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運と、戦略と

2015年04月04日 04時29分43秒 | スポーツ

 たら、れば、の話になってしまうけど(汗)(鱈は北海道!レバは肉屋!<田辺聖子の小説より)
 フィギュアスケート・世界選手権2015。残念ながら来年3枠から2枠になった日本男子を振り返って、少し分析してみる。
 羽生結弦があと2.83点取れていたら優勝。小塚崇彦があと0.35点取れていたら11位。そのどちらかが実現していれば、1+12か2+11で3枠になっていた。そのわずかの点は取れる可能性があっただろうか。

 ジュニア時代から重要なところで接戦をものにして勝ち上がってきた、運を“持ってる”と言っていい羽生。しかし、さすがの強運も、今季はもう使い果たしてたかも
 GP中国杯で衝突事故の後2位、NHK杯4位ながらグランプリファイナル出場権を得て優勝。全日本の後、尿膜管遺残症の手術。退院後に右足首ねんざ、それでも世界選手権に間に合った。
 尿膜管遺残症とわかったのがもっと後だったら、腹痛を抱えたまま試合に臨んだかもしれないし、足首の怪我も骨折だったり時期がずれたりしたら、出場が難しかったかもしれない。間に合っただけで、相当な幸運だった
 ISUジャッジの岡崎真氏が「フリーはつなぎで手抜き、演技構成点がファイナルより下がった」と指摘していたが、抜かないと最後まで持たないくらいの状態だったともいえる。この点は責められないと思う・・・
 2回転になった4回転サルコウが回りきっての転倒だったら。4回転トウループが回転不足でも着氷してたら。惜しかったのはそのあたりだろう。そしてライバルはミスしてくれなかった

 フリーで1番滑走になった小塚崇彦は、「会場が試合の雰囲気になっていない中で滑るのは難しい」と言っていた。SP19位でフリー第1グループになり、抽選で第1滑走を引いてしまったわけだが、SPであと0.13点取れていれば18位で第3グループ。少なくとも全体の1番は引かなくてすんだはずだった
 ジャンプのミスがあっても、スピンかステップでレベル3が4になるとか、演技構成点であと0.25高い得点が5つくらい出るだけでも、逆転できた差。ユニバーシアードではレベル4が取れたステップが3どまりだったのが口惜しい
 そしてフリーでは、不本意だったGPシリーズでもしっかりレベル4が取れていたステップで2、スピンにもレベル2が、、、この取りこぼしがなければ このへんが、「試合の雰囲気になってない」会場での難しさなんだろうか。
 せめて第1滑走でなければ・・・運がなかったか

 使い切ってしまった運、つかまえられなかった運。
 運に頼らない戦略面ではどうだったか。SP滑走順に関係する大会前までの世界ランクについて考えてみる。
 小塚崇彦は2007年から、2008年を除いて毎年ジャパンオープンに出場している。GPシリーズが始まる少し前の時期なので、この大会に出場する選手はだいたい同じ時期の国際大会、ネーベルホルン杯やフィンランディア杯、オンドレイ・ネペラ等には出場しない。
 ISU主催以外のISU認定国際大会は、参加人数と参加国数が一定以上であれば、5位以上に世界ランクポイントがつく(今季から始まったチャレンジャーシリーズでは8位まで)。最大2大会分のポイントが反映されるから、こまめに出てポイントを稼げば、当然ランクは上がっていく。
 ISU主催のGPシリーズとファイナル、選手権のほうがポイントは高く、GPシリーズは8位まで、選手権はフリーに進めばポイントがつく。こちらでしっかり実績が残せれば、そのほうが効率はいいわけだが^^;
 今季GPシリーズでは8位と6位であまり稼げなかった小塚、ユニバーシアード派遣が早くから決まっていて、四大陸は出場なし。他国の選手たちがヨーロッパ選手権や四大陸、認定大会でポイントを稼いでいるから、相対的にじわじわ世界ランクが下がってきていた。
 世界選手権・SP滑走順の決め方は、大会前の世界ランクでグループ分けしていく。今回は上半分が後半の形になったので、13番目だった小塚は第3グループの後半に組み込まれた。
 だが12番目だったミーシャ・ジーとは100ポイント弱の差、もしユニバーシアードの後に何か大会に出てポイントを獲得していたら、第4グループに入れたかもしれない。
 上位2グループ分しか後半に入れない年もあったので、13番目では、確実に後半になる保証はなかったはず。実力に差がある選手たちに混じっての滑走順だったら、少し不利だ・・・
 もちろん小塚の実力なら、SP滑走順が最終グループやその前でなくても、十分上位に入れるという前提だったろう。グランプリファイナルに進出した無良が順調に世界ランクを上げていて、大会前で6番目、最終グループ。連盟としては何も心配してなかったことと思う。
 国際大会は若手が経験を積む貴重なチャンスと考えて、ベテランの自分が邪魔しちゃいけないと思ってるかもしれない。でも世界選手権に向かう戦略の一環として、「僕、一つくらい大会出ておきたいんですけど~」と主張してもよかったかな~
 上位に入れそうな選手が1人か2人しかいなかったら、待遇も違うんだろうけど。層が厚いがゆえに、微妙なところかも。

 翌年の枠獲得を最大の目標にする場合(五輪の前年など)、派遣選手選考基準も若干手直しがあるかも?
 ここ数年は全日本の結果とGPシリーズやファイナルの成績、シーズンベストスコア、世界ランクで決められてきた。しかし実力の差が大きくない場合、四大陸選手権の結果なども総合する方向もありかもしれない。
 世界ジュニアは以前、全日本ジュニア上位が原則として派遣されてきたが、今は全日本選手権の成績も加味して検討される。選手には負担が大きくなったけど、より大会に近い時期に調子のいい選手を送る形になっている。
 (今の方式だと、実はジュニア1年目の羽生結弦は世界ジュニアに出られてない。全日本の成績が全日本ジュニア3位村上大介や2位町田樹のほうが上だからだ。しかし1年目で世界ジュニアを経験したことが2年目の優勝、シニアに上がってからの活躍につながったと考えると、やっぱり“持ってる”
 選考時期が遅くなるのは選手にとって負担だけど、毎年でなければありかな・・・

 たられば&余計なお節介でした
 

コメント
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