フィギュアスケート・世界選手権2024、男子フリー(ジャッジスコア)。
<G1>
キム・ヒョンヨム(韓国) SP:74.89(21) FS:147.90(18) Total:222.79(18)
「Requiem for a Dream」♪ 青と茶色。冒頭に4トウを決め、3アクセルは回る過ぎるのを抑える着氷。3ルッツ+3トウ、後半3ループ+2アクセル+2アクセルと入る。スピードのあるニースライドや膝曲げイーグルのコレオ。
緊張の第1滑走をしっかりやり遂げた。
イ・シヒョン(韓国) SP:73.23(24) FS:134.36(24) Total:207.59(24)
「Cyrano」♪ グレーに赤ストーン。全種類のジャンプを両手上げで跳ぶ。冒頭の4トウ決まり、3ルッツはステップアウトして単独に。3アクセル入り、3サルコウに3トウを付けたらフェンスに足がぶつかった 2本目の3アクセルで転倒。3フリップ+3トウ、3ループ+2アクセル+2アクセルと頑張る。
すらっとした長身で見栄えはするが、、、全体に地味かな。
セメン・ダニリアンツ(アルメニア) SP:73.46(23) FS:140.53(21) Total:213.99(22)
「Peaky Blinders」♪ 白シャツにグレー系ベスト。4トウ少しこらえ、3アクセル+3トウ頑張る。2本目の3アクセルはステップアウト。足を前に伸ばしてエッジホールドのシットスピンはイリュージョンで出る。3ルッツ+2アクセル+2アクセル、その後も3サルコウ+2トウなどを決めた。スピンで少しふらついてしまったが、概ねできることはできた
トータルは自己ベスト。
ルク・エコノミド(フランス) SP:74.02(22) FS:143.08(19) Total:217.10(21)
「Smile」「モダン・タイムス」♪ 黒スーツ風。ステッキをくるくるのポーズから、3アクセルでステップアウト。3ルッツ、3ループ、2アクセル下りる。キャメルスピンは逆回転を入れ、ネクタイを直す仕草から軽快にステップで手拍子をもらう。3アクセルなんとか立ってオイラー+3サルコウ、3フリップ+3トウ耐えて3ルッツ+2トウ。
観客に手を振りながらぶんぶん飛ばすコレオ。楽しめたから良し!というプログラムかな。
アンドレアス・ノルデバック(スウェーデン) SP:76.20(20) FS:135.25(23) Total:211.45(23)
映画「バットマン」より「The Dark Knight Rises」♪ 黒系。冒頭の3アクセルは手をついて単独に。3フリップ+オイラー+3サルコウ、3フリップと入る。後半は3ルッツ+2アクセルなどを入れ、勢いを保ってステップ、最後のジャンプは膝を深く折って着氷。
フリーのシーズンベストが出た。
アダム・シャオ・イム・ファ(フランス) SP:77.49(19) FS:206.90(2) Total:284.39(3)
「Departure (Home)」「The Quality of Mercy」「Mercy (Voiceless Mix)」「Refuge」♪ 茶系で花模様。何かを飲み込むような所作から、4ルッツが入るともう止まらない。4トウ+3トウ、3アクセル+2アクセル、4サルコウ、4トウ、3アクセル、どれも高さが十分。さすがの足さばきのステップ、3ルッツ+オイラー+3サルコウまで全て跳びきった。
コレオでは横宙返りにバックフリップ 今日の彼こそ、本物の彼。
<G2>
カムデン・プルキネン(アメリカ) SP:78.85(17) FS:141.01(20) Total:219.86(20)
