プロインタビュアーとして絶妙の冴えを見せる吉田豪。今回はアニメ界の巨匠たちにディープに語らせている。ちょっと前に「吉田豪と15人の女」(白夜書房)というアイドルインタビュー集も読んで、んもうおじいちゃんも娘っ子もなんでも来いだなこの人は、と堪能。
とにかく相手のふところに飛び込んで、その本音(語りたくて仕方がないけれどもこれまで黙っていたこと)を引き出すテクニックたるや。だいたい、タイトルからして巨乳ハンターのもじりなのだから泣かせる。
さて、わたしが驚いたアニメ業界の(往時の)事情とは……
富野由悠季
「かすかに僕のやろうとする意味をわかってくれる人が出てきたときも、その人と僕は馬が合わなかったために、結局は手を組めなかったんです。それが鈴木敏夫さん」
「(「海のトリトン」のラストを原作から変えて)シナリオライター全員と大ゲンカして、それ以降彼らとは一切仕事ができなくなりました。」
「テーマ曲のほうもとんでもない歌手を(プロデューサーの西崎義展が)連れてくるわけです」
それが翌年に「神田川」が大ヒットしたかぐや姫。
……そうだった。なぜかエンディングテーマはかぐや姫だったんだよな。ボーカルはのちの「すどうかづみ」としてウィークエンダーで有名になった須藤リカだったの。
松本零士
「昔、朝日新聞西部支社の前に住んでて、で宣伝部に松本清張さんがいたんですよ。『おまえ、漫画描いてるんだって?これやる』ってサザエさんもらったんですよ。その斜め前には萩尾望都さんの家があるんですよ」
「短気なことは短気ですけど、我慢するときは我慢します。」
その昔、宇宙戦艦ヤマトがオールナイトニッポンで特集されたとき、明け方にやってきた松本は「こんなところに来たくはなかったんだ!」と激怒していました。短気です(笑)。
っていうかみんな西崎義展を恨んでるんじゃないか。