今日は沖縄の魚市場で購入した魚を。ブダイ科・ハゲブダイ属のオオモンハゲブダイ。
オオモンハゲブダイはこのぶろぐでは2回目の登場である。前回は2007年に沖縄で購入した個体。そして今回も沖縄で購入した個体であり、12年ぶりの再会といえるだろうか。
ブダイ科のほかの種の多くもそうなのだが、オオモンハゲブダイも雌雄で模様が大きく異なる。まずは体側の目立つオレンジ色の模様。この模様は雄の大きな特徴になっているが、ごくごくまれにこのオレンジ色の模様を欠くことがあるようだ。雌は全身が黒っぽく、尾柄部が白く、尾柄部には赤みを帯びた斑点がある。オカメブダイとの見分けは難しいのだが、眼の色彩が白っぽく、黄色っぽいオカメブダイと見分けることができる、とされているものの、なかなか難しいだろう。残念ながら雌の画像は持っていない。幼魚はほかのブダイ類との区別は困難である。
オオモンハゲブダイは成魚でも全長30cmほどと、比較的小ぶりなサイズである。そのためアクアリストに飼育されることもあるのだが、それでも終生飼育ならば少なくとも幅120cm以上の水槽が必要になるだろう。一方食用魚としては追い込み網や突き漁などにより漁獲され、市場によく出て美味である。
この間このぶろぐでもご紹介したハゲブダイやブチブダイ、イチモンジブダイといった種類は泊いゆまちで購入したもの。一方このオオモンハゲブダイは那覇の公設市場で購入したものである。このときの沖縄訪問で公設市場で購入した唯一の魚である。
公設市場に並んでいるブダイたち。左側のはハゲブダイ2匹、間にいるのがオビブダイ。シマハタとイソフエフキを挟んで右側には2匹のハゲブダイの姿も見える。結構色彩もよくて鰭もしっかりきれいではある。あまり突き刺したあとも目立たない。購入したくなるのだが、残念ながらお値段がいゆまちよりも3割くらい増しになっているので、あまり購入することはできない。セミエビなど甲殻類も美味しそうではあったが、こんなのを購入してしまうと魚を購入するための予算が無くなってしまう。
この魚市場を訪れたのは2019年。公設市場ではチャイニーズな言葉があふれかえっていたのだが、もうしばらくはこの言葉を聞くこともないのかもしれない。なおこの市場は建て替えが行われたらしく、次に訪問する際は全く別の様相になっているはずで、楽しみ一方、寂しさ一方という感じである。
分布域は伊豆半島、八丈島、屋久島、琉球列島であるが、少なくとも成魚は屋久島まで行かないと見れないようで、それ以北は死滅回遊魚であると思われる。高知県にも出現してもよさそうではあるが、この種はいまのところ流れてきていない。海外では西太平洋のサンゴ礁域、およびフィジーに分布しているが、インド洋には分布しないらしい。その点ではオカメブダイよりも分布域が狭いといえそうである。