冬本番の1月末。前年に比べれば寒く、特に日本海側では雪が多く大変な日々を過ごしていらっしゃる方々には、心よりお見舞い申し上げたい。太平洋側は乾燥が激しい時期で、信州においても霧氷やダイヤモンドダストが見られる事は少なく、毎年、私にとって遠征が一番少ない時期であるが、今年は、空が澄み切った冬ならではの星空を撮りたいと思っている。
しかしながら、世の中は新型コロナウイルスの感染拡大防止のための緊急事態宣言が出されて3週間が経過しても、未だ感染者は減少していおらず、一人一人がさらなる感染防止策を講じていかなければならない。不要不急の外出は避け、県境をまたぐ移動をしないことが求められているが、それに反して出かけることに躊躇はない。平日は通常通りに出勤し、多くの人々と接する業務。休日の外出も感染対策を確実に行って、写友や仲間を誘うことなく、単独で誰にも接しないことを徹底している。今回は、前記事に続いて「月」の写真を撮ってきたので掲載したいと思う。
ちなみに、撮影した翌日は、一日かけて現像。そしてブログの記事を書くことで家にこもっている。
1月29日。午前4時半に出勤のため家を出た時に、ふと見上げた西の空には丸い月。今年最初の満月である。その日の夕方18時半頃には、都会の高層ビルの間に大きく見えていた。1月の満月をアメリカでは「ウルフムーン」と呼び、飢えた狼の遠吠えになぞって名付けられたと言われているが、コンクリートジャングルの中から見る満月に、日ごろのストレスを発散するように吠えながら、よし明日は月を撮ることにしようと思い立った。2月に予定している星景写真撮影のロケハンと練習を兼ねて、30日(土)に静岡県の富士宮市まで出かけてきた。
2月上旬は冬の天の川、中旬以降は夏の天の川をそれぞれ富士山とともに撮る計画であるが、今までとは違った場所から撮りたい。その候補地の一つとして考えていた場所から月の出の位置を調べると、ちょうど富士の山頂と重なった。いわゆる「パール富士」が撮れるかも知れない。天気は快晴。午後13時に自宅を出発し、現地へ向かった。
富士は先日の降雪で真っ白に雪化粧。ようやく冬の富士山らしい姿が中央道を走りながら見えた。途中、前回に撮影した精進湖に立ち寄ってみたが、今回はまったく凍っておらず、また風が強く波立っていたため逆さ富士は望めず、そのまま周遊道路を走り抜け、予定より早い時間に今回の撮影ポイントに到着。
この撮影ポイントは、光害がないこと、富士の周囲に何もなく見渡せること、できれば誰も来ないことなどを条件にGoogleマップで見つけた場所である。着いてみると、条件がすべて合致しており、思った以上の場所であった。月の出る時間は18時42分。富士から顔を出すのは、およそ1時間後。まずは、西日を浴びた夕暮れの富士山「茜富士」、そして月が出るまで星景を撮ることにした。
19時。次の記事で掲載しようと思う星景を撮り終え、レンズを変えて富士の山頂付近にカメラを向けた。徐々に富士の向こうが明るくなるが、月のでは、どうも山頂ではなく稜線のようである。ここで気が付いた。撮影ポイントからは、月出の時間には富士の山頂がピンポイントになるが、3,000nを超える富士から月が顔を出すまでは1時間ほどかかる。月はその一時間でわずかばかり東側にずれるのである。結果として、富士の稜線からの月出となった。
富士の山頂に出る(沈む)太陽は「ダイヤモンド富士」と呼ばれ、撮影者には人気があるが、私は撮ろうとは思わない。なぜなら富士山が確実にシルエットになるからである。それよりも薄っすらと見える富士の雄姿と浮かぶ月の方が、幻想的ではないだろうか。日没直後の明るい時間に、富士の上に大きな満月が上がれば一番絵になるが、チャンスは多くはない。一度は「パール富士」チャレンジしてみたいと思う。
今回は、満月から1日経過しており、もともとパール富士でもなく、2月の星景写真ロケハンのついででもある。時刻はすでに空が真っ暗な時間。月はかなり明るく、富士と月をバランスよく綺麗に写すことが難しい状況であったが、日本画のような雰囲気のある結果を残すことができた。
お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。
茜富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/13秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 17:13)
茜富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/20秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 17:11)
マジックアワー
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 1/250秒 ISO 400(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 17:29)
富士山の月出前
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 2.5秒 ISO 3200(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 19:05)
富士山の月出前
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 1.6秒 ISO 1600 -1 1/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 19:44)
富士山と月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 1.3秒 ISO 1000 -1 2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 19:45)
富士山と月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1.3秒 ISO 1600 -1 2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 19:46)
富士山と月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1.6秒 ISO 1600 -1 1/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 19:49)
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