事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」(2014 東宝=フジテレビ)

2014-03-10 | 邦画

O0800047512844854298 日本映画をほとんど観ないという読者に、面白い作品を選ぶコツを教えてあげた。

・尾野真千子が出ているか

・山田孝之が出ている

映画を選べばいいんです。彼ら、あるいは彼らのスタッフに脚本を読む力があるのかもしれず、彼ら自身の魅力で映画が底上げされるという事情ももちろんあるだろう。

「土竜の唄」には山田孝之が出ています。そのうえ宮藤官九郎脚本です。なにしろ三池崇史監督作品です!これで面白くないわけが……うーん、微妙(笑)。

原作のコミックを読んでいないので、どの程度の改変が行われているかはわからない。でも、潜入捜査が認められていない警察と、可能だけれども麻薬がらみしか摘発できない厚生省麻薬取締部の中間に、表向き警察を懲戒免職になった菊川玲二(生田斗真)が潜入捜査官となってやくざ組織に入り込む……いいよね?いい感じだ。

なにしろ生田斗真の気合いがすごくて、およそジャニーズの人間が全裸で車のフロントグラスにしばりつけられ、洗車機のなかにそのまま突っ込まれるという扱いを受けたことがあっただろうか。

アクションのきれもいいし、JAC出身の堤真一、鈴蘭高校出身の(笑)山田孝之と互角に渡り合っているのが頼もしい。身体中がセックスでできているような(たまにいますよね)ガールフレンドの仲里依紗もひたすらセクシー。キャスティングをあいかわらずチェックしていなかったので、猫沢役があの人だったのはうれしい驚き。

初体験のときに上役の顔を思い出してガマンし、しかしその最中に発射してしまったものだから、その上役に会ったときに照れてしまうという爆笑なシーンや、捜査官として元上司と会うのが「まとり」というおでん屋であるなど、笑えるネタてんこ盛り。

でもね、でもいまひとつなんだー。おそらくそれは、遠藤憲一、吹越満、皆川猿時で新スリー・アミーゴスを結成させながら、どうも化学反応をおこせない演出のせいだと思う。

あまりにはまった面々と脚本を用意されると、職人三池崇史はかえって調子狂っちゃうのでは?思えば、「ゼブラーマン」がやっぱりそうだったもんなあ。ま、大ヒットしているので(1スクリーンあたりの数字が凄い)めでたいことではあるんだけど。

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軍師官兵衛~第十話「毛利襲来」

2014-03-09 | テレビ番組

Riraimg01 第九話「官兵衛試される」はこちら

ということで今回は別にモンゴル人が攻めてくるわけではありません。前回のように飲みがあったけれどもちゃんと起きてました。で、視聴率は15.4%と微減。ふーん。裏番組の作家が、なんで?と思うぐらいに日テレ絶好調のあおりをくらっているみたい。

で、モンゴル人じゃなくて広島県人が大挙して兵庫県に攻めてきたわけだ。これって仁義なき戦いの逆方向?

この絶体絶命の危機を、官兵衛は奇策を用いてしのぐ。奇策ではあるけれども、領民から信頼されていなければ成立しない作戦なので、大河ドラマの主人公として合格か。

毛利と本願寺が示し合わせた作戦であることは明確。だから門徒は官兵衛の下では生きづらいはず……

前回、侍女たちがクローズアップされ、彼女たちが門徒衆であるために小寺家から離反しているくだりがねちっこく描かれていたのは伏線だったわけだ。で、妙にみんな綺麗だし、妙に宇宙人っぽい女性(福島リラ)が気になっていたの。どうやらそのあたりが善助とのラブコメに発展するようだ。

「まあ、門徒さんは(当時の)新興宗教だからなあ」

「こほん」

すいません、うちの奥さんちは浄土真宗でした(笑)。お線香を折る宗派ね。にしても、こういう名も無き人たちがきちんと描かれるのはいいと思う。別に宇宙人好きというわけではありませんが。

今回はすっきりとした出来で、秀吉の浮気を信長を使ってたしなめようという秀吉夫人(黒木瞳)の遠謀が視聴者にうけるだろうから16%台復帰かと。

第十一話「命がけの宴」につづく。おお、ついに土竜登場!

