東京のホタルを観察する催しが、この週末に行われた。私も理事の一人である「日本ホタルの会」の恒例行事である。今年は、多摩丘陵の里山で、幼虫の放流などは一切行っていない将に天然の発生地であり、2008年にTBSテレビ「ニュース23」に出演した時にキャスターと訪れた場所でもある。当時は、ゲンジボタルが乱舞していたが、昨今ではかなり荒れた状態になっており、一時期、川の水も枯れたこともあって、発生数は激減していた。
この日は、全部でおよそ20頭を確認。19時25分に1頭が光始めたが、生憎、飛翔時間に本降りの雨となり、数頭飛んだものの、ほとんどの個体は葉に止まったまま、時折、発光する程度であった。
(写真1)
東京のホタルは、山間部の渓流にも生息している。こちらは、毎年安定した数のゲンジボタルが発生しており、週末には大勢の観賞者が訪れる。深い谷の底であるため、街灯や車のライトの影響は受けないが、相変わらず観賞者の中には、懐中電灯を照らす方が見受けられる。ただ、今回気になったのは、観賞者ではなくカメラマンである。
およそ1km手前の駐車場に車を止めて徒歩で現地に向かい、18時から待機していると、30分後に6人ほどの年配のグループがやってきた。写真クラブの講師と生徒なのだろう。講師の指示に従って、
皆、同じ方向にカメラを向けていた。19時半を過ぎると、私がカメラを向けた方向ではゲンジボタルの飛翔が始まったが、グループの方角はまったく光らない。20時を過ぎて飛翔数が増えても、グループの方角は画角には収まらない高い所を飛翔していた。
彼らにとっては残念な結果であろうが、途中でカメラの設定を変えるために懐中電灯を照らす等の行為にはガッカリした。講師も生徒も、ホタルの飛翔を入れた風景写真を撮りたいなら、ホタルの生態を少しは勉強してから来て頂きたい。
「カメラマンは、マナーを守れ!」先日、新潟日報にはこんな記事が出ていた。
新潟の十日町には風光明媚な棚田で有名な「星峠」がある。私も何回か訪れているが、昨今、カメラマンの迷惑行為が頻発していると言う。田や畑に、三脚の跡や車のタイヤ跡。ゴミを農地や道路に捨てる、あぜで用を足す、撮影の邪魔だから農作業を止めろというカメラマンもいるらしい。5月の大型連休には、深夜に細い山道をバックで上っていた車が約15m下の棚田に転落。昨年も同じ場所で転落事故が起きているとの事。運転者は死亡。オイル漏れから、「もうここでは米を作れない」と棚田の所有者は、ここでの米作りを諦めたと言う。
写真を撮るにも、守るべきことがある。良い写真を撮るためなら、何をしても良い訳ではない。自然風景写真だけではなく、ホタルの飛翔風景や様々な昆虫の生態写真でも同じだ。許可なく田んぼや池に入って撮るのは、星峠の悪行と変わらない。入らなければ撮れないなら、諦めるしかない。あるいは、許可をもらうか、自宅で飼育して撮影するしかない。観察だけでも同様。研究だからという言い訳は通用しない。私自身も反省しなければならない。
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ゲンジボタル
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / FUJICHROME Provia400F Professional(自宅室内での撮影)
東京のゲンジボタルの生息地
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F13 10秒 ISO 100(撮影地:東京都 2019.6.29)
ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 320 4分の多重露光(撮影地:東京都 2019.6.29)
ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 400 3分の多重露光(撮影地:東京都 2019.6.28)
ゲンジボタルの飛翔動画
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影地:東京都 2019.6.28)
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