プッチーニ「トスカ」「ラ・ボエーム」♪ 紫と青。きれいにエッジにのって滑り出し、4トウは転倒。3アクセル+オイラー+2サルコウ、3ルッツ+2トウを着氷。しっとりとステップ。後半3アクセルでステップアウト、3ルッツ+2アクセルと3フリップは入った。
最後のスピンを片手側転で出るのは華やか。雰囲気はあるんだけど、、、
ガブリエレ・フランジパーニ(イタリア) SP:82.63(13) FS:148.75(17) Total:231.38(16)
「Io Ci Saro」アンドレア・ボチェッリ♪ 赤。冒頭にイーグルからの4トウを決める。4サルコウはステップアウト。アクセルでパンク でも次に3アクセル+2アクセル入った。3ルッツの着氷ヤバい?と思ったらオイラー+3サルコウに持って行く。最後の3ルッツは回転足りてないかな。
足を前から後ろにゆっくり持って行くスパイラル、スピンの足替えのバタフライ。曲が終盤の速い音のところで勢いよくステップ、最後のスピンはスライディングで出てドラマチックに終わる。
自国の曲というだけでなく、曲自体に起承転結があって、表現しやすいと思う。本人のキャラにも合っていた。
ドノヴァン・カリーヨ(メキシコ) SP:80.19(15) FS:152.48(14) Total:232.67(15)
「ベサメ・ムーチョ」「ある恋の物語」「キューバ」♪ 黒にゴールドの飾り。ムーディーに踊りながらスタート、きれいに4サルコウを決める。3アクセル+3トウも入った! Aスタイルのスピンで頭を膝にずっとつけている柔軟性。両手上げ3ルッツ+2アクセル+2アクセルも決まる。
Y字スパイラルのコレオ、両手上げ3ルッツなんとか下りると、サンバのリズムで軽快にステップ。熱狂の会場で滑り切った。自己ベスト大幅更新
ウェスリー・チウ(カナダ) SP:78.00(18) FS:149.21(16) Total:227.21(17)
「キル・ビル」♪ 黒の胸に赤。地元の大歓声の中、最初の4トウはステップアウト。2本目はうまく下りて2トウをつけた 3アクセルで手をついたり、3フリップ+3トウはこらえたり。後半3ルッツ+オイラー+3サルコウ、3ルッツが入ったのは良かった。
迫力があるというタイプではなく、、、何を売りにするべきか?
ミハイル・シャイドロフ(カザフスタン) SP:80.02(16) FS:154.17(13) Total:234.19(14)
「カルミナ・ブラーナ」♪ 赤に黒。冒頭の4ルッツ転倒したが、4フリップ、4トウ+3トウが入る。空中キックにイーグルのコレオ、ターン連続から3ループ。ぴたりと止まってからスピンに入るのは珍しい気がする。後半4トウ決まったが、3アクセル転倒。3ルッツ+オイラー+3サルコウはするっと決まった。
曲が盛り上がっていく中でステップ、片手側転も。構成と曲がよく合っている。
マーク・ゴロドニツキー(イスラエル) SP:80.49(14) FS:162.76(10) Total:243.25(12)
「Shape Of Lies」「True Love's Last Kiss」♪ 暗めの紫。最初の3アクセル、3アクセル+2アクセルと決めて波に乗る。3フリップ+3トウはやや詰まったが大丈夫。2アクセル+オイラー+2サルコウ、最後の3ループが決まるとガッツポーズ。
ゆったりと大きなストライドで見せたコレオから、一転して激しい動きのステップで駆け抜けた。終わって大きなガッツポーズ、フリー自己ベスト
<G3>
アレクサンドル・セレフコ(エストニア) SP:84.08(12) FS:163.49(9) Total:247.57(11)
「Ad Martem」♪ 黒系。素晴らしい4トウから、ルッツは3回転になる。3アクセル+3トウ入る。キャメルスピンの途中でかかとで立つところ、みんな好き 曲が変わって、繊細な動きでステップを踏んでいく。3フリップ+2アクセル+2アクセル入り、最後の3サルコウはやや乱れた。
