お久しぶりです。ネタが少なく、更新できていませんでした。ほかにも忙しい理由もできてきました。ということで、今日は以前に採集された魚のご紹介。ツノザメ目・カラスザメ科・カラスザメ属のヒレタカフジクジラ。
ヒレタカフジクジラ(2009年5月)
カラスザメ属は意外と大きなグループで、本種の含まれるフジクジラグループのほか、日本産ではカラスザメ、リュウキュウカラスザメ、ニセカラスザメ、フトカラスザメといった種がほかにも知られているが、古い図鑑ではツノザメ科の一員とされていたことがある。また魚類検索第二版では、ツノザメ目ではなくヨロイザメ目とされていたことがあった。またヨロイザメ目はツノザメ・エイ上目とされていた。
ツノザメ目のサメは鰭に特徴があり、背鰭は2基で,その前方に大きな棘があるという特徴と、臀鰭がないという特徴である。このうち背鰭の前方に棘があるというのはネコザメの仲間にも共通するが、ツノザメの仲間は臀鰭がないところが特徴だという。
近縁種にホソフジクジラやフジクジラといった種がいるがこれらの種とは臀鰭上方にある奇妙な形の斑紋によって見分けられる。この斑紋は前・後方に分岐しているのであるが、本種では後方の分岐が長いためフジクジラと見分けられる。ホソフジクジラはヒレタカフジクジラと比べるとこの後方の分岐が細いのが特徴であるという。またヒレタカフジクジラは第2背鰭上に鱗がないがホソフジクジラではあるということでも見分けられるようだ。
分布域はニューサウスウェールズ、ニュージーランド。および相模灘~土佐湾までの太平洋域、沖縄諸島、沖縄舟状海盆であるが、どうやらオーストラリアやニュージーランドのものと日本のものは異なるという。本種の学名Etmopterus molleriはニューサウスウェールズ産のものがタイプ標本とされているので、日本のものには別の学名が与えられるべきかもしれない。そうなっても標準和名の変更はないだろう。深海釣りでは決して珍しくはないものの、食用としてはあまり利用されていない。大体200~300mほどの深さで網をひくとよく入ってくる魚であるが、860mくらいの深さにまで見られるという。
今回の個体は有限会社 昭和水産の沖合底曳網漁船「海幸丸」で2009年に漁獲された個体。いつもありがとうございます。
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