今日のフィリピン魚はアイゴ科のフォックスフェイスSiganus vulpinus (Schlegel and Müller)です。
フォックスフェイスは、スズキ目アイゴ科、アイゴ属に含まれる魚です。アイゴ科の魚は世界で28種が知られていますが、属はアイゴ属だけで、いくつかの亜属に分けられているようです。
本種は日本にも分布するヒフキアイゴに酷似しており、同種としていることもあるのですが、体側に黒色斑がないことから別種とされています。ただしこの黒色斑の大きさには個体による変異があり、片側だけにあったりするものもいるとのことです。何れにせよ再検討の必要があります。
アイゴ科がほかの魚と比べて変わっているのはこの腹鰭です。アイゴ科の魚はすべてこのように2つの腹鰭棘をもち、その間に3本の軟条があります(上図)。
アイゴ科の背鰭は(少なくとも日本産種は)どの種も13棘、10軟条あります。この種も13本の棘があります。注意しないといけないのは背鰭・腹鰭・臀鰭の棘には毒があるということで、刺されると場合によっては激しく痛む場合があります。
ヒフキアイゴの仲間は吻が長いのも特徴です。日本にはヒフキアイゴが分布するのみです。ヒフキアイゴは西部太平洋に産し、フィリピンなどから輸入されるほか、沖縄産の個体も流通します。このほかインド洋東部からは一見灰色で地味だが、グラデーションが美しいアンダマンフォックスフェイス(アンダマンラビットフィッシュ)、フィジー方面にすむ黒と黄色が特徴のバイカラーラビットフィッシュ(ウスピ)も輸入されています。