Youtube動画も好きで色々見ているのですが、あまりにもひどいチャンネルを見つけてしまった。
「世界の奇跡」というチャンネルでは「世界の危険な甲殻類トップ8」では、スベスベマンジュウガニが紹介されているが、その動画では一切スベスベマンジュウガニの画像や動画が使用されず、オールのような脚をもつワタリガニ科のカニの写真や動画を使用している。タカアシガニについても誇張された内容があったり、全くその生物について知らないで動画を作成しているなど、それは低品質図鑑サイトをそのまま動画にしたような内容となっている。
「ブライトサイド」というチャンネルの「できれば避けたい海の生き物14選」もひどい。最初にオニダルマオコゼを紹介するのだが、オニダルマオコゼの写真はほとんどなく、フサカサゴ属の種や、オニカサゴ属の魚などの写真が使用されているが、なんといってもカサゴ類と縁遠いカジカ亜目のケムシカジカの背鰭棘さえ「オニダルマオコゼの毒棘」として紹介している。さらに「ゾウギンザメは硬骨魚類」と紹介したり、このような動画チャンネルにありがちな「過激な表現」も使用されているなど、無茶苦茶な動画である。ほか、ブライトサイドはハリセンボンを猛毒魚として紹介していたり、浅海のハゼ科の一種と思われる魚の写真を深海棲クサウオの仲間と紹介しており、学術的に見てはいけないのだろう。もっとも深海のクサウオとして紹介している魚(おそらくハゼ亜目の何か)は、WikipediaではLiparis floraeとして紹介されているため、このサイトもWikipediaの被害者かもしれない。もっとも、Wikipediaを参考文献としている時点で、終わっているのだが。
これらの動画チャンネルの共通点として、英語チャンネルの動画をそのまま日本語訳して公開されているものが多いが、英語のインターネットではこのような生き物を紹介するのは動画だろうがメディアだろうが概ね低品質、生き物の同定内容もめちゃくちゃなものばかり。日本語サイトもあるが翻訳もめちゃくちゃなものでただ機械翻訳されたものだけであり、信用してはいけないだろう。もっとも欧米などでは日本ほど磯採集が盛んではない、もしくはそのような行為が規制されていることもあり、日本ほど生き物に興味を持ちにくいというところがあるのかもしれない。