ヒメボタルの観察と撮影を山梨県と静岡県で行ってきた。山梨県の生息地は、2008年から毎年のように訪れており、今回はこれまで撮影していなかった方向を撮ることが目的。静岡県の生息地は、2010年と2011年に訪れているが、長時間一発露光の写真しか撮影していなかったため、今回は多重露光の写真を撮ることを目的とした。
ヒメボタルは、地域によって発生時期や生息環境、発光活動時間が異なる。今回訪れた両県の生息地は、発生時期がほぼ同じで、関東周辺では一番遅いという特徴がある。またどちらも森の中に生息するが、山梨の生息地の本種は19時半から21時頃まで活動し、静岡の生息地の本種は22時半から深夜にかけて活動するといった違いがある。それゆえに、一度に両方のヒメボタルを観察し撮影することができるが、静岡の生息地には遅い時間に到着するので、生息環境の調査や、写真撮影上で背景を綺麗に写したい場合は、単独で早い時間に訪問する必要がある。
今回、山梨ではヒメボタルの発光飛翔の場所とルートを再確認し、カメラとレンズは微かな光も捉えてくれたので、その光跡を写すことができた。参考までに、2011年にほぼ同じ位置から違う方向(斜面下部方向)撮影した写真も掲載した。静岡においては、到着時に豪雨であったため、発光飛翔は勿論、ヒメボタルも流されてしまうのではないかと危惧したが、23時に雨が止むと、多くのヒメボタルが発光を始め、深夜の真っ暗な原生林が光の明滅で埋め尽くされる様子が見られた。掲載写真は、あまりに過度な表現で品を欠くものではあるが、多重合成を行うことによって、肉眼ではまったく見ることができなかった発光飛翔の範囲と場所を写すことができた。
無事、両方の生息地において目的を達成し、これにて本年最後の「ホタル」の観察と撮影を終了したが、今回驚いたことは、6年前には誰一人としていなかった静岡の生息地に、カメラマンが5~6人いたことである。皆、撮影が目的であるからヒメボタルに害を及ぼすことはないが、SNS等で生息地の情報が拡散されれば、多くの鑑賞者も訪れることになり、繁殖が脅かされる心配もある。生態学的にも貴重な生息地であるから、注意していただきたいと思う。
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ヒメボタル(山梨)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 30分多重 ISO 1600(2017.7.22)
ヒメボタル(山梨)
Canon 7D / SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM / バルブ撮影 F1.4 10分多重 ISO 200(2011.7.23)
ヒメボタル(静岡)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 20分多重 ISO 6400(2017.7.22)
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
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これ程ホタルが沢山飛んでいるのも見たことがないので驚きました。
多重合成でお撮りになったそうですが
1枚目2枚目ともホタルの飛翔光跡(?)が
林の中で見られて素晴らしいですね。
こんな光景、一度でも良いから見てみたいものです。
今年のホタルシーズンは終わってしまいましたが、
ゲンジボタルとヒメボタルと、これまでとは違った写真を撮りうことができ、また観察もできました。
ヒメボタルは、山の中であったり、あるいは真夜中であったり・・・以前、クマにも遭遇しました。
出来れば、一度でもご覧になって感動していただきたいのですが、
人々の暮らしとは距離があるように思います。
でも、一度、ご覧になって頂きたいです。