ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

オオキトンボ(連結飛翔)

2018-10-08 21:23:59 | トンボ/アカネ属

 オオキトンボ Sympetrum uniforme (Selys, 1883)は、トンボ科(Family Libellulidae)アカネ属(Genus Sympetrum)で、体に􄛿明瞭な斑紋がなく、脚も含めて一様に緑味のある橙黄色をもつトンボである。北海道から九州まで分布し、平地から丘陵地におけるため池周辺に生息するが、全国的に確実に減少しており、現在の確実な生息地(2016年の確認情報)は、青森、大阪、兵庫、香川、愛媛、高知、大分の7府県のみであり、いずれも極めて局所的に生息している。環境省RDBカテゴリでは絶滅危惧ⅠB類(EN)に選定されている。
 成虫は6月頃から羽化し、羽化後は、成熟するまで発生地のため池から離れて生活する。成熟した個体は10月頃からため池に戻って産卵するが、池の水落(池干し)がなされ、岸から浅い部分がなだらかに続くような場所でのみ行われる。「池干し」といった昔ながらのため池管理がされていなければ生息できないのである。

 オオキトンボは、これまでに5回兵庫県内のため池に通い3回ほど撮影したが、単独飛翔と草などのへの静止写真だけであった。今回は、愛媛県において雌雄の連結飛翔の写真と連結打水産卵の動画を撮影したので掲載したい。
 オオキトンボは、風も穏やかで良く晴れた日は、午前10時頃になるとオスは水際の草の上に止り、10時半頃になると水面をパトロールし始め、水面上でホバリングしながら、メスがやってくるのを待つ。ペアができると、連結飛翔しながら池底が露出してできた部分に打水(打泥)産卵する。この日は、10ペア以上が産卵を行っていた。
 本種は愛媛県のRDBでも絶滅危惧Ⅱ類に選定されている。当地は、比較的安定した生息が確認されているが、地域全体では、農業形態の変化に伴いため池の水管理や改修によって生息環境の悪化が心配されている。現在は、NPO法人によって情報収取・整備が行われ、今後は、地域住民、専門家、行政等関係者による保全活動計画の策定を目指していると言う。
 今回、貴重な生息地において、多くのオオキトンボを観察し、撮影できたことに感謝したい。

参照:オオキトンボ

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オオキトンボの連結飛翔写真

オオキトンボ/連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 640 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:40)

オオキトンボの連結飛翔写真

オオキトンボ/連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 640 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:44)

オオキトンボの連結飛翔写真

オオキトンボ/連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 320 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:09)

オオキトンボの飛翔写真

オオキトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 320 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:04)

オオキトンボの連結飛翔写真

オオキトンボ/連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/300秒 ISO 320 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:18)

オオキトンボ/連結打水(打泥)産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4(撮影地:愛媛県 2018.10.07)

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