ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

コヒョウモンモドキ

2018-07-03 21:50:18 | チョウ/タテハチョウ科

 コヒョウモンモドキ Melitaea ambigua niphona Butler, 1878は、タテハチョウ科(Family Nymphalidae)ヒョウモンモドキ属(Genus Melitaea)のチョウ。ヒョウモンモドキ属は、日本には3種生息しているが、本州に限られ、しかも局地的な分布である。

  • ヒョウモンモドキ Melitaea scotosia Butler, 1878
  • ウスイロヒョウモンモドキ Melitaea protomedia Menetries, 1858
  • コヒョウモンモドキ Melitaea ambigua niphona Butler, 187

 コヒョウモンモドキは、ユーラシア大陸に広く分布し、国内では本州(関東地方北部から中部山岳地帯)にのみ分布している。林縁や林間の明るい草原に生息し、幼虫の食草はクガイソウ、ヒメトラノオで、越冬後はオオバコを食べることが知られている。成虫は7月頃に出現し、緩やかに飛んでクガイソウ、オカトラノオ等で吸蜜する。鳥獣類の排泄物や動物の死体に群がることもある。
 昨今、人為的放置による草原の樹林化(日本列島の草地面積は、20世紀初頭には1割ほどであったが、現在では1%程度であるという。)やシカの食害による食草の減少で、絶滅が危惧されている。また本種は、大型・黒化型などの地域変異が見られ、マニアによる採集圧も問題になっている。
 本種は、環境省カテゴリでは絶滅危惧ⅠB類、都道府県のRDBでは、栃木県では絶滅、群馬県、新潟県、富山県で絶滅危惧Ⅰ類に、山梨県、長野県では絶滅危惧Ⅱ類として記載されている。

 個人的趣味から、ヒカゲチョウやヒョウ柄のチョウは、見かけてもほとんど撮ることがなく、知識もあまりない。本種も当然のことながら撮影計画にはなく、今回の遠征での偶然の出会いであった。車から降りると、私の腕に止まって汗を吸い始めたのである。生息地が局所的で絶滅が危惧されていることを知っていれば、もっと丁寧に翅裏等も撮影したのであるが、悔やんでも仕方がない。またの出会いを期待したい。
 コヒョウモンモドキは、初見初撮影の種で「昆虫リストと撮影機材」「鱗翅目」で139種類目となる。

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コヒョウモンモドキの写真

コヒョウモンモドキ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 250(撮影地:長野県 2018.06.30)

コヒョウモンモドキの写真

コヒョウモンモドキ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 -2/3EV(撮影地:長野県 2018.06.30)

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