今回の広島サミットで、日本は中国に誤ったメッセージを発してしまった。G7の首脳は一応は広島への原爆投下で亡くなった人たちへの哀悼の意を表明はしたが、核を無くそうなどという夢物語は誰も信じていない。逆に我が国は米国に拡大抑止(核の傘)の強化を求めないことを、世界に宣言してしまったのである。
原爆資料館の視察に関しても、G7の首脳が勢ぞろいしたものの、表向きは核保有国である米英仏に配慮したというが、それらの国々に押し切られてしまった結果、ビデオや動画の撮影はもとより、その感想を聞き質すこともできなかったのではないか。
バイデンが核の発射ボタンを持って歩いているように、世界から核が無くなることは当面考えられない。このことは日本国民もよく知っており、つい最近行われたテレビ朝日の世論調査でも、核廃絶が困難であるとの見方が圧倒的であった。
岸田首相と比べると韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の考えはまともである。去る4月26日に行われた米韓首脳会談で、韓国は米国に働きかけて「戦略核を搭載した弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)の定期的な韓国への寄港」を合意するに至ったからである。
そして、北朝鮮からの核攻撃を受けた場合には、速やかに米韓首脳会談を行い、核による報復を協議するとしたのである。これこそが現実外交であり、国家の生き残りを賭けた戦略なのである。
これに対して岸田首相は、米国との核の共有を議論することすら認めないのである。中国の侵略を誘発するような発言であり、日本国民の命などどうでもいいのだ。岸田首相の平和ボケをほくそ笑んでいるのは中国であることを、どうして理解することができないのだろう。
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