事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

ぼくのわたしの2014 非ミステリ篇

2015-02-05 | 本と雑誌

ミステリ篇はこちら

今回は非ミステリ篇。図書館から借りて読むことが多いので、2014年のランキングにはほど遠いことをあらかじめお詫び申し上げます。

1.「太陽がもったいない」山崎ナオコーラ著 筑摩書房

2.「悟浄出立」万城目学著 新潮社

3.「一路」浅田次郎著 中央公論新社

4.「本当の大人の作法」内田樹+名越康文+橋口いくよ著 ダ・ヴィンチ・ブックス

5.「妻が椎茸だったころ」中島京子著 講談社

6.「東天の獅子 天の巻」夢枕獏著 双葉社

7.「いまも、きみを想う」川本三郎著 新潮社

8.「ホリイのずんずん調査」堀井憲一郎著 文藝春秋

9.「赦す人」大崎善生著 新潮社

10.「聞いたり聞かれたり」和田誠著 七つ森書館

次点が「芸能人はなぜ干されるのか」「タモリ論」かな。順位にはほとんど意味はありません。特集していないのがたくさんあってわれながらびびる。

「赦す人」は団鬼六の伝記。あの、SM小説の大家ね。彼の人生は波乱万丈にもほどがあるのでお楽しみに。

「タモリ論」については、同世代のもっともまっとうな芸能論という感じ。タモリ論であると同時にたけし論、さんま論なのね。

「本当の大人の作法」は、雑誌「ダ・ヴィンチ」で連載されていた(されている?)鼎談をまとめたもの。「愛の対義語は敬意」「ほとんどの悪意は嫉妬から来る」など名言満載。橋口いくよの存在が内田と名越の発言を加速させている。みごとなコラボ。これ、第二弾で、第三弾も発売されている。買わなくちゃ。

「聞いたり聞かれたり」で、わたしは和田誠さんと同時代に生きているのはこんなに幸せなんだと思い知りました。幸せなんですよ、わたしたちは。

順位に意味はないといえども「太陽がもったいない」の1位だけは動かせない。彼女(山崎ナオコーラ)の園芸論のことを、裏の畑でつらつらと考え続けた一年でした。

次回は興行成績篇

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ぼくのわたしの2014 ミステリ編

2015-02-04 | ミステリ

 

小ネタ特集はこちら

さてそれではわたしの2014。今回はミステリ特集。例によって「このミステリーがすごい!」(宝島社)を参考にすると、あのランキングでわたしが読んでいるのは

◆国内編

1位「満願」 米澤穂信著 新潮社

4位「小さな異邦人」 連城三紀彦著 文藝春秋

5位「機龍警察 未亡旅団」 月村了衛著 早川書房

8位「破門」 黒川博行著 KADOKAWA

15位「後妻業」 黒川博行著 文藝春秋

17位「アルモニカ・ディアボリカ」皆川博子著 早川書房

21位以下の

「首折り男のための協奏曲」伊坂幸太郎 

「ナイト&シャドウ」柳広司 

「東京自叙伝」奥泉光

◆海外編

1位「その女アレックス」ピエール・ルメートル著 文春文庫

11位「ジャック・リッチーのあの手この手」ジャック・リッチー著 ハヤカワ・ミステリ

19位「地上最後の刑事」 ベン・H・ウィンタース著 ハヤカワ・ミステリ

21位以下の

「三銃士の息子」カミ 

「特捜部Q 知りすぎたマルコ」ユッシ・エーズラ・オールスン

……いつもに比べれば読んだ方ではあるけれど、納得できるようなできないような。「満願」よりは米澤だったら「折れた竜骨」系に期待したいし、「開かせていただき光栄です」の続編「アルモニカ・ディアボリカ」は前作以上に事件の構図すらよくわからない(泣)

そんなわたしの2014ミステリベストは

1.「殺し屋ケラーの帰郷」ローレンス・ブロック著 扶桑社

2.「地上最後の刑事」ベン・H・ウィンタース著 ハヤカワ・ミステリ

3.「機龍警察 未亡旅団」月村了衛著 早川書房

4.「御子を抱く」石持浅海著 河出書房新社

5.「首折り男のための協奏曲」伊坂幸太郎著 新潮社

あ、柚月裕子の佐方シリーズがはみだしちゃった。今年も出るのかな?

次回は非ミステリ編

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I AM KENJI PART2

2015-02-03 | ニュース

Denki Groove Niji WIRE99 1999.07.03

PART1はこちら

かつて「I Don’t Want to Die」としてイラクの人質事件を特集したとき、顕著だったのが「自己責任」というフレーズだった。“お上”が禁じているにもかかわらず行ったのだから、すべて自分で始末しろと。

おかげで人質の家族たちは、他に選択肢がないにもかかわらずチャーター便を自費で利用せざるをえなかった。人質、および家族たちへのバッシングは相当なものだった。自己責任と主張することは、要するに自分には関係ないと言っているわけだとそのときに痛感した。

今回は、それほどの騒ぎにはなっていない。湯浅氏がいかにもマスコミの好餌になりそうな経歴をもっているにもかかわらず。もちろんそれは後藤氏が、すべて自分の責任において赴く旨の動画を残すほど慎重だったこともあるし、日本人の成熟もあったかもしれない。しかし読者はこう考えた。

「私は安易な自己責任論がなりを潜めたというよりは、こう言ったら語弊があるかもしれないのですが、あまりよろしくないほうの「同胞意識」が以前より強くなってきたのではと。」

「テロに屈しないなどと言っているだけではなんの解決にもならないと思っています。そう思っている人はたくさんいるはずなのに、どうしてあの人はわからないのでしょう。」

マスコミの論調は、しかし前回とは少し違っている。それは後藤氏の目的が、政治的なものではなく、戦場においてもっともしわ寄せが向かうのは弱者だというレポートのためだったという事実、日ごろの彼の活動がまさしくこの目的にかなうもので、多くのマスコミ人がそれを保証したことによるだろう。

逆に言うと、それでもやはりバッシングはあって、後藤氏にいちゃもんをつけられないために後藤氏の母親に矛先は向かったりした。

わたしは思う。後藤氏のようなジャーナリストがいる世界といない世界。どちらが生きやすいのかと。やみくもに恐怖をあおり、警察国家化にまい進することは、はたして後藤氏の想いにこたえることになるのか。

自己責任だ、ツケを国民にまわすなと叫ぶ人にも問いたい。これからいっそう社会が高コスト化するのは確実で、あなたの税金は何も生産しない部分に大量に注ぎこまれるのは承知か。そちらにも反対の声はあげてくれるんだよね。

読売と産経が、朝日新聞がシリアに記者を派遣していることを鬼の首でもとったように報じているのを見ると、いやはや日本ではイラク以来の悪夢がつづいているのだと思い知らされる。後藤氏のような人物は、やはり必要だったのだ。

本日の一曲は電気グルーヴの「虹」五島良子ノリノリバージョン。美しい曲にミニー・リパートンばりのボーカルがのる。あ、例えが古すぎますか。

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I AM KENJI PART1

2015-02-02 | ニュース

Todd Rundgren - Wailing Wall

憎むべきはもちろんイスラム国だ。十字軍きどりの国家の威光をかさにきた軍人ならともかく(じゃないか)、公平な立場で、弱者の生活をレポートしようとしていたジャーナリストを拉致し、殺害するなど狂気の沙汰であり、過激派が過激さをエスカレートせざるをえない不幸の連鎖にいることを思い知らされる。

そしてこの事件は歴然と国際問題なのであり、いつもの内向きの議論だけですむ話ではない……はずだった。

でも、前年末にすでに後藤氏らが拉致されていたことを知りながら、難民支援などの国際貢献(それ自体、すばらしいことだったのに)を、「ISILと戦う周辺各国を支援する」とぶちあげた首相の不用意さは、やはりきちんと責められるべきだと思う。

殺害されたふたりですらバッシングを受けているのだ。“当事者”である日本政府および首相に批判が集まらない方がおかしい。

YouTubeにイスラム国のメッセージが出て以降は、どう対応しても誰も勝利しない戦いに入った。ハードライナー(強硬派)として有名な首相がイスラム国に譲歩するとは考えづらかったが、わたしが怖いのは

「テロに屈しない」

と連呼する裏で、実はまっとうな解決策をさぐる意志も、そして外交能力もなかったのではないだろうなということだ。当事者ですらなかったとしたら……

首相の頭の中には、世界において日本が相応のあつかいを受けていないという不満がうずまいているのだと思う。セレブの一員なのにと。そのため、徹底した検証もないまま十字軍(かつてのそれもまた、いろいろと問題をはらんだ組織だった)に参加したくて仕方がないのだろう。この人物が、集団的自衛権を自儘にあつかっていることの理不尽さを思う。

さあ今度はテロとの戦いを前面に出して、特定秘密保護法や公安の強化に走るに違いないぞ。失火を機にひともうけ企む。そういうのを世間では……。

PART2につづく。本日の一曲はトッド・ラングレンの「Wailing Wall」。嘆きの壁です。

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今月の名言 2015年1月号 5000円から。

2015-02-01 | 社会・経済

Lady Antebellum - Heart of The World

2014年12月号「賭場」はこちら

「まだカネをためたいなんて、ただの守銭奴にすぎない」

新年賀詞交換会における(笑)麻生財務相の発言。もはや名言シリーズのレギュラーとなっているこの人の、またしても揚げ足を取ろうとしているわけではないの。めずらしくまっとうなことを言ってくれてるなあと。

「(内部留保積み上げは)デフレ不況と戦う中で好ましいとは思わない。利益が出れば賃上げ、配当、設備投資に回すことが望ましいということを説明する趣旨で申し上げた」

いつもはあたふたした印象しか与えない彼のいいわけも、理にかなっている。まあ、あくまで政権与党の理屈ではあるけれど。にしても、賀詞交換会で「守銭奴」はやっぱりちょっと……

「聞き手側が『国民に謝罪せよ』『何々せよ』と社会的な強制力を及ぼそうとするプレッシャーが、表現の自由を損なうのでは」

どこのアーティストの発言かと思ったら、達増岩手県知事のもの。擁護しているのはサザンである。桑田とアミューズが意外に腰砕けな謝罪を早々に発表したのにはちょっとがっかりだったけれど、こういう首長もいるんだ。へー。

「インターネットが発達し、いろいろできる時代になったはずが、かえって他者に何かを強いるプレッシャーが高まっている感じがする。もうちょっとおおらかになった方がいいのでは」

まったくです。どうでしょう大里会長。サザンや福山雅治上野樹里神木隆之介深津絵里三宅裕司などアミューズ勢全員が岩手県に住民票を移すというのは。莫大な県民税はなによりの復興支援となるはずですし。

本日の一曲は、返ってこない後藤さんの日常へ。レディ・アンテベラム「Heart of The World」

2015年2月号「内向きの人」につづく

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