性的な少数派の存在を許容する点では、イデオロギーに固執する者たちよりも、保守派の方が理解がある。とくに、宗教的な縛りがあまりない我が国においては、大目に見られてきた▼自民党の杉田水脈参議院議員が7月18日発売の「新潮45」に書いた寄稿文が物議を醸している。彼女の言いたかったことは、少子化対策上からも、子どもを生み育てる人たちに政治は力を入れるべきだ、との問題提起であったように思える。雑な言い方をしたので、待ってましたとばかり、マスコミや特定野党から集中砲火を浴びたのである▼日本の左翼のバックにいる中共では、政府に楯突くようなことをすれば、すぐに精神病院か強制収容所に送られる。全体主義国家にあっては、少数派は危険視され、社会から遠ざけられるのである。一方でそれを批判しないで、杉田議員に辞職を迫るのは、行き過ぎ以外の何物でもない▼ハンナ・アレントではないが、自分のなかにもう一人の自分を想定し、自分以外の他者の存在を認めるというのは、自らの自由の観点からも大事なことである。杉田議員のような考えが社会通念になっていることは否めず、それとどのようにバランスを取っていくかが私たちの課題なのである。自民党の国会議員であれば、誰彼となく言葉狩りをして批判するという風潮は好ましくない。議論を深めていくための一つの契機にすればいいのである。
応援のクリックをお願いいたします