大きなハイドロや仰向けスライディングのコレオが、ちょっと羽生結弦を思い出させた。
ロマン・サドフスキー(カナダ) SP:84.28(11) FS:137.29(22) Total:221.57(19)
「Nureyev」♪ ブルー系。地元の大歓声の中、4サルコウはステップアウトで手をつく。3アクセルはオーバーターンで耐え、3ルッツは傾いたがなんとか3トウをつける。3ループもこらえて2アクセル+2アクセルにつなげた。
静かな曲によく合う美しいステップ。後半4サルコウはオーバーターンしたが両手上げ2トウをつける。3フリップはきちんと決まった。
イーグルからイナバウアーに続くコレオ、ちょっと短い
三浦佳生 SP:85.00(10) FS:169.72(7) Total:254.72(8)
「進撃の巨人」♪ 白シャツに黒バンド。気合の入った顔でぐんぐん飛ばし、4ループ!転倒。4トウ決まった! 4サルコウも転倒したが、3アクセル+オイラー+3サルコウばっちり。丁寧にステップを踏み、後半4トウ+3トウ!さらに3アクセル+2アクセル!3フリップでジャンプは終わり、疾走するコレオは大きな空中キックで終わる。
ジャッジ席の前にぐっと迫ってフィニッシュ。ちょっとぐったりのキス&クライ
チャ・ジュンファン(韓国) SP:88.21(9) FS:161.44(11) Total:249.65(10)
「バットマン」♪ 黒系。得意の4サルコウ、まずは単独で。トウがパンク 2本目の4サルコウはオーバーターンで1トウをなんとか付ける。3ルッツ+3ループが美しい 一歩が大きく伸びるステップはレベル4。3アクセル+2アクセル+2アクセル入ったが、2本目の3アクセル転倒。
雄大なレイバック・カーブイナバウアーには見惚れるしかない。本来のバランスを早く取り戻したい。
ニカ・エガゼ(ジョージア) SP:92.08(7) FS:149.47(15) Total:241.55(13)
「ムーラン・ルージュ」♪ 赤から黒。冒頭の4トウ決まった!が、トランジションでフェンスにぶつかって転倒。4サルコウ下りて2トウをつける。2本目の4サルコウ転倒、3アクセルなんとか。「ロクサーヌのタンゴ」で手拍子をもらいながら、きびきびと踊る。
後半3アクセルでステップアウト、+REPとなってしまった。しかし3フリップに+オイラー+3サルコウ、3ルッツに2アクセルを付けてリカバリー。
最後までできることは全てやったという感じ。
デニス・ヴァシリエフス(ラトビア) SP:89.42(8) FS:168.38(8) Total:257.80(7)
「The Rightful King」「He Lives in You」♪ 「ライオンキング」の曲にのって、なんといっても美しいスケーティング。冒頭のサルコウは2回転になったが、3ルッツ+3トウの高さ、3アクセル+2アクセル入る。グライドを見ているだけで心地よいステップ。
後半もきれいな3アクセル、3ルッツ+オイラー+3サルコウ頑張る。得意のシットスピンの速さ、リンクいっぱいに展開するコレオは大きな膝曲げイーグルの連続からツイズルでフィニッシュ。
4回転は入らなかったが、それでもシーズンベストが出た
<G4>
ニコライ・メモラ(イタリア) SP:93.10(6) FS:160.02(12) Total:253.12(9)
サン‐サーンス「サムソンとデリラ」/「I Belong to You/ Mon coeur s’ouvre a ta voix」ミューズ♪ 白にゴールドのサッシュなど。4ルッツ、頑張る。3アクセル+オイラー+3サルコウ、3ルッツ、3ループと前半好調。後半3アクセル入り、3フリップでステップアウトしたが3フリップに2アクセルをつける。