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軍師官兵衛~第九話「官兵衛試される」

2014-03-08 | テレビ番組

Mashimahidekazuimg01 第八話「秀吉という男」はこちら

前回の視聴率は16.1%と的中。

さて今日は竹中半兵衛と黒田官兵衛という“秀吉の二兵衛”が相まみえる回か。ちょっと面白そうだな……芋焼酎をかっくらって、起きたらもう9時を過ぎてました

ということで再放送をようやく観てアップです。

石田三成に連れられて竹中半兵衛と初対面した官兵衛。なんと半兵衛はひょうたんの収穫中。さーすが秀吉の懐刀です。 

「つまらぬ」

播磨をどうまとめるつもりかという口頭諮問に、教科書どおりに答えた官兵衛に投げつけた半兵衛の評価。きびしい試験官。

ということで小寺、赤松、別所の三家の当主をそろって信長に拝謁させると思わず口走る官兵衛。いやー半兵衛も半兵衛なら官兵衛も吹くのぉ。

ということで策略をめぐらしてその目的を達するてんまつ。軍師らしい回。けっこう好きかも。

子分をひきつれて旅する官兵衛はまるで西遊記。この四人はキャラが立っていていい感じだ。石山本願寺、毛利との激突が控えているので、彼らのコント芝居はいい舌休めになっています。

そのかわりに本願寺のトップ顕如はシリアスそのもの。演じているのは眞島秀和。山形県人です(米沢出身)。いい頭の格好をしているなあ。

……ということで今回の視聴率は……あ、もう結果出てるのか。

第十話「毛利襲来」につづく。モンゴル人登場かよと思うようなタイトル。

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ほりぃ散歩Vol.06~トワイライトエクスプレス撮ったぁ!

2014-03-08 | まち歩き

Ncm_0552 Vol.5「水道橋から神保町を歩く」はこちら

夕べは富重で飲み。代行が混んでいるので奥さんに迎えに来てもらう。どうもすみません。
酒田駅近くの踏切を通ろうとしたら、電車が停車していてぴくりとも動かず。

「しまったなー」

ん?

「この電車、やけに豪華じゃない?」

「そうねえ」

「ちょっと、写真撮るよ」と外へ。撮り鉄ってわけじゃないんだけど。

男子高校生ふたりがいたので

「この電車なんて名前?」

「わがんねっすー」

彼らも写真を撮り始めた。

「うごがねーなー」

電池切れでね?」

なわけねーだろ。

帰ってからフェイスブックで公開したら、即座に回答が。これがうわさのトワイライトエクスプレスだったのかあ。酒田駅には運転士の交代のためだけに停車するんですって。お勉強になるなあ。

Vol.07「目の前が日本海」につづく

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「ホビット 竜に奪われた王国」The Hobbit:The Desolation of Smaug (2013 WB)

2014-03-06 | 洋画

Desolationofsmaugposterhdthehobbitt このシリーズにはさすがに三川イオンシネマも3D上映を用意している。

3Dメガネはお持ちですか?」

あ、車に忘れてきた。いつも車に3Dメガネが入っている中年というのもなさけない。

「いえ、持ってないです」

「あのー、実はメガネをかけたお客様用に、クリップオンタイプの3Dメガネが出たんです」

「へー」

「300円ですが」

そんなジャスコ商法にのってたまるかよ。スターウォーズのアナキンタイプまで買っているのだし。

「ください!」

あああおれはダメな消費者だ。

ところが、このクリップオンタイプがいいんですよ。メガネを重ねてかける重圧&間抜け顔から解放され、視野も広いような気がする。なによりいつもかけているメガネしか肌に触れていないので自然。いい買い物したな。でもメガネ+3D料金+入場料で1900円。これでつまんなかったら承知しないぞ。

