今日から9月です。ということで(どういうことかは不明だが)、鹿児島からやって来た青が美しいベラの仲間をご紹介。ベラ科・カンムリベラ亜科・ススキベラ属のブチススキベラ。
ブチススキベラ頭部
ブチススキベラはススキベラ属の種類では最大種で、全長40cm近くになる。写真は鮮やかな青い色をしていて、ブダイの仲間に見える。しかしブダイの仲間とは歯の形状が大きく異なるので容易に見分けることができる。本種は雄と雌、そして稚魚で大きく色彩が異なることが知られており、この写真の個体は雄の成魚である。雌は灰色の体で、体側には青白い斑点が多数入るという特徴がある。ただし雌の写真はない。ごめん。
ブチススキベラ稚魚
一方稚魚は茶褐色で、ゆらゆら泳ぎながら海藻に擬態することで知られている。ふだんはゆらゆら泳いでいるのだが、網を差し出すと動きが素早くなり、瞬時に砂に潜ることもある。しかしながらうまくいけば簡単に採集できる。ススキベラ属は磯採集家により採集されることがあるが、そのほとんどは本種であろうと思われる。なお、稚魚の写真は私が高知県で採集したものである。
ブチススキベラはインドー太平洋の広い範囲にすむ。西はアリワルショールから、東はイースター島にまで至る。ハワイには分布していないが、近縁種のパールラスAnampses cuvierというのがいる。ただしブチススキベラとされている種も生息地により若干色彩が異なるようであり、それらの個体は今後種として復活するかもしれない。なお、ススキベラ属のベラは観賞魚として飼育されることもある。ホクトベラやフェミニンラスなどは観賞魚として日本にもよく輸入されるが、後者は南太平洋のサンゴ礁域に生息するものでかなり高価な魚である。一方ホクトベラなどは安価ではあるがかなり神経質で、なかなか餌をたべてくれないことがある。そのため初心者には向かない魚といえるだろう。飼育していても幼魚はなかなか配合餌を食べないことがある。世界で14種が知られているが、そのうちいくつかの種にはまだ学名がない。
ベラ科の魚といえば、我が家では大体「煮つけ」であるのだが、ブダイのように大きなサイズであったため、今回は刺身にしていただいた。身は白身であるが、結構赤みをおびているのに驚いた。味はよかったが食感はもちっとしていたので、唐揚げや煮つけの方が向いていたかもしれない。なお今回のブチススキベラも、昨日のギンカガミ同様に鹿児島県の田中水産 田中積さんより。いつもありがとうございます。
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