ものすごく久しぶりの道連れ彦輔シリーズ。十数年ぶりなので設定からなにからすっかり忘れてました。
思ったよりもめんどうな旅になりそうだ。
素性も分からぬ美少女の道連れ(付き添い)で中山道を行く彦輔たち。
珍道中を襲う数々の難関! 敵の真の狙いとは!?
江戸の旅情あふれる傑作時代小説。
(毎日新聞出版HPより)
……思い出してきた。旅の道連れとして、用心棒のような役割で稼ぐ、しかし実は御家人の三男坊である彦輔のお話。
今回の舞台は中山道。「一路」で浅田次郎が描き、某テレビ局の女子アナが「旧中山道」を「いちにちじゅうやまみち」と読んだあの街道。「一路」は参勤交代をめぐる大騒ぎだったが、こちらはちょいとわけありで、違った意味で苦労する。
「入り鉄砲に出女(いりでっぽうにでおんな)」
という有名なフレーズがあるけれど、江戸幕府は鉄砲の持ち込みに神経をとがらせた。謀反を恐れたわけだ。
では出女は?大名の妻女をわざわざ江戸に住まわせて人質にとっているのに、勝手に出ていかれては困ると。だから関所における詮議は厳しい。
それなのに彦輔が連れているのは男装の美少女。そのために何度も苦労させられる。にしても中山道は難所の連続。女連れの旅なのになぜ東海道ではなく中山道が指定されたのか……
500ページ近い長篇。逢坂剛お得意のユーモアをまじえながら(重蔵始末シリーズと連関しながら)ゆったりとお話は進む。挿画も素敵。