ステップから一気に曲が盛り上がり、猛スピードのイナバウアーとイーグル、連続ジャンプのコレオにみんな熱狂
ジェイソン・ブラウン(アメリカ) SP:93.87(4) FS:180.46(5) Total:274.33(5)
「The Impossible Dream」♪ ブルー系。それは芸術。助走から美しい軌跡を描いて3アクセル+2アクセル、3アクセルと入る。3ルッツ+3トウ大きく、3フリップ+オイラー+3サルコウも安定。フリーレッグをホールドしたアップライト姿勢からそのままシットに移るスピンがぐっとくる。
アクセルが1回転になるミスはあったが、バレエジャンプからイナバウアーのコレオが歌のサビとぴったりで、もう泣けてくる。横から見ると8の字のようなキャメルスピンが
この人はこれでいいのだ。だからいいのだ。
ルーカス・ブリツィギ(スイス) SP:93.41(5) FS:180.68(4) Total:274.09(6)
「The Rainmaker」「Enduring Hope」「Corpus Rex」♪ 茶色にオレンジなどのパッチ。アフリカの旋律に乗って、4トウ+3トウ、4トウと力強く決める。短い助走から3アクセル+2アクセル、3ループも。パーカッションと会場の手拍子でスピン、後半3アクセル、3フリップ+オイラー+2サルコウ、3ルッツまで決まった。
さらに盛り上がるパーカッションでステップから、後ろ手でスライディングの迫力あるコレオ。オールグリーンの素晴らしい出来
宇野昌磨 SP:107.72(1) FS:173.13(6) Total:280.85(4)
「Timelapse」「Spiegel im Spiege」♪ 黒に緑。4ループに挑み転倒。4フリップでステップアウト。4トウ+2トウが入った。3アクセルはこらえて単独に。
じっくりと見せるステップはさすが、、、その流れできれいな4トウが決まる 3アクセルにオイラー+3フリップをつけてステップアウト、手をついた。
長いイーグルでふうわりと見せるコレオ、丁寧にスピンをして終わる。やっちゃった、、、
アダム・シャオ・イム・ファの表彰台確定。
鍵山優真 SP:106.35(2) FS:203.30(3) Total:309.65(2)
「Rain, in Your Black Eyes」♪ 濃紺Vネック。いつもの、ふうわりとした4サルコウ、4フリップを完璧に、初めて成功させた。4トウ+オイラー+3サルコウ、3アクセル+2アクセルと軽々。2本目の3アクセルでほぼ下りたのにつるっと転倒したが、3ルッツ+3トウが決まればもう落ち着いて、美しいイーグルのコレオ。3フリップを決めて、怒涛のステップへ。観客がどんどん速くなる曲に手拍子をしっかり合わせてくれて、情熱迸るステップを盛り立てる。
高速スピンをぴたっと止めて両腕を突き上げてフィニッシュ。笑顔で、ちょっと泣きそうで シーズンベストでトップに立った。
イリア・マリニン(アメリカ) SP:105.97(3) FS:227.79(1) Total:333.76(1)
「Succession」♪ 黒に白ライン。いきなり4アクセル、来たーっ 4ルッツ、4ループ、4サルコウ、後半4ルッツ+オイラー+3フリップ、4トウ+3トウ、最後は3ルッツ+3アクセル・・・どんだけ・・・とにかくジャンプの回転が速い!
実にフリップ以外5種類の4回転を成功させた。さすがに鍵山優真と比べるとステップの足元は“浅い”という感じで、音の表現もポージングでしているように思えるが コレオで見せる「ラズベリー・ツイスト」は何回転と言えばいいのかな?
