久しぶりに戸田の深海魚。以前記事を書いてアップする準備をしていたが某社社長氏からの嫌がらせにより削除されたもの。スズキ目・オニガシラ科・オニガシラ属のマメオニガシラという魚である。
オニガシラ科の魚は、見た目はホタルジャコ科のワキヤハタやオオメハタなどに似ているのだが、頭部には大きな違いがある。この仲間は頭部周辺のいくつかの骨が露出しているのである。まるでツボダイ科のツボダイ属の魚のようである。ただ分類学的にはあまり近くないようである。
マメオニガシラの後頭部のアップ。後頭部に角状の突起がある。この特徴があるものは「ツノガシラ」という名前で呼ばれていたのだが、この種はマメオニガシラと同種であるとされた。どうやらこの突起は幼魚のころにのみある特徴だという。成魚は標準体長20cmほどになるが、この個体は10cmもない幼魚である。そのため突起も目立っている。
オニガシラ科の魚はオニガシラ属だけで、世界で3種のみ。そのうち日本には2種が知られている。もう1種オニガシラは静岡県駿河湾からのみ知られているものであるが、同定形質があやふやであり、再検討が必要だという。日本に生息していないもう1種はオーストラリア近海に生息する。
分布域は静岡県戸田と土佐湾であるが、ほかの地域でも探せばいると思う。海外では台湾、フィリピン近海や東アフリカ沿岸などに分布している。水深300mほどの場所から底曳網漁業などにより漁獲されているがほとんど食用にならない。小ぶりなものが多かったからだろうか。ただし今回は揚げ物にして食べると美味しかった。今回の個体は静岡県戸田産で、青山沙織さんにおくっていただいたもの。ありがとうございます。