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ゼニの話にならないと本気で読めないあなたのために、わたしをサンプルに退職互助部の掛金を紹介しましょう。
最初に掛金をはらったのは35歳になった翌年度の4月の給料から。わたしは平成7年から払い込んでいる。今年度末までに通算228回、計531,851円を払い込んできた。定年まであと6年、72回払い込んでおしまい。計300回で、総額70万円ほどになる見込み。
そして、この70万円をそのまま“掛金”として退職互助部の特別会員(50歳以上で退職し、資格を取得した人)になり、医療関係の給付をうけるのが通常のルール。ほかにも、米寿のお祝い金30000円とか、1回だけだけど健康診断に50000円の補助が出たりする。
そして、配偶者も特別会員になろうと思えば、平均掛金である738,000円を振り込めば同様の恩恵を……
わたしはむかしからこの説明を聞きながら、わざわざお高い金を払って配偶者まで加入させる人もいるのかと思っていた。頭の中でイメージしたのは、ふたりとも病弱で、お布団をならべて咳き込んでいる絵。
まあ、会員数が多ければ部の運営は安定するだろうから門戸は開けておきますよということだろうか。おそらくそんな希望者はめったにいないだろうから説明もあっさり。いやそれどころか……
会場は三川のイベントホール。例によってたばこを吸いに外に出ると、同様な喫煙者たちがたむろす。おおかたは退職予定者だ。
「どうするよ、あの退職互助部ってよ」
「うーん、おれはあれだな、脱退して70万もらっちゃおうかな」
「だよな?だよな?おれもそう思ってたんだー!」
え、そうなの?そうかこの人たちは希望しないのか。配偶者を入れるどころか本人も入らない、そんな選択。確かに、15年間にわたる医療給付が70万円以上あるとしなければ、あるいは民間の医療保険で十分だ、あるいはおれは病気なんてしねーぜという人たちにとって、退職互助部とは単に積み立て預金にすぎないわけだ。へー。
しかし互助会は希望者と脱退者の比率までは教えてくれないのでした(他の会場でそこを質問してくれた読者もいて、やはり1割は脱退するらしい)。どうすっかなー俺は。以下次号。
本日の一本は「リンカーン弁護士」。これはもう、原作が面白いに決まっている、と確信。
街を疾走するリムジン(リンカーン・コンチネンタル)の後部座席で、猛然と書類を読み込み、電話をかけまくる有能な弁護士。しかし彼は、決して有能なだけの男ではなかった……
マイクル・コナリーとはどうもめぐりあわせが悪く、世評高いハリー・ボッシュのシリーズも読んだことがない(扶桑社ミステリーって近所の書店じゃ置いてないし)。
でもこの作品における依頼人VS弁護士という対立軸は緊張感ありありだし、富豪や世をすねた探偵の登場も、いかにもアメリカのミステリでうれしくなる。主役のマシュー・マコノヒーは、あまりに美男なのでいまひとつ化けなかったけれど、これ一発でブレイク。原作のシリーズはもっとあるんだし、大ヒットもしたんだから続篇希望。
はやくしてねー……と思ったら彼は今年のアカデミー賞にノミネート。と思ったら受賞!すっかり演技派になっているのでした。ほー。