北の海に生息するカサゴ目トクビレ科のテングトクビレLeptagonus leptorhynchus (Gilbert)です。この魚は福井県にお住いの友人の方がわざわざ送ってくださったもの。
テングトクビレは日本海側では島根県以北の日本沿岸に分布し、北朝鮮の元山にもいるとのこと。ほか、太平洋側でも静岡県以北に分布し、オホーツク海、ベーリング海、米国アラスカ州までという、かなりの広域に分布する魚です。トクビレの仲間は低水温の海域に多く、三河湾ではあまり見かけない魚たちです。ただし、トンボイヌゴチという深海性の種類は熊野灘や土佐湾で漁獲されています。
テングトクビレ属は日本産は2種からなります。鼻骨の遊離縁はなめらかで、鋸歯状でない、胸鰭の軟条数がやや少ないなどの点でヤセテングトクビレと区別できます。最近は本種はSarritorという別属の中に入れられることもあるようです。
日本産のトクビレ科魚類は23種がいるようですが、そのうち11種は北陸の日本海側で水揚げされる可能性があるようです。今度私も訪問し探してみたいものですね。