私たちが自由を守り抜くためには自由諸国民が団結しなくてはなりません。改めてヤスパースの語った言葉を思い出します。カール・ヤスパースの『根源的に問う 哲学対話集<ハンス・ザーナー編>』(武藤光朗・赤羽竜夫訳)に収録された、武藤光朗との対話「人間の自由の未来のために」を読み返しています。雑『自由』昭和三十七年一月号に掲載されたものです。
ヤスパースは、ロシアと中国に対抗して、自由緒国民の結束を訴えたのです。東アジアが危機的な状況を迎えているからこそ、なおさら説得力のある言葉ではないかと思います。唯一そこに日本が含まれてゐるのが、重要な役割を担っているからなのです。
「自由諸国民の共同体とは、北米、ヨーロッパ諸国及び、日本であって、今のところそれ以外にはありません。私はインドを自由諸国民に数えるわけにはいきません。インドはきわめて動揺する姿を見せていますし、国内が安定していません。ですから、内にしっかりした力をそなえている真に自由な国民は、繰り返して申しますが、北米とヨーロッパ諸国と日本だけです。これらの国は、おたがいにたよりにできることがわかるように団結しなければならない。こうした連帯性は、もっとも強力な国を進んで指導的な国と認め、自由にかかわるような紛争の場合には、自国の国家的要求をひっこめ、また、かりに別のことをのぞんでいても、それらをあきらめて、その指導的な国に従う覚悟をもってはじめて、事実上可能となるのです」
ヤスパースの方針は間違ってはいませんでした。恐怖政治が中露全体に吹き荒れ、台湾までもその影響下には入ろうとしているからです。自由緒国民の陣営に与することでしか、自由であり続けることはできないし、抑圧された人たちの解放にも結びつかないのですから。NATOに日本が参加することも、今後検討されるべきではないかと思います。
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