政治をきれいごとで語るべきではない。TPP承認案・関連法案をめぐって、山本農林水産大臣の発言がセンセーショナルな取り上げ方をされている。昨日の夜出席した佐藤勉衆議院議運運営委員長のパーテイで「強行採決をするかどうかは佐藤さんが決めると内心思っている」と発言したことで、マスコミや野党は大騒ぎなのである▼自民党を始めとする与党が絶対多数を持っており、粛々と審議を進めながら、最終的には多数決で物事を決めるのが民主主義である。あまりにも民進党などの抵抗が強いので、今後のスケジュールについて話をしたかったのだろう。早速、自民党の二階幹事長は公明党の井上幹事長と会談して、政府に抗議する考えを表明した。そこまで与党が弱気になるのは、政治のイロハを知らないからである▼マックス・ヴエーバーの『職業としての政治』(脇圭平訳)における国家の定義を、私たちは思い起こすべきだろう。「国家とは、ある一定の領域の内部で―この『領域』という点が特徴的なのだが―正当な物理的暴力行使の独占を(実効的に)要求する人間共同体である」。暴力を独占する国家を運営するにあたっては、いうまでもなく覚悟が求められる。「要するに権力の分け前にあずかり、権力の配分関係に影響を及ぼそうとする努力」するのが政治なのであり、目的のためには悪魔とも手を結ぶ。道徳を振りかざして言葉狩りをしてすむ問題ではないのである。
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