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ヘルプ ~心がつなぐストーリー~

2012年05月02日 02時42分52秒 | 映画

 原作の小説を、近所の本屋でふと目にして買ったその日、映画のアカデミー賞で助演女優賞を獲得した「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」。
 本屋は映画がノミネートされてるということで目立つように陳列していたんだろう。授賞式は見てなくて、受賞のニュースは知らずに買ったんだけど、面白くて一気読みした。3月31日公開と帯にあったから楽しみにしていたが・・・
 台湾に行ったり、突然思い立って香港に行ったりで、映画は行きそびれていた。もう行かないと終了しちゃう!とあせって検索すると、案の定、多くの映画館が4月27日で終了、またはナイトショーに移行。連休中公開している映画館も、座席数の多い大スクリーンから、少なめの小スクリーンに変わっている。
 できるだけ見やすい、きれいな映画館で見たいと思って口コミを読むと、「段差になってないので前の人の頭で画面の下半分が見えなかった」「構造が少し変で、スクリーンに座席が正対してない」などなど、気になる書き込みがある。一番近い新宿武蔵野館は昔ながらの整理券方式で、全席指定方式に慣れてしまうとちょっと行きづらい
 結局、日比谷方面に出るのと時間・交通費があまり変わらず、サイトでスクリーンも座席も確認できた立川のシネマシティに、ネット予約して出かけた。77席の小さなスクリーンだったが、小さすぎて迫力が足りないということはなく、楽しめた。
 1960年代のミシシッピ、黒人のhelp=通いのメイドたちと、白人家庭の女性たちの話。家事も育児もヘルプに任せきりで、上流階級の女性たちはブリッジや慈善パーティーに明け暮れる。自分の子どもは人に預けて、勤め先の白人の子どもたちを育てるヘルプ。親よりも慈しんでくれるヘルプに育てられた主人公、作家志望のスキーターは、大学を卒業して故郷に戻るが、黒人差別が根強く残る社会の現実に違和感を覚え、ヘルプたちに取材して本を書こうと思い立つ。友人たちの家庭で働くヘルプのエイビリーンやミニーの協力を得るが、保守的な周囲との軋轢に直面し、、、
 自分の家に働きにきている黒人メイドとトイレを共用するのが嫌と感じる、白人女性の感覚が怖ろしい。「黒人は特有の病気を持っている」と考え、家族や子どもの健康を守るためには当然と主張する、スキーターの友人ヒリー。時代・地域の常識というのは、それほど強固なものなのか 「分離すれども平等」は、長く差別政策を正当化する表現だった。
 公民権運動の黒人指導者が撃たれる時代、白人女性と道端で話しているだけで視線にさらされる黒人メイド。ちょっとしたことでリンチに遭いかねない危険。怯えながらも、息子の学費のための前借を断られ盗みでつかまった仲間を見て、体験談を話そうとメイドたちがスキーターに協力する。
 本が出版され、店頭に並び、話題になる。絶対に知られたくない秘密が暴露されているため、「この町のことじゃない」と必死で言い続けるヒリーは、言いがかりをつけてエイビリーンを辞めさせる。「そんな生き方してて、疲れませんか?」言い放ってエイビリーンは出て行く。歩いていく後ろ姿に、メアリー・J・ブライジの力強い歌が重なるラストシーン。
 原作小説は上下巻で700ページ以上と長いので、少し設定を変えたりエピソードを削ったりしている。ミニーが働く家や失職の経緯は映画と少し違い、スキーターの恋愛、ミニーと新しい職場フット家の関わりは原作にもっと詳しく描かれている。スキーターと母の関係は、映画では和解の方向に。
 しかし小説を読んだだけでは想像しきれない現実感が、さすが映画 ミニーの作るフライドチキンがあんまり美味しそうで、昼はケンタッキーに行ってしまった(笑) 映画では“因縁”のチョコレートパイも食べたい 女性たちのファッションも、なるほどと思わせてくれる。
 アカデミー賞を受賞したのは、ミニー役のオクタヴィア・スペンサー。歯に衣着せない見事な毒舌ぶり、らしいんだけど、全然聞き取れなくて字幕頼み 60年代で南部で、じゃ難しいのは当たり前か。
 エイビリーンが世話する女の子メイ・モブリーに、「あなたはやさしい子、あなたはかしこい子、あなたは大切な子」と教えるシーン。You are~じゃなくてYou is~と言っている。幼児語の一種なんだろうか? 辞めさせられて出て行く前に、もう一度この子が教えたとおりにいう言葉が、最後のはなむけとなる。
 スキーターを演じたエマ・ストーンの顔が、誰かに似てる、、、思い当たったのは、晩年のマイケル・ジャクソン なんとなくだけど^^;
 パンチの効いた台詞の一つ一つや、劇中で流れる曲、ファッションや風景、どれも一度見ただけでは味わいきれない。これはDVDで家に置きたい映画

コメント (2)
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