あくまでも推測の域を出ないが、中共の習近平体制が揺らいできているのではないか。個人独裁に反発する声が出てきており、それが燎原の火の如く広がる可能性がある。習近平は毛沢東を手本としているが、それ自体に無理があることは明らかである▼毛沢東にしても、神格化されたのには理由があった。1956年のソ連共産党第20回大会におけるスターリン批判の影響で、個人崇拝廃止の傾向が中共に及ぶことを恐れたからである。毛沢東神話を必要としたのだ。57、58年の巻き返しは、乾坤一擲の勝負でもあった。しかし、求心力を高めようとして行われた「大躍進」は失敗に終わった。60年代の人災的な飢餓によって、2千万人近い餓死者が出たといわれる。窮地に立たされた毛沢東は、攻勢に転じるために文化大革命を煽ったのである▼中国共産党内部にも、文化大革命で苦い経験をした者たちはいるはずだ。経済的にも中共はかつてのような勢いがない。トランプ政権の登場で、米中の関係もぎくしゃくしており、改善される可能性は低い。習近平は孤立しつつあるのではないか。かみしめるべきは、マルクスの『ルイ・ポナパルトのブリュメール18日』の「一度目は偉大な悲劇として、二度目はみじめな笑劇として」(植村邦彦訳)の言葉ではないだろうか。習近平の今後が見ものである。
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