予定以上の構成をノーミスで終わると、氷に寝転がった。
結果、圧倒的な得点でイリア・マリニンが初優勝、2位鍵山優真、3位はショートプログラム19位でフリー第1グループから大逆転のアダム・シャオ・イム・ファ。4位宇野昌磨、5位ジェイソン・ブラウン、6位ブリツィギ、7位ヴァイシリエフス。三浦佳生が8位だった。
来季枠は、アメリカ・日本が3、フランス・スイス・ラトビア・イタリア・韓国が2となった。
表彰式の国歌合唱、アイスダンスの時と少しアレンジを変えたようで、さらに洗練されていた
明日午前3時からはエキシビション
フィギュアスケート・世界選手権2024、アイスダンス・フリーダンス(ジャッジスコア)。
<G1>
ホリー・ハリス/ジェイソン・チャン(オーストラリア) RD:71.44(16) FD:103.34(19) Total:174.78(17)
「Ocean Lullaby」「Gefion」「Freya」「Vale」♪ ペールグリーン、濃い緑。“海”をイメージさせる曲で、柔らかなスケーティング。コレオステップの中で女性が男性の股下を2度くぐる。膝をついて肩に抱え上げるフィニッシュポーズ。
小松原美里/ティム・コレト RD:66.92(20) FD:106.98(17) Total:173.90(18)
「Loving You」「Love Grows」♪ ワインカラー、白サテンシャツ。しっとりと滑り出し、曲とよく合うツイズル。ゆったりとステップを続け、スピンからスピニングと滑らかに。カーブリフト連続は前に立つポジションで訴える。ドラマチックにスライディング。ローテーショナルリフトからコレオリフト。
今日は全てがシームレスに、シーズン締めくくりにふさわしい素晴らしい演技だった。
カロラーヌ・スシス/シェーン・フィーラス(アイルランド) RD:68.04(19) FD:103.63(18) Total:171.67(20)
「Hier Encore」シャルル・アズナヴール/「ラ・ボエーム」♪ ライトグリーン、クリーム色。最近結婚した2人。リフト連続から入り、小松原組とはまた違う雰囲気のロマンスを感じさせる。ステーショナリーリフトからさらにコレオリフトでフィニッシュ。
シーズンベストに満足そう。
折原裕香/ユーホ・ピリネン(フィンランド) RD:68.66(17) FD:107.33(16) Total:175.99(16)
「シカゴ」♪ 黒系のフリンジスカート、同系。立ち姿勢で片足になるステーショナリーリフトから、腕とエッジをホールドするスピニング。ツイズルは曲に合わせたがレベルは3止まり。後半のダイアゴナルステップ、伸びやかで曲とよくマッチ。コレオステップは会場もノリノリになるチャールストン、可愛すぎる
終わってやり切った喜びの表情。良かったね!!!
ナタリー・タシュレロヴァ/フィリップ・タシュレル(チェコ) RD:68.25(18) FD:111.92(15) Total:180.17(15)
「Bluecobalto」「Terra Rosa」「Son Felice」♪ 赤、グレー。男性の靴に手をのせて逆立ち姿勢になるストレートラインリフトからローテーショナルリフトへ。ツイズルの間にしゃがむ振付、イーグルの膝に立って頭をまたぐカーブリフト。ワンフットの男性が無効になっている?と思ったら大丈夫だった模様。
<G2>
ロワシア・デモージョ/テオ・ル・メルシエ(フランス) RD:75.74(11) FD:114.26(13) Total:190.00(11)
ドビュッシー「月の光」/「Waves」♪ 濃紺。そっと手をつないで動き出し、軸足に足を絡めるダンススピン。アシステッドジャンプは空中姿勢をぴしっと決めている。ピアノの細かい音とシンクロするツイズルが素敵 女性がその場でスピンをしているところを持ち上げるステーショナリーリフトからそのままローテーショナルリフトへ。男性の首に足をかけて上がるストレートラインリフト、さらにコレオリフトと畳みかけて終わる。
静かさと激しさのある素敵なプログラム。
ダイアナ・デービス/グレブ・スモルキン(ジョージア) RD:74.46(12) FD:113.88(14) Total:188.34(12)
チャイコフスキー「白鳥の湖」/「ブラック・スワン」♪ 黒、白と黒。女性を逆さまに前に持ち上げて片足滑走になるストレートラインリフトから、肩に横に乗せるローテーショナルリフト。ツイズルは間に女性がイリュージョンを入れる。男性がハイドロ、女性がクリムキンイーグルで手を滑らせるスライディング。カーブリフトは女性が上がってから男性の首に足をかけて逆さま姿勢。キャッチフットでコレオリフト。
