昨日ヒラマサをご紹介したので、今日はこれまでこのぶろぐで紹介できていなかった日本産アジ科ブリ属最後の一種を。ヒレナガカンパチである。
ヒレナガカンパチはカンパチに似ているが、いくつかの点が異なる。
ヒレナガカンパチの背鰭はカマのようになっている。写真は小型の個体であるのだが、それでも強いカマ状。この特徴で区別するのが一番簡単であろう。
カンパチでは尾鰭下方が白くなっていることが多いが、ヒレナガカンパチはそうなっていない。ただし大きいものでは白色斑は消失していることもあるので注意が必要。なおFishbaseでカンパチの中に明らかにヒレナガカンパチと思われる個体も多数いるので注意が必要である。
ヒレナガカンパチは一応世界中の温暖な海域に生息している、ということになっている。ヒラマサみたいに、複数の種に分けられるかどうかは不明。タイプ産地は大西洋かGreek Archipelagoのようで(詳細は不明)、もし日本を含むインドー太平洋産のものと大西洋産のものが別種になれば、日本産の学名はSeriola songoro Smith, 1959となるはずである。標準和名は学名からソンゴロともされたが、下手に変更すると混乱を招くと思われるのでやはりヒレナガカンパチが残るのだろう。現状カンパチという名前で呼ばれているSeriola dumerili (Risso, 1810)は地中海がタイプ産地ということで、大西洋のものと日本のものが別種になるとされれば、Seriola purpurascens Temminck and Schlegel, 1845という学名になるのかもしれない。なおSeriola purpurascensとされても、標準和名はカンパチである。
この個体は2014年にHN「はこふぐ」さんに突いてもらったものを写真に撮らせてもらったもの。ありがとうございます。残念ながらこの種は食したことはないのだが、刺身や塩焼きなどにして大変美味とされる。しかしながらたまにシガテラ毒をもつことがあるので注意が必要という。