今の日本人は安定を求めているのである。日本の国柄を大事にしながら、漸進的に改革するのを望んでいるのだ。思い起こせば政治改革から始まって、規制緩和、平成の開国とかの言葉が最近まで飛び交っていた。それに引きずりまわされた経験から、より保守的なスタンスになってきているのだ▼それを理解できないのが民進党や共産党などの野党である。去る12日に結婚後も夫婦が別に姓を名乗ることができる選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を衆議院に共同提出した。これは結果的に戸籍も夫婦がバラバラになることであり、子供にも悪影響を及ぼすことになる。まさしく家族を解体することなのである▼柳田国男は敗戦が間近であったときに、日本人の「家」の存続を願って『先祖の話』を執筆したのである。柳田は「我々が百千年の久しきに亙って、積み重ねてきた所の経歴というものを、丸々其痕も無いよその国々と、同一視することは許されないのみならず、現に是からさきの方針を決定するに当っても、やはり多数のそう謂った人たちを相手に、成程そうだという所まで、対談しなければすまされぬのである」と書いたのである▼戸籍法そのものは明治からであっても、日本は連綿として家族を中心として過去と結びついてきた。姓を同じくする家族が「家」として先祖の神を祀ることによって、日本人は自らを律してきたのである。その根本を否定しよとする動きを、どうして許すことができよう。あくまでも日本人は日本人であるのだから。
←応援のクリックをお願いいたします。