あれこれ、面白い見どころがたくさん。
カテリナ・ムラズコヴァ/ダニエル・ムラゼク(チェコ) RD:73.05(13) FD:115.23(11) Total:188.28(13)
チャイコフスキー「白鳥の湖」♪ 共に黒。とにかく滑走姿勢が優雅 しゃがんだ男性の肩上に乗るステーショナリーリフトは男性がまったく手を触れない。ストレートラインリフトも男性の肩後ろに片足で乗る。男性の股下に女性が入る形のハイドロ。男性の肩に女性が片足を乗せてシットからアップライトになるスピンも見事。
出しきってガッツポーズの男性、座り込んだ。自己ベスト更新
オリヴィア・スマート/ティム・ディエク(スペイン) RD:71.81(15) FD:101.72(20) Total:173.53(19)
「Also sprach Zarathustra/An American Trilogy」「Craw-Fever」「Suspicious Minds」「Trouble」「Dreaming King」♪ 黒つなぎ、ピンクのジャケ。女性が横っ飛びに乗るステーショナリーリフトから、大きく距離が出るワンフット。回転しながら上がるカーブリフト連続はじっくり見せた。ダンススピンで男性がバランスを崩しレベルを取りこぼした 音とばっちり合わせたアシステッドジャンプにノリノリのコレオステップ、楽しいプログラム。
リム・ハナ/クァン・イェ(韓国) RD:71.89(14) FD:114.62(12) Total:186.51(14)
「シェルブールの雨傘」♪ 濃いピンク、ベージュシャツ黒ベスト。突然の雨に男性が傘を差しかける振付から。首に足をかけて上がるストレートラインリフト、女性がなかなか大人っぽい表情。女性が開脚姿勢で男性の足から肩に添わせるコレオリフト、重なって低い姿勢のハイドロで盛り上がる。叶わぬ恋に引き裂かれる物語を体現、“シェルブール”らしさと若々しさが相まって、感動のプログラムになった。
フリー自己ベストに大喜び
<G3>
ロランス・フォルニエ・ボードリー/ニコライ・ソレンセン(カナダ) RD:75.79(10) FD:124.12(6) Total:199.91(9)
「ノートルダム・ド・パリ」♪ ダークグリーンのセパレート、グレージュ。入りが同じ向きではないワンフットは大きく、女性側からだけつかまっているローテーショナルリフトからステーショナリーリフトへ。今日は問題なくツイズルをこなした。3つのアシステッドジャンプはそれぞれ上げ方もポーズも違うものを見せる。片足を重ねるようなリフト、高速回転リフトで激動のフィニッシュ。
いろいろあったが、よくここまできた、このシーズン。
ユーリア・トゥルッキラ/マティアス・ヴェルスルイス(フィンランド) RD:75.89(9) FD:116.45(10) Total:192.34(10)
「Mass (Re-Imagined)」「Loss」♪ ブルーのグラデーション、黒グレー。まるで女性の重力を感じさせない姿勢変化のステーショナリーリフトからローテーショナルリフト。ツイズルは回転数でずれがあったがレベルは取れた。膝を曲げて仰向けになって組み合うハイドロ、2人の腕の動きで1つの図形を作っていくような振付が独特のコレオステップ。抱えてから足を絡めて回転するコレオリフトで終わる。
アリソン・リード/サウリウス・アンブルレヴィシウス(リトアニア) RD:80.99(6) FD:119.97(9) Total:200.96(6)
「Enough of Our Machines」「Children」♪ 黒。要素間がさりげなくてあっという間。背中から前に抱えるステーショナリーリフトからキャッチフットのローテーショナルリフト。選曲とアレンジも上手いと思った。
クリスティーナ・カレイラ/アンソニー・ポノマレンコ(アメリカ) RD:79.26(8) FD:121.06(7) Total:200.32(7)
映画「パフューム ある人殺しの物語」/「Strictly Taboo」「Deceit And Betrayal」♪ ベージュに赤い花、こげ茶。大きく動くワンフット、フリーレッグを絡めるスピン。ジャンプで飛び乗ったリフトは男性が片足になった時ややふらついた。ストレートラインリフトとローテーショナルリフトを連続とせず、それぞれに。ラストのスライディングがアクロバティック、殺しちゃった!
エフゲニア・ロパレヴァ/ジェフリー・ブリソー(フランス) RD:80.01(7) FD:120.27(8) Total:200.28(8)
ラフマニノフ「エレジー」「前奏曲嬰ハ短調」♪ ライトブルー。複雑な動きでアシステッドジャンプから、女性を前の高い位置に立たせるストレートラインリフトは一瞬片足滑走。ローテーショナルリフトをいったん下ろしてから、きれいな姿勢のステーショナリーリフト。
何がどうとうまく表現できないんだけど、魅力あるプログラム。自己ベスト更新
後半の曲は浅田真央がバンクーバー五輪のシーズンにフリーで使った曲。
<G4>
マージョリー・ラジョワ/ザカリー・ラガ(カナダ) RD:82.30(5) FD:125.71(5) Total:208.01(5)
「Roses」♪ コーラルピンク、グリーン。長い距離を移動しながら見せるステーショナリーリフト。ワンフットは出にニースライド。回転ジャンプで飛び乗るリフト、腕と足をホールドしてさらに片足になるコレオリフトで最高潮。
地元の応援だけでなく、その成長ぶりを見せたプログラム。自己ベスト
ライラ・フィアー/ルイス・ギブソン(イギリス) RD:84.60(4) FD:126.32(4) Total:210.92(4)
「ロッキー」♪ 青と赤のセパレート、青系。じっくりとワンフット、キャッチフットしてそのまま入るスピン。低い姿勢のカーブリフトからそのまま女性を回転させながらのローテーショナルリフト。コレオステップはボクシングジムさながら、腕立て伏せとか 決しておふざけではない、本格的にストーリーがある。
マディソン・チョック/エヴァン・ベイツ(アメリカ) RD:90.08(1) FD:132.12(2) Total:222.20(1)
「Time」「Breathe」「Eclipse(狂気日食)」ピンク・フロイド♪ 白に縁取り、黒に白ライン。靴上に片足で乗り、男性も片足で回転するステーショナリーリフトから。ツイズルでは広げた両腕をぶんぶん振り回す。女性の靴を持って一気に高く持ち上げるストレートラインリフトは、女性が回転しながら降りてきた。
なんというか、つけいる隙が全くない。2人の完璧な世界。
シャルレ―ヌ・ギニャール/マルコ・ファブリ(イタリア) RD:87.52(2) FD:129.00(3) Total:216.52(3)
映画「Emily」より「Through the Sheets」/「Arrival of the Birds」/映画「博士と彼女のセオリー」より「A Model of the Universe 」/映画「復讐のドレスコード」より「Closing Credits」♪ 黒から赤、黒。きれいなアシステッドジャンプからスタート。ウェストを抱えていきなり逆さまに持ち上げるカーブリフトからローテ―ショナルリフトへ。終盤女性の衣装の裾がエッジに引っ掛かり、そのままの状態でスライディングやステーショナリーリフトをする羽目になったが、大事に至らず何より
表彰台は確定してコーチは一安心かな。
パイパー・ギルス/ポール・ポワリエ(カナダ) RD:86.51(3) FD:133.17(1) Total:219.68(2)
映画「嵐が丘」坂本龍一♪ ピンクベージュ、グレー。吹き渡る風に向かっていくような、立ち上がる姿勢のステーショナリーリフト。ドラマに引き込むコレオステップから、いきなり始まるツイズルは回転が速い。アップライト姿勢で男性が後ろから抱えるようなポジションは珍しいかも。ラストの膝曲げイーグルで向かい合うハイドロは真骨頂。
モントリオールで最高の演技をしてくれて、観客は感謝のスタンディングオベーション フリーとトータルで自己ベスト更新。
結果、優勝はRD1位を守ったチョック/ベイツ、2位地元のギルス/ポワリエ、3位ギニャール/ファブリ。4位フィアー/ギブソン、5位ラジョワ/ラガ、6位リード/アンブルレヴィシウス、7位カレイラ/ポノマレンコ、8位ロパレヴァ/ブリソーまでが200点越え。小松原/コレトは18位となった。
来季枠は、アメリカ・カナダが3、イタリア・イギリス・リトアニア・フランス・フィンランド・チェコが2。
18位小松原組と10位トゥルッキラ/ヴェルスルイスとの点差は18.44。。。日本の2枠まではまだ遠い。。。
この後は最終種目、男子フリー。佳生くん優真くん昌磨くん、頑張れ~~~