シダレグリ自生地がある長野県辰野町の「小野のシダレグリ自生地」を訪れた。
シダレグリは、通常の栗の木と異なり枝が傘状に垂れ下がっている。この独特の樹形は、突然変異により「しだれ」と「頂芽が数年で枯れて側芽が成長する」という二つの性質を併せ持ったためにつくられたもので、いわば盆栽の仕立てをシダレグリ自ら行っているようなものだと言う。
シダレグリの存在は江戸時代より知られていたが、シダレグリの実はヒトの小指の爪よりも小さく食用にはならないため、地元の人々は昔からこの森には近付くこともなく、また、曲がりくねった奇怪な樹形は天狗の仕業によるものと考え、付近一帯を天狗の森などと呼び、近隣の村人は恐れて近付こうとしなかったと言う。そのため、長年にわたり自然の状態が維持された結果、3.4haのシダレグリの純林が形成されたものと考えられている。現在では、大小さまざまなシダレグリの木が800本ほどが純林を形成し、最大のものは周囲4m余りの巨木もある。「小野のシダレグリ自生地」は、1920年(大正9年)7月17日に国の天然記念物に指定されている。
「小野のシダレグリ自生地」は、しだれ栗森林公園内にあり、長野自動車道の岡谷ICから20分ほどで行けるが、町道69号線(塩嶺大城パークライン)が12/28~3/30まで終日全面通行止め。後に、中央道伊北ICから国道153号を塩尻方面に走り、中央本線「小野駅」手前の「しだれ栗入口」を右折すれば車で自生地まで行けることが分かったが、そんな事は知らないため、通行止めのゲート近くに駐車して、片道3kmの雪道を徒歩で往復した。
初めて見るシダレグリ。人が植えたのではなく、自生している光景にまず驚く。葉をすべて落とした冬の降雪後は、地面の白い雪を背景に「奇怪」とも言える樹形が引き立つが、この日は曇っていたため、どうしても観光案内的な写真になってしまう。夕方から雪の予報で、翌日は晴れ。おそらく芸術的な光景が見られるに違いないが、翌朝は霧ヶ峰の霧氷を優先したい。仕方なく、一番目を引く老木を撮って、また3kmの雪道を歩いて戻った。
参考:辰野町教育委員会
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