……おみそれしましたー。CGによってなんでも描ける時代だからこそ、どんな画像をつくりたいかでクリエイターの真価が問われる。ピーター・ジャクソンは本物だ。異世界をきちんと構築し、キャラクターもまたその世界になじんでいる。

わたしは「ロード・オブ・ザ・リング」三部作とホビットの前作と比較して、この作品がいちばん好きかな。なにしろ最初から最後までおいかけっこの連続。酒樽の急流下りや、竜とのからみなど、見せる見せる。

特に竜とのチェイスは壮絶。「志村―!うしろうしろ!」って叫びたくなるレベル。ちょいとネタバレだけど、ある理由で竜は黄金に染まる。それをあそこまでリアルに描けるなんて……これこそ、映画でなければ実現できない表現だ。すげー。

ところで、ごひいきベネディクト・カンバーバッチが出ているって話だけど、いったいどこに?ええええっ!いやーあそことあそこかあ。そりゃ、気づかんわ。

エンディングテーマが渋いと思ったらこれもごひいきエド・シーラン。エンドタイトルが長いことでも有名なこのシリーズだけれども、まったく退屈することはございませんでした。満足。

※今日は日本最大?のプロバイダーOCNがまたしてもトラブルに見舞われていた様子。わたしはとにかく、半年以上もYouTubeの挿入がFirefoxにおいて出来ない状況を放置していることが信じられない。どうなっているのだろうNTT。

最終作「決戦のゆくえ」につづく

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退職事務PART14

2014-03-05 | 学校事務職員

Iwai000 PART13はこちら

さあ、今回から実際に退職した事務職員読者の経験談でいきます。なるほどなーと思うことばっかりだった。

私も職業上、健康保険掛金について、ケースバイケースでいろいろ試算してあげました。でも、退職者はあまり関心がなく、どうでも良いことなのか?と不安に思いつつ。先生方には今の現金価値で判断するという短絡的な発想の方がありかも。

もちろん、都度都度、共済事務を説明してきましたが、現実に自分の身にならないと無関心?今、急にたくさんの知識をつめこまされ、選択をしなければならないということは大変なんでしょう。

私の場合は1年間「任継」2年目夫と一緒に「国保」「退職互助加入」(退職時、夫は無職で国保加入 7歳年上)まあ、健康保険についてはこれでよかったのかなと思います。

退職互助」について
私の退職する頃は退職互助部に加入しない教職員も結構いました。理由は「掛金金額で医療費を自己管理する」ということでした。

わたしは、互助精神(笑)と万一大病の備えのようなもので加入しましたが、金銭的にはどうなのかな?といったところです。この7年間で、人間ドック5万円、医療費請求の給付金は約5万円くらい。宿泊補助金は2万、計12万くらい。75歳で医療費請求は終わります。

掛金は約87万円。給付金が少ないということは健康なのでありがたいことですが、最初の頃はたまに迷いも出ました。
もとがとれるのかなと。(笑)

この医療費請求って、1医療機関1ヶ月(2千円以上の医療費から2千円+端数を控除)というきまりがあるので、医薬分業の時代にはなかなか請求が出来ない。私の場合はだいたい3千円以下でほとんど治ってしまう。(笑)薬は薬局だし。

まあ、健康であることに感謝と、退職互助部の総会に出ると元気な元教職員に会えるのも楽しい(笑)。旅行もあるようですが参加したことはない。補助金あり。

……ほーらお勉強になるでしょう?まだまだ続くよっ。以下次号

本日の一冊は「じゃ、やってみれば」阿部秀司著。

映像製作会社であるROBOTについて興味があったので図書館で借りてみる。一発勝負をかけたのが岩井俊二の「Love Letter」だった幸運や、山崎貴の才能を掘り出した慧眼など、確かに面白い社史ではある。

ただねー、これが意外なほどにビジネス書でもあって、世のサラリーマンたちは本当にこんなお説教をお金を出して読んでいるのかしら。わたしなどには想像もつかないほどのお勉強家なんだなあみんな。やれやれ。

じゃ、やってみれば “感動という商品”を創り続ける男の言葉36 じゃ、やってみれば “感動という商品”を創り続ける男の言葉36
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発売日:2012-01-19
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退職事務PART13

2014-03-04 | 学校事務職員

0d0620a2zik4zj PART12はこちら

ここでちょっと話をもどして、財形年金のお話。年金として受け取ることが被扶養者の要件を邪魔することにならないか、という点に読者から

「あれは……非課税ですから影響しないのでは?」と電話。

「うーん、どうなんだろう。誰に質問したらいいのかな」

みんなに質問してもいいんだけど、直接本丸に電話してみた。

「はい、福利課です」

「退職者が財形年金を受け取るのって、被扶養者の要件に影響しますかね」

きっとこういう質問はたーくさん受けているだろうから速攻で答えが返ってくるかと思ったらグッと向こうはつまった。

「非課税ですから……ね」

「影響しない、と」

「………………あ、たとえば遺族年金という存在がありますね。」

「はい」

「あれも非課税なんで、所得証明とかにはあらわれないじゃないですか」

「確かに」

「でも、要件には確実に影響するんです」

被扶養者のチェックをする際に、遺族年金をもらっているかいないかを、わたしたちは常に確認する。

「つまり恒常的に受け取るものであるかぎり、財形年金であろうとも要件に関係してきます」

なるほど。もちろん正直に申告すれば、の話だけれども(笑)。

しかし財形を支払う主管が当の福利課であることを考えれば、ことは微妙だなあと。とてもシンプルな問いとして、財形年金が影響するかしないかだけを職員に問われたら、学校事務職員としては「します」と小声で答えざるをえないようだ。

おお、なんかまるでおれはまじめな事務職員みたいではないかっ!らしくねーなー。っていうか、一気に解約しちゃうとおれはすぐに使っちゃうってのが事実ではあるんだけどなー。子どもか。お小遣い帳つけるか。以下次号

本日の一本はマシュー・マコノヒーつながりで「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」

結局、すっかり演技派になってしまったマシュー・マコノヒーがダーク・ピットを演じる。ストーリーはクライブ・カッスラーだから二転三転。南北戦争で南軍が使用した甲鉄艦を、サハラ砂漠に強引にもっていく理屈がうれしいです。

ちょっとネタバレだけど、島田荘司の「星籠の海」に通じるものがある。ちょうど同じ時期に読んでいたのでびっくりしました。

主役がマコノヒーとペネロペ・クルス。美男美女をとりそろえ、特にペネロペは盛大にセクシーポーズを……でも、でも面白くないんだよなあ。仕掛けはいいのに、はずまないとは、こりゃ演出のせいかな。それともカッスラーにだまって原作を思い切り変えちゃったバチが当たったのでしょうか(笑)

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退職事務PART12

2014-03-03 | 学校事務職員

Lincolnlawerimg01 PART11はこちら

ゼニの話にならないと本気で読めないあなたのために、わたしをサンプルに退職互助部の掛金を紹介しましょう。

最初に掛金をはらったのは35歳になった翌年度の4月の給料から。わたしは平成7年から払い込んでいる。今年度末までに通算228回、計531,851円を払い込んできた。定年まであと6年、72回払い込んでおしまい。計300回で、総額70万円ほどになる見込み。

そして、この70万円をそのまま“掛金”として退職互助部の特別会員(50歳以上で退職し、資格を取得した人)になり、医療関係の給付をうけるのが通常のルール。ほかにも、米寿のお祝い金30000円とか、1回だけだけど健康診断に50000円の補助が出たりする。

そして、配偶者も特別会員になろうと思えば、平均掛金である738,000円を振り込めば同様の恩恵を……

わたしはむかしからこの説明を聞きながら、わざわざお高い金を払って配偶者まで加入させる人もいるのかと思っていた。頭の中でイメージしたのは、ふたりとも病弱で、お布団をならべて咳き込んでいる絵。

