前記事の表題は「11月の夏日」投稿した翌日の7日(火)は、何と東京都心の気温が27.5度と11月の最高気温を100年ぶりに更新した。ところが、12日(日)は一転して冬。上空に強い寒気が入り、東京都心は最高気温が11℃と今シーズンで1番の寒さになった。13日(月)も各地で寒い朝となり、東京や名古屋、大阪などでは、前日に続いて今季最低気温を更新した。一体、秋はどこへいったのだろう?そのうちに季節は夏と冬だけになってしまうのではないだろうかと心配である。こうした異常気象は、生態系を変化させ、昆虫をはじめとする動植物の生態も変えてしまい、私たち日本人の生活にも影響を及ぼすだろう。
日本の四季は、食や行事と密接に関係があり、様々な伝統文化を生み出してきた。「衣替え」「花見」「夏祭り」「花火大会」「お月見」・・・などの行事がある。食に関しては「食欲の秋」。新米にサンマ、マツタケ・・・「旬」のものを頂くと言う食文化がある。また、古くから伝わってきた季節と密接に関係した日本の伝統色もある。十二単(じゅうにひとえ)にみるように、日本の色をあわせる文化である襲の色目(かさねのいろめ)は、季節の変化を色彩として表現する日本の伝統的な配色方法だ。昔から色彩豊かな自然に囲まれていた所以の色彩感覚である。季節の違いがなくなってしまえば、四季の中で過ごしてきた私たち日本人のこうした様々な伝統文化にも影響を与えるかもしれない。
一年で一番、彩が豊かな秋。「茜色」「柿色」「朽葉色」「黄金色」などの日本の伝統色は、里山の紅葉から生まれている。こうした「秋の色」は、自然の具体的な物の色のみならず、衰えていく気配や
寂莫とした寂寥感などを表す季語にもなっている。
「夕づく日むかひの岡のうす紅葉まだきさびしき秋の色かな」 藤原定家
実際に、紅葉は落葉広葉樹にとっての冬を生き残るためのリストラ戦略。落葉広葉樹は、葉の中の葉緑体や窒素等の栄養成分を葉を落とす前にできるだけ回収し、その後、道管と師管が閉し、葉にはエネルギーも水分もいかなくなってしまう。回収されずに葉に残ったアントシアニンやカロテノイド等は、葉を赤や黄色に変え、寒さなどから身を守ろうとする。これが紅葉だが、やがて枯れて落ちるのである。
襲の色目が美しく表現され、様々な色彩の艶やかさや穏やかさに、季節の移り変わりの切なさも感じさせる秋。秋の十二単を愛でつつ、自然の美しさやその源となる生命の尊厳、そして日本の伝統文化の歴史に思いを馳せたい。
まったく出掛けていないため、今回も、過去撮影の写真ばかりを掲載した。ただし、その多くは初掲載のもので、どこかに行った時に何気なく撮ったものもある。当時、何かを感じて写したのだろうが、現像もせずにハードディスクに保存したままになっていた。そうしたRAWデータから、私の「秋の色」をもう一度心で見つめ、冬の旅立ちへと支度をしたい。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
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