中共や北朝鮮の全体主義体制を甘くみてはならない。明日にでも倒れると思っているのは間違いである。自由を甘受したことがない民衆は、不自由さに気づかないのである▼シモーヌ・ヴェィユの見方が的を射ている。「隷従を擁する体制が奴隷の叛乱によって覆されたことは、史上かつてない。真実はこうだ。有名な銘句によれば、隷従は当人にこれを愛させるまでに人間の品性をそこなう。さらに、現実に自由を享受する人間でなければ自由を貴重なものと思わない」(『ヴェィユの言葉』冨原眞弓編訳)。習近平や金正恩が独裁者であり続けられるのは「抑圧の段階をすぎると、権力者はかならず自分の奴隷たちに崇拝される」(『同』)からである▼厳しいその現実を私たちは直視するしかない。中共や北朝鮮の体制の変革が難しいのであれば、日本は全体主義の脅威と向き合うしかなく、国防を強化する以外にない。私たちがもっとも恐れなければならないのは、全体主義国家の言いなりに日本がなり、最終的にその支配に服することである。そして警戒しなければならないのは、口では人権とか民主主義とかを叫びながら、実際は全体主義国家の手先となっている者たちである▼一度奪われた自由を取り戻すのは並大抵のことではない。それを教えてくれるのがチベットやウイグルで今起きていることなのである。
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