7月13日にNEW STAR。
本日は北大→エッセ→エルプラザ→プラニスホール→大丸→たぴお→時計台→道新→近美→富士フイルムの10か所。明日もあるさと思うと、途中で疲れてしまった。
■北海道大学博物館「LEPIDOPTERA(レピドプテラ)空を舞う昆虫たち チョウとガの世界」。
きれいと言えばきれい、気持ち悪いと言えば気持ち悪い。撮影が可能だったので、いくつか写真を載せておく。
蝶とアートと言えば、もちろん三岸好太郎。彼のエピソードもいくつか紹介されており、蝶モチーフの作品は、北大で蝶の研究をしていた松村博士に「蝶の海洋を渡る習性」等を聞いてできたものらしい。
また昆虫標本画を描くアルバイトをしていたが、正確にというよりは芸術的に描いてしまい、何度も修正を命じられたとか。そのうっぷんを昼飯を食べながら後輩にぶちまけていた話が掲示されていた。アート方面からだけでは伝わってこない、興味深い話である。
■ギャラリーエッセ「インド細密画モハメッド・アリ・カーン・ゴーリ展」。独特の雰囲気を持つ作品で、なかなか見て楽しい。作品を描いている紙が高いのか分からないが、値段は相当高い。
■プラニスホール「織姫たちのスイーツ・アート」。どう突っこんで良いのか、そもそも突っこむべきなのか、実にのん気な展覧会。また、私にはこれまでに見たことのある作品が多かった。
松田郁美「assort」:鉄の小部品をお菓子の詰め合わせに見立てたという作品。私にはあまりそうは見えないのだが、作者の「鉄子」っぷりが発揮されたものだと思う。
久野志乃「破片を集める」:絵画5点からなる作品。一番大きい「We found a boat」は舟に向かう女性の後ろ姿を描き、これから壮大なドラマが始まりそうな物語性がある。また水色、ピンク、オレンジという色彩を破綻なく使いこなしているところも、私好みである。
小林麻美「わたしの輪郭線」:これまで、どこかで見た風景、記憶にある人などを描いてきた作者だが、ついに自分の姿を取りこんだ作品が登場。依然、木の枝が網目を思わせたり、人物の頭部が透明ではっきり描かれていなかったりするのだが、何を描いていくのか今後も期待大。
※20110718追記。
そもそも芸術作品には、人間の生や死を思わせるものがあったりする。そういう意味では、決して箸にも棒にもかからないダメ作品だけがあった訳ではない。しかし展覧会そのものには、何らかの方向性というものは感じられなかった。意識的に無方向ならば、それはそれで良いことだが。
■北海道立近代美術館「北京故宮博物院展」。
乾隆帝皇貴妃の肖像:意外と遠近法が目につく。中国ではいつ頃から使われている技法なんだろう。
光緒帝の妃の身分を記録し、証明する書き付け:漢字の他にサンスクリット? のような横文字も使われている。
漆の箱:くすんだ赤に金模様が実にシック。
ガラス製ハクモクレン盆栽:白蝋状の花びらが独特。
オルゴール:筒状の部分の他に、小さなベルやミニドラムのような部分もある。かなり複雑な音がしそうだ。
韓煕載の夜宴遊楽図:皿に盛られた食べ物がリアル。
道光帝の孝慎成皇后が庭の蓮を鑑賞する図:木や蓮が若冲っぽいのだが、もちろんこれは若冲が中国画を勉強したのだろう。
麻雀牌:普通の牌の他に龍・鳳・公・相などの謎の字牌が…
水滸伝人物のカードゲーム:もりあがりそうだ。
后妃がかんざしをつけ化粧している図:女性像は皆小柄(特に下半身が小さい)で、なよなよした感じ。
西太后の肖像:これはカンヴァスに油彩で描かれたもの。外国人の絵師でも招かれたのだろうか。上に文字があるため、何となくポスターチック。顔に全くしわがないのと、鋭く長い爪カバーをつけているのが怖い。
瑪瑙製のマッサージローラー:これはコンパクトで可愛い。女性は欲しくなるのでは。
黄金製の素地に七宝で草花が描かれた杯と皿:黄色い花のような小皿に、内側がみずいろの小さなカップが載っている。バランスが良い。
皇族の生活の様子が描かれた絵:服や調度品が非常に質素に見える。そういう時期もあったのか。
蒙古製の将棋:ラクダ、牛車、獅子など謎の登場者が。
子供たちが遊ぶ「百子図」を彫刻した蓋付き小箱:これは彫りものの立体感が凄い。高々数ミリの中に、遠近感すら感じられる。
国家一級文物が18点(そうは思えないものもあるが)、興味深い展覧会であることは間違いない。ただ、圧倒的な精密さや美しさというのは感じられなかったか。もっと国家権力でもの凄い労力をかけたものを期待していたのだが。