まあ、会員数が多ければ部の運営は安定するだろうから門戸は開けておきますよということだろうか。おそらくそんな希望者はめったにいないだろうから説明もあっさり。いやそれどころか……

会場は三川のイベントホール。例によってたばこを吸いに外に出ると、同様な喫煙者たちがたむろす。おおかたは退職予定者だ。

「どうするよ、あの退職互助部ってよ」

「うーん、おれはあれだな、脱退して70万もらっちゃおうかな」

「だよな?だよな?おれもそう思ってたんだー!」

え、そうなの?そうかこの人たちは希望しないのか。配偶者を入れるどころか本人も入らない、そんな選択。確かに、15年間にわたる医療給付が70万円以上あるとしなければ、あるいは民間の医療保険で十分だ、あるいはおれは病気なんてしねーぜという人たちにとって、退職互助部とは単に積み立て預金にすぎないわけだ。へー。

しかし互助会は希望者と脱退者の比率までは教えてくれないのでした(他の会場でそこを質問してくれた読者もいて、やはり1割は脱退するらしい)。どうすっかなー俺は。以下次号

本日の一本は「リンカーン弁護士」。これはもう、原作が面白いに決まっている、と確信。

街を疾走するリムジン(リンカーン・コンチネンタル)の後部座席で、猛然と書類を読み込み、電話をかけまくる有能な弁護士。しかし彼は、決して有能なだけの男ではなかった……
マイクル・コナリーとはどうもめぐりあわせが悪く、世評高いハリー・ボッシュのシリーズも読んだことがない(扶桑社ミステリーって近所の書店じゃ置いてないし)。

でもこの作品における依頼人VS弁護士という対立軸は緊張感ありありだし、富豪や世をすねた探偵の登場も、いかにもアメリカのミステリでうれしくなる。主役のマシュー・マコノヒーは、あまりに美男なのでいまひとつ化けなかったけれど、これ一発でブレイク。原作のシリーズはもっとあるんだし、大ヒットもしたんだから続篇希望。

はやくしてねー……と思ったら彼は今年のアカデミー賞にノミネート。と思ったら受賞!すっかり演技派になっているのでした。ほー。

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「凶悪」(2013 日活)

2014-03-02 | 邦画

55812 実話をもとにした物語。冒頭から人が死にまくる。というか、ピエール瀧演じる須藤という荒くれ者が次々に「屠っていく」という方が正しい。

まもなく彼は警察に捕まり、死刑判決を受ける。この時点で(確か)4名は殺しているので、量刑として日本では死刑が順当。しかし彼はマスコミ(新潮45がモデル……ということはあの強気な編集長のモデルは中瀬ゆかりですね)に手紙を送り、もっと悪いやつがいるから記事にしてくれと迫る。

記者(山田孝之)は認知症の母親をかかえ、その世話を妻にまかせきりにしている。その事実から逃げる意味もあってか、彼は事件にのめりこむ。そして“先生”と呼ばれる人物(リリー・フランキー)にたどりつく……

中盤は須藤と先生の狂気の殺人劇。保険金や土地ころがしのために、老人を次々に始末していく。家族はそれに加担し、福祉の業者は“原料”を調達し、しかし狂気のふたりは日々の生活を淡々と送る。

ピエール瀧とリリー・フランキーの“無邪気さ”が怖い。須藤は暴力衝動と過剰な情愛が身内からあふれているような男だし、先生は「ぼくにもやらせて?」と喜悦の表情で老人を始末する。金を得るために、もっともシンプルな方法が殺人だと思えば、ためらいなく行動してしまう。まさしく鬼畜。

だが映画はそこだけでは終わらない。取材を終えて疲れた記者に妻(池脇千鶴)は語る。

「あなた、楽しかったんでしょ?事件を追ってて。あたしも読んでて楽しかった。怖いもの見たさで。」

彼女は認知症の母親を叩くことに罪悪感を失っている。記者は現実から目をそむけているだけだ。彼らの行動もまた一種の狂気ではないのか。

拘置所で罪人たちと面会する記者。先生は語る。

「おれをいちばん殺したがってるのは誰だと思う?」

彼は記者を指さす。正義感をふりかざし、死刑囚に向かって死ぬべきだと発言する彼を。

ラスト。カメラは面会室に取り残される記者を残して退いていく。その動きは、どちらが罪人の側にいるのかの上申書そのものだ。そして、記者とは、まさしくわれわれ自身のことでもあろう。

人を殺してはいけないという理屈が抜けていれば、人間ってなんでもできる。

殺人現場となった“事務所”の造形がすごい。いろんなところから持って来た部材で出来上がっていて、

「年中無休」

が裏返しになっていたり、他にもいろんな小細工が。美術さんの努力もあるだろうし、実話をもとにした話であるだけに、マジでこんな姿だったのかもしれない。

殺人者たちは、それなりに自己完結している。だから非道な所業を行っていても、例えばリリー・フランキーはつぶらな瞳で殺人を遂行するけれども、最後まで後悔はしていない。ピエール瀧が殺した人間にお線香をあげるのは、自分の感情を制御できないからだ。

人を殺すというのは、いったいどんなことなのか、まずそれを考えさせられた作品。バランスがいいとはお世辞にも言えない映画だが、役者たちのパワー炸裂。腹にこたえる。日本の冷血がここに。その冷血は、わたしたちの体内にある。

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今月の名言2014年2月号PART2~サメ頭ふたたび。

2014-03-01 | スポーツ

Yanyanmachikoimg01 PART1「本当に酷うございました」はこちら

いかん、NHKの問題なんかに興奮してしまった。他の名言もあるのに。

「あの子は、大事なときには必ず転ぶ」

あまりにも有名になってしまいましたね。森元首相が浅田真央に関して。

このセリフだけだとあまりにひどいが、実は心配する文脈でだったとのフォローもある。しかし、この人の失言癖はあいかわらず。要するに、その場その場において相手が喜びそうなことをつい言ってしまうのである。

「神の国」発言がその典型だった。あれは神道政治連盟国会議員懇談会の場で発せられたもの。そりゃあ参加者は喜ぶ。しかし、その発言がどんな意味を持つのかという想像力が欠落しているのだろう。

わたしは前からつくづく不思議だったんだけど、この、単に座持ちがいいだけの人間が、まだ政界に影響力があるのはなぜ?こんな人が東京オリンピック組織委員会の会長だという事実は、なんかもう日本に人材は払底しちゃったの?と心配。オリンピックがらみでは彼はこんな発言もしている。

「米国に住んでいる。(米国代表として)五輪に出る実力がなかったから、日本の選手団として出した」
アイスダンスのキャシー&クリス・リード組について。

「英語は『敵国語』だった」
ソチ滞在中に!

「ああ、また20何時間以上も時間かけて行くのかなと思うと、ほんとに暗いですね。」
またパラリンピックのためにソチに行くことへのコメント。目の前にいる人しか認識できないでいる人に、五輪で“おもてなし”ができるのか。あ、座持ちがいいからぴったりか(笑)。

「私は別になんとも思っていないですけど、森さんが今、後悔しているのではないかなと思います」

アスリートの方がよほどクレバーであることが理解できる浅田真央のコメント。彼女にかぎらず、今回のオリンピックでは若い連中のスマートな受け答えにびっくり。世代交代が必要なのは、組織委員会の方だ。なにしろあそこには若者どころか女性もひとりもいないんだとか。さぞや会議室は加齢臭で……

本日の画像は妻のリクエストで「やんやんマチコ」。まさかマチコの声をやっている藤田陽子って野田秀樹の奥さんだったとは。びっくりやん。

2014年3月号「肝機能」につづく

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