「コタキ兄弟と四苦八苦」がむやみに面白かったので、山下敦弘監督作品をチェックしていたら、なんと北杜夫原作のこれを見逃していた。しかも主演は松田龍平。どうして見ていなかったんだろう。
生活力も運動神経もまるでなく、兄の家に居候する哲学者。甥っ子をだしにお小遣いを稼いだりする知恵はある。まあ、高等遊民である。明治期の高等遊民を描いた夏目漱石原作の「それから」に主演したのは龍平の父、松田優作だったなあ。
あちらの主人公は壮絶な悲恋に突き進むが、こちらのおじさんは日系四世のエリー(真木よう子)にひとめぼれ。金もないくせにハワイまで追いかけていき……
ひたすらにゆるい物語。気持ちいいです。どうやら主人公は北杜夫自身がモデルらしい。子役たちがいい味をだしているし、兄夫婦が宮藤官九郎と寺島しのぶという無駄な豪華さ(笑)
北杜夫にしても、井上ひさしにしても、どうにも山形ゆかりの巨匠たちが忘れられがち。そういえば自分も読んでいない。久しぶりに読んでみようか。