アジアイトトンボ Ischnura asiatica Brauer, 1865 は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)アオモンイトトンボ属(Genus Ischnura)で、北海道、本州、四国、九州、南西諸島、小笠原諸島などに分布しており、腹長約20?25mm。後翅長12?19mm。アオモンイトトンボ属の種類のなかではもっとも小さい。幼虫は主に平地や丘陵地の水生植物が繁茂した池沼や湿地、水田、水路などに生息し、関東では一年二化以上と考えられ、4月上旬頃から10月下旬頃まで見られる。
同属のアオモンイトトンボ Ischnura senegalensis (Rambur, 1842)と似るが、オスは腹部第9節に水色の紋があるが、アオモンイトトンボの場合は第8節にあるので区別できる。メスは、未熟な時期は胸部と腹部側面が赤橙色をしており、アオモンイトトンボの未熟個体は胸部だけが赤橙色であるから区別できる。
アジアイトトンボは、環境省版レッドリストには記載されていないが、都道府県版レッドリストでは、香川県と徳島県で絶滅危惧Ⅱ類、愛媛県、山口県、熊本県、長崎県で準絶滅危惧種としている。生息地である水田の減少や水路の護岸といった環境悪化、農薬の使用、同じ環境に生息するアオモンイトトンボとの競合に敗れたためと考えられている。
比較の意味でアオモンイトトンボの写真も掲載したが、本種は環境省版レッドリストに記載がないものの、都道府県版レッドリストでは、群馬県で絶滅危惧Ⅰ類に、栃木県で絶滅危惧Ⅱ類、鳥取県で準絶滅危惧種としている。
両種ともにブログ「ホタルの独り言PartⅠ」において記事にしているが、サーバーの契約容量から写真だけを削除したため、こちらで改めて写真を再現像し掲載した。
写真1枚目はアジアイトトンボの交尾態であるが、個人的感想として、とても微笑ましい雰囲気であり、特に夢見る乙女のようなメスの仕草が気に入っている1枚である。昆虫にも脳(小脳)があり、記憶や情報を伝達したり、学習することができる機能を備えている種もいるが、人間のように心を司る部位である前頭葉がなく、従って感情はなく本能と反射で活動している。昆虫の表情は、人間が勝手に想像しているだけに過ぎないが、それぞれの種の特徴や行動を高いクオリティで写すだけではなく、こうした想像力を膨らませるものも撮影していきたい。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2022 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます