ろで必死に書いた原稿を読み上げるだけなのである。あるいは、「i-新聞記者ドキュメント」で描かれたように、東京新聞の望月記者の質問をまったく無視するとか。
これは、安倍~菅内閣の最大の特徴と言うべきもので、要するに言葉を信用していないのである。真摯なやり取りなどおよそ期待できない9年間だった。
で、問題はこちらもそれに慣れてしまったこと。だから政治に何も期待しなくなっていくし、少なくとも国会の論戦を見続けようなどとは……
この映画は、それが菅を中心とした与党に有利に働く事情を明らかにしている。投票率が下がれば、組織中心の政党がどうしたって勝っていく。それでいいのかと。かなりあからさま。だから胸倉をつかんでゆすぶるように“面白く”語っている。
後半の学生たちのコメントが印象深かった。
「なぜ若い世代で内閣支持率が高いかって、与党のことしか報じられてないじゃないですか」
「野党って、与党を攻撃ばっかりしてるでしょ。なんか性格悪そう(笑)」
お勉強になります。出演者として石破茂、村上誠一郎、江田憲司、古賀茂明、前川喜平、そしてノンフィクションライターの森功。彼は官僚を取材して
「菅さんをリスペクトしてる官僚って、聞いたことがないですよ」
うーん、本当にお勉強になったのでした。大ヒット納得。こんな結末を迎えたことで、ああ何か変わるんだってことがわかってもらえたのかな。東根まで観に行ってよかった。