保守のネット言論においても、節度がないような書き込みがみられる。百田尚樹氏などがその典型である。三宅雪子元衆議院議員が自殺したとの報道が一昨日あったが、百田氏は「三宅雪子って、国会で誰にも押されてないのに、派手にダイビングして、翌日から車椅子に乗って当院した人やね」とツイートしたのである。死者を鞭打たないというのが日本人の美徳であり、そこまでやる神経が理解できない▼福田恆存の『私の幸福論』のなかに「教養について」という章がある。福田は「教育がある」ということと「教養」を区別する。「教育が与える知識は文化から遊離してしまった」というのを問題視する。「私たちが教育によって得られる文化史的知識は、いわば氷山の頭に関する知識であって、文化とはそれだけのものではない」との見方を示したのだった。福田はエリオットが「文化とは生きかたである」との言葉を引用し、「私たちの文化によって培われた教養を私たちがもっているときにのみ、知識がはじめて生きてくるのです」と書いたのである▼日本人には日本人特有の生きかたがあり、それにかなっているかどうかが問われるのである。百田氏は物書きとして高い評価を受けており、読者を裏切るような言動は慎むべきなのである。保守というのは思想というよりも、その生きかたこそが問題なのだから。
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