魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

フィリピン魚32.ツムギハゼ

2012年04月03日 22時50分28秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚は、スズキ目ハゼ科のツムギハゼYongeichthys criniger (Valenciennes)です。

 

ツムギハゼは、体側にある、1列にならんだ、3つの円形の黒色斑、あるいは背鰭の棘がやや伸長するなどの特徴があります。背鰭や尾鰭の黒色小斑も目立ちます。

●ツムギハゼ属とキララハゼ属
ツムギハゼ属はインド洋・太平洋・西アフリカの大西洋に生息する4種ほどが知られていますが、キララハゼ属と形態的特徴の差がほとんどなく、キララハゼ属の新参異名とする考えもあります。また、その4種の中でも再検討が必要なものがいるとのこと。そしてキララハゼ属も同様に分類学的な再検討が必要とされるものです。日本では10種前後がいるようですが、その種の総数は未確定です。現在分類が難航しているスジハゼ種群もこのなかに含められております。いずれの属も多くは河川汽水域から内湾、マングローブの中にすんでいます。

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 ツムギハゼはハゼの仲間としては珍しく、毒をもつことでよく知られています。毒は筋肉や皮膚などにあるといわれ、特異的です。ハゼの仲間は世界に2000種いるとも言われていますが、毒をもつものは大変少なく、ツムギハゼ属の魚と、サンゴ礁の海に生息するコバンハゼ属の魚くらいです。

コバンハゼ属の魚は体が粘液でおおわれていますが、この粘液にはグラミスチンとよく似ている毒が含まれていることが報告されています。これは防衛に役に立つといわれており、水槽内でほかの魚を殺すこともあるそうです。

一方、ツムギハゼの毒はフグの毒と同じ「テトロドトキシン」で、ヒトに対しても致死性があるようです。実際に台湾では死者も出しています。一説によりますと、似た環境にすむフグ科のオキナワフグの死骸を食し、毒を蓄積させるとも言われています。しかし、この種は毒でやられないのが不思議なところです。

奄美での地方名は「メクライブ」。差別用語つきで、不適切な表現かもしれません。「イブ」は奄美大島で「ハゼ」の総称で、この場合は「前日」という意味ではない・・・。ちなみに、「ハゼ」の名は「ハセ」 (陰茎) からきてるといわれます。イブの語源はなんでしょう。

ツムギハゼはマングローブでたくさん見かけられ、釣りや手網で採集可能なのですが、もちろん食用にされることはありません。動きは鈍いなど書かれている文献もありましたが、これは正直疑問。動きが速く見えましたが、私の見間違いでしょうか・・・。観賞魚としてたまに流通することがあります。写真の個体はやや小型の個体、これもフィリピン産。

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ベニハゼたち

2012年04月02日 20時07分38秒 | 魚介類飼育(海水)

久しぶりに海水魚飼育の記事です。本水槽ではハタタテハゼを失った→新たに3匹入れた以外にはあまり変化がない水槽のメンバーではありますが、小型水槽にはいくつか新しいメンバーが入ってきました。私はハゼの仲間が好きで、このベニハゼの仲間も大好きなグループ。ブログ「A Little sea」の「にこ」さんとこの間横浜のお店で購入した個体です。

これはキャンディケインピグミーゴビーTrimma cana Winterbottomです。透明な地色に赤い横帯が美しい小型種です。死サンゴ、あるいはライブロックの上よりも砂地の方が好みのようです。

こちらはメガネベニハゼTrimma benjamini Winterbottom。英名はリングアイドゴビーといいます。眼の周りに白色の模様が入っているのが特徴です。活発な種で、死サンゴやライブロックなどについています。「日本のハゼ」の「ベニハゼ属の1種‐8」は本種だそうです。

これはやや大型のベニハゼ、種類はわかりませんが、ホテイベニハゼによく似た(この仲間では)大きくなるもので、ホシクズベニハゼのような、眼の周りの赤と紫の模様があり、眼のしたから後ろに伸びる赤線も特徴といえます。非常に活発で、餌を与えると水面付近にまで上がってきます。

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フィリピン魚31.セグロチョウチョウウオ

2012年04月02日 15時04分48秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚はチョウチョウウオ科のセグロチョウチョウウオChaetodon ephippium Cuvierです。

チョウチョウウオ属の魚はフィリピンにも36種ほどが分布しています。本種は灰色っぽい体色で、体側に網目状の模様がなく、体側の後方背部に大きな暗色域があるのが特徴です。成魚になると、背鰭の後ろ端がやや伸びますが、体色により、この伸長の特徴を持つトゲチョウチョウウオ、レモンチョウチョウウオと区別できます。

セグロチョウチョウウオは我が国でもごく普通にみられる魚です。千葉県以南の防波堤などで夏から秋に採集することができます。他のチョウチョウウオ属魚類と比較して内湾に多いためか、あまり磯で出会う機会が多いとは言えず、むしろ小さな漁港などで遭遇することが多いです。私は、底が泥の濁った湾内で数度出会えました。一度は高知、もう一度は奄美で、奄美の個体はやや大きく、成魚と同じような色彩の個体でした。

チョウチョウウオ科魚類は、フィリピンでは食用とされています。チョウチョウウオなど一部の種は日本でも食用とされていますが、あまり市場に出回らないのに対し、フィリピンでは市場でも売られています。また、フィリピンをはじめ、東南アジアの国々ではチョウチョウウオの仲間は観賞魚として漁獲され、日本や欧米などに輸出されています。

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フィリピン魚30.ヤエヤマギンポ

2012年04月01日 12時05分15秒 | 魚紹介

今日から4月ですね。新年度最初のフィリピン魚、そしてブログ記事はイソギンポ科のヤエヤマギンポSalarias fasciatus (Bloch)です。

ヤエヤマギンポは琉球列島以南、インド・西太平洋のサンゴ礁や岩礁域に生息するイソギンポ科、ヤエヤマギンポ属の魚です。ヤエヤマギンポ属は日本からは3種、西部太平洋からは11種、 フィリピンからは8種が知られています。

その中でもヤエヤマギンポは大型になるもので、体長は12cmを超えます。この個体は雌で、お腹の中からは卵が多数出てきました。その上にある、緑色というか、茶色いものは消化器、胃か腸で、藻類のようなものが多数入っていました。

口を顕微鏡で見ますと、「くし」のような歯が並んでおり、これで岩や死サンゴなどにつく藻類を削り取るようにして捕食します。

ヤエヤマギンポは岩についたこけをよく食べてくれるので海水魚の水槽では有難がられる魚です。他の魚との協調性はありますが、同種では争うようです。

眼の上の方にまつげを彷彿とさせる皮弁がありかわいいものです。九州以北の磯遊びでは見られないものですが、奄美以南では磯採集でよく